J1は第18節を終えた時点で鹿島が2位以下に9ポイント以上の差をつけて首位に立っている。これから差が縮まる可能性はあるが、独走状態と言ってもいいだろう。
鹿島は確かに安定感のあるチームで、他に比べて抜けているかもしれないが、昨シーズンから大幅に選手を入れ換えたわけでもなく、現状維持と少しの上積みに成功したという形だ。鹿島が強くなったというより、その他のチームが崩れた結果、というのが現在のリーグ戦ではないかな。

現状維持に成功したチームが首位を走っているというのが、Jリーグの問題を端的に表している。名古屋もG大阪も、不景気で予算はダウンした。その状態で、チーム力の大幅アップは期待できない。親会社中心の予算社会が招いた当然の現象だろう。セミプロリーグっぽくていいんじゃないか、なんて皮肉も言いたくなるよ。

平均観客動員も減っている。観客が減ると、Jリーグは各チームに配る分配金の額を下げる。Jリーグ本部の黒字のために、チームが赤字を背負っているんだ。これではリーグとしての積み重ねはないし、リーグがますます閉塞していくのは当然だよ。

Jリーグは果たして危機感を持っているのかな。チェアマンは任期が終わればさようなら。ある共通理念の下に次やその次のチェアマンなりが決まっていくのならいいけど、どうもその場しのぎの感が否めないね。

そんな中で、協会の犬飼会長がシーズン秋春制移行の話題をまたぶり返した。閉塞感を打破したい思いもあるのかもしれないが、公約として任期中にどうしても全うしたいだけなんじゃないかとも思うね。彼は就任してからまだ何もやっていないに等しいわけだし。

一回通らなかった企画が、果たして通るのかな。チェアマンが変わらなかったら無理じゃないかな。シーズンを秋春制にして、観客が増えるのか、スターが生まれるのか、サッカー界が盛り上がるのか、そこには何の計算も勝算も見えない。

僕は、そんなことより他にもやるべきことが山ほどあると思っている。たとえばチーム数の問題だ。J1とJ2のチーム数を減らして、早くJ3を作るべきだと思う。理想はそれぞれ14チームの計42チーム。各ディビジョンのチーム数を減らすことで切磋琢磨、レベルアップを促し、それぞれが赤字にならないように運営していく。
今のJ2は、チーム間に格差があって、レベルが落ちて、赤字はたまる一方。このままでは、J3を作るどころか、J2がなくなってしまうよ。(了)

 

セルジオ越後 (サッカー解説者) 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中