韓国で最近相次ぎ発生したオンライン上での大規模な個人情報流出事件を受け、韓国政府が「制限的本人確認制」(インターネット実名制)の廃止を検討していることが分かった。複数の韓国メディアが報じた。

 韓国の放送通信委員会は29日、李明博(イ・ミョンバク)大統領に報告した2012年度業務計画に、インターネット実名制の廃止や、インターネット上での住民登録番号の収集や利用を禁止する法案を推進することなどを提示した。

 韓国政府がインターネット実名制について、廃止の意思を示したのは今回が初めて。ネット上の悪質なコメントによる社会的弊害を防止するため、07年7月に韓国国内のポータルサイトの掲示板を中心に導入されたが、5年ぶりに存廃の岐路に立つ。

 同委員会は、10年ごろからツイッターなどの海外SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)が急速に普及し、インターネットの接続環境が変化していることから制度の再検討は避けられないと説明した。

 韓国のインターネット実名制は、海外のSNSには適用されないため韓国企業にだけ不利に作用することや、IT強国のイメージを傷つける恐れがあることから、制度の改善が求められてきた。(編集担当:新川悠)