化学業界が警戒する“サウジリスク”、君子豹変で合弁解消も
解消含め判断
三菱ガス化学中心の日本連合は83年から、サウジ東部でSABICと合弁で化学品原料のメタノールを製造してきた。日・サウジ協力の歴史上でもっとも古い石化プロジェクトの一つで、記念碑的な位置付けだ。日本側の共同出資会社「日本・サウジアラビアメタノール」には国際協力機構(JICA)や住友化学、三井化学なども参画している。その合弁契約の期限が11月末で、日・サウジは更新交渉を続けてきた。結果として合意できたのは日本側の合弁会社への出資比率を現状の50%から25%に引き下げるほか、巨額の対価支払いなどの延長条件案のみ。19年3月末までに合弁事業の解消を含めて最終判断する。
関係者は「前回の延長交渉時には延長対価の支払いなどなかった」と嘆く。一般的に合弁延長交渉の準備は期限の約10年前から余裕を持って始める。産油国とのビジネス経験の豊富な三菱ガス化学が準備を怠るはずもなく、相手側の“君子豹変(ひょうへん)”があったと見るのが妥当だろう。最終局面では同社の交渉担当者が毎週サウジ入りしていたという。
中東に詳しい業界通は「更新は毎回もめる。新たに投資を求められるなど、要は『もうけているなら、それなりにサウジへ貢献しろ』ということだ」と明かす。同じく同国へ進出する三菱グループや住友化学の事例からもよく知られた話だ。とはいえ巨額の対価は異例だ。別の関係者は「技術などはもう教わったので今後サウジだけでもできると思ったのだろう。国の財政も厳しいので、契約更新に合わせてカネを出させることにした」と勘ぐる。
負担額次第
20年間の合弁継続か否かは予断を許さない。日本連合内でも足並みはそろっていないようだ。メタノールは市場で調達できるため、対価の負担額次第で出資を引き揚げる株主が出る可能性はある。
また、今後サウジ勢との合弁期限を迎える三菱グループなども人ごとでは済まない。業界内で“サウジリスク”への懸念が広がりつつある。
