消費電力はLCDの100分の1:丸められるフレキシブル・ディスプレー

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Priya Ganapati

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フレキシブル・ディスプレーの試作品

ほとんどすべてがプラスチックでできており、紙のように薄いフレキシブル・ディスプレーは、2008年の最大の技術躍進の1つだった。アリゾナ州立大学フレキシブル・ディスプレー・センター(FDC)は昨年、薄型軽量ディスプレーの試作品第1号を公開した。丸めて『Levi's(リーバイス)』ジーンズのポケットや『North Face』のバックパックに詰め込むことができるようなディスプレーだ。

そのFDCが今度は、タッチスクリーン式のフレキシブル・ディスプレーを用意したと述べている。米E Ink社とエプソンの低電力ディスプレー技術を統合することによって、タッチスクリーン機能が可能になったという。E Ink社の技術は、米Amazon社の『Kindle』やソニーの電子ブックリーダーにも採用されている。

FDCのNick Colaneri所長は声明の中で、今回の低電力ディスプレーは丈夫な作りで軽量で、太陽光の下で読むことが可能なうえに、データをリアルタイムで入力・保存・送信できると述べている

このフレキシブル・タッチスクリーン・ディスプレーはタッチペンか指で入力でき、電子ペーパーが作動時のみ電力を消費する。ディスプレーに書き込んだ情報は、消去される前に保存またはワイヤレス送信できる。

FDCはこのディスプレーを米陸軍と協力して開発してきた。2、3年以内に、限定的な野外試験を行なう予定だ。


画像は別の英文記事から

複数の企業がすでに、これらのディスプレーの製造技術の開発に取り組み始めている。米Hewlett-Packard(HP)社は昨年12月に、「手頃な価格の」フレキシブルな電子ディスプレーの試作品第1号を製作したと発表した。HP社の製造プロセスなら、新聞をプレス機で印刷する方法とよく似たロール・ツー・ロール方式でフレキシブル・ディスプレーを製造でき、生産コストを削減できるという。

なお、DisplaySearchが3月上旬に出したレポートによると、Philips社やGE社やコニカミノルタやOSRAM社などの各社がOLEDディスプレー開発に取り組んでおり、2011年ころから本格的な生産に入ると見られている。


画像は別の英文記事より

OLEDディスプレーはLCDディスプレーと比べるとエネルギー効率が2〜3倍優れているとされるが、FDCのフレキシブル・ディスプレーはLCDと比べて消費電力が100分の1とされている。

最新のタッチスクリーン・ディスプレーの動画を以下でチェックしよう。

{この翻訳には、いくつかの英文記事の内容を統合しています}

WIRED NEWS 原文(English)

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