土屋礼央の「ざっくり聞くと」(第3回)〜流れ星「ライバルはドラえもん」〜
◇「ちゅうえいのギャグを全然受け入れられなかった」
土屋:ネタやギャグはどうやって作ってるんですか。
瀧上: ネタは、ここ数年で作り方が変わりました。前までは、僕が作っていたんですが、最近は僕が大筋を作って、ちゅうえいがギャグを挟む感じで作っています。ここ2、3年でギャグ中心の漫才に変わったので。
土屋:ギャグ中心の漫才になることを、瀧上さんとしてはすぐに受け入れられたんですか?
瀧上:いいえ、最初はちゅうえいのギャグを全然受け入れられなかったんですよ。ただ、「M-1グランプリ」がダメで、「THE MANZAI」もダメだった時に心が折れまして。完全に折れたんです、ぽっきりと。漫才だけで勝負している芸人ってやっぱりかっこいいじゃないですか。
だから、優勝してそういう芸人になりたいと思ってたのが、「もう完全に無理なんだろうな」って思ったことが一度ありました。その次の日ですね、開き直ってちゅうえいに言いに行ったのは…「もう漫才とかいいから、ちゅうえいのギャグを入れた馬鹿馬鹿しい漫才をやってみようよ」と。
時間が空くと「お笑いをやめる」って言っちゃうんじゃないかと思って、すぐに言いに行ったんです。
ちゅうえい:僕は前から「ギャグを入れた漫才をやってみたい」と言ってましたけどね。瀧上はそういうのじゃなくて、ちゃんとした漫才をやってみたかったみたいで。だから、何もかもなくして「ギャグを入れよう」と言ってきてくれた時は、「そっかぁ」ってけっこう真剣な顔して相談に乗りましたけど、内心では「おせーよ! 今さらかよ!」って思ってました(笑)。
土屋:ちゅうえいさんのギャグって、どうやって作るんですか?
ちゅうえい:いろんなパターンがあるんです。組み合わせたらおもしろくなったものをそのままギャグにしたり、いろんな動きをジェスチャーでやってみたり。例えば車を運転している時のハンドルをにぎる動きが何かに見えないかな…と考えて、それが乳搾りに見えたから「♪ぶんぶんぶぶーん ファンキーな乳搾り」っていうギャグになりました。
土屋:それは一人で考えるんですか?
ちゅうえい:基本は、ひとりで喫茶店で考えてます。
土屋:僕はミュージシャンなんで、曲を作って歌詞を書くは、歌を鼻歌で歌いながら作るわけです。そうすると喫茶店なんかだと鼻歌がどうしても周りの迷惑になってしまうので、けっこう地下鉄の中とか、電車の中で作ることが多いですね。
ちゅうえい:僕は動きだけやって、セリフは頭の中で言ったりしてるんですよ。
土屋:音を聞かなくても、作れますか。
ちゅうえい:はい、そのフレーズを書いておけば、家に帰ってそのフレーズを見れば思い出せるんで。それでも覚えが悪い時は、携帯の自画録りの動画にして、小さな声でやったりしてます。
土屋:僕は、ボイスレコーダーに入れて一度家で聞いてみないと使わないんですよ。人の耳で聞いてみないと。そういうことはないんですか。
ちゅうえい:なるほど。でも、作った時におもしろいと思ったものは、なおさら覚えてるじゃないですか。だからそれで大丈夫だと思うんです。作った時に「これちょっとおもしろくなりそうだな」ってやつは、録音したりしますけどね。