【今見直すべき】査定が「あの人がいないと回らない」店は危うい|買取店の属人化が招くリスク

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「店長が休みの日は、高額品の査定は受けられない」。そんな運営になっている買取店は少なくありません。リユース市場は2024年に前年比4.5%増の3.3兆円となり、店頭買取を含む店舗販売は好調が続いています。需要が伸びる一方で、買取という仕事は査定する人の経験と勘に依存しやすく、特定のスタッフがいないと店が回らない状態に陥りがちです。これは日々の機会損失だけでなく、その人が辞めた瞬間に店の査定力が消える、という経営リスクそのものです。

■ベテランの頭の中にしかない「査定基準」は、店の資産になっていない
ブランドバッグの真贋、時計のムーブメントの状態、貴金属の地金相場と買取掛け率、ジュエリーの石の評価。これらをどう判断し、いくらで買い取るかが、特定のスタッフの経験の中だけにある状態は危険です。同じオメガの時計でも、店長が査定すれば8万円、新人が査定すれば5万円、と提示額がぶれれば、顧客は不信感を持ちます。査定品目ごとの買取基準、過去の成約事例、品目別の掛け率といった情報が記録され、誰でも参照できる形になっていなければ、査定は永遠に属人的なままです。

■「あの客の経緯」を一人しか知らないと、引き継いだ瞬間に崩れる
相見積もり中で再来店予定の顧客、出張買取の日程を調整中の顧客、前回は保留で帰ったが今回は売る気で来た顧客。こうした顧客の経緯を担当者一人しか把握していないと、その人が不在の日にすべてが止まります。顧客名、電話番号、過去の査定品目、提示金額、保留理由、再連絡予定日、担当者。これらが共有されていれば、別のスタッフでも「前回◯◯を◯円で査定し、保留になった方ですね」と続きから対応できます。属人化の解消とは、根性論ではなく、情報を個人から店全体に移す仕組みの問題です。

■2店舗目を出した瞬間、属人化は一気に表面化する
1店舗なら、店長がすべてを見ていればなんとか回ります。しかし2店舗目を出すと、オーナーは両方の現場に同時にいられません。どちらの店で何件査定があり、成約率はいくつで、どの在庫が滞留しているのか。店舗別売上、担当者別の対応状況、在庫数、滞留在庫が見えなければ、見えない店の数字は店長の報告を信じるしかなくなります。属人化したまま店舗を増やすのは、把握できない売上と在庫を増やすことと同じです。拡大前に、査定基準と顧客情報を店全体で共有できる体制を整えておく必要があります。

■オーナーが確認すべきは「人」ではなく「仕組みで回っているか」
毎週見るべき数字は、特定スタッフの働きぶりだけではありません。査定件数、成約率、買取単価、品目別の粗利、在庫数、滞留在庫、店舗別売上、担当者別の対応状況、古物台帳の記録状況。これらが担当者個人のノートではなく、店として一元的に見える状態かどうかが、属人化の度合いを測る指標になります。たとえば特定の担当者だけ成約率が突出して低い、ある店舗だけ滞留在庫が多い、といった事実は、数字を横並びで見て初めて気づけます。

■補助金を検討する前に、まず査定と顧客情報の共有状況を棚卸しする
2026年からIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」へ名称が変わり、引き続き中小企業のITツール導入を支援しています。ただし、自店が対象になるか、どの費用が補助対象かは最新の公募要領や公式情報を確認する必要があります。そして補助金の有無より先に確認すべきは、査定基準・顧客情報・在庫・古物台帳といった店の中核情報が、特定の個人に依存していないかという点です。仕組みが現場で使えるものでなければ、補助を受けて導入しても属人化は解消しません。