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日本の2014年4-6月期のGDPは、前期に比べて大きく落ち込みました。消費税率の引き上げが大きな要因として挙げられていますが、具体的にはGDPのどの項目に影響したのでしょうか? 今回はGDPとその中身について、改めて調べてみました。

○GDP(国内総生産)

GDPとは、一国の経済活動の規模を金額で表したものです。具体的には、一定期間に国内で新たに生産されたモノやサービスの付加価値を合計したもので、「国内総生産」とも呼ばれています。

付加価値というのは、企業の生産活動や事業活動によって、新たに生み出された価値のことです。例えば、家電メーカーが海外から5万円で輸入した部品を元に液晶テレビを製造し、家電量販店に14万円で卸した場合、差額の「9万円」(14万円-5万円)が家電メーカーが生み出した付加価値となります。さらに、家電量販店がその液晶テレビを20万円で販売した場合、差額の「6万円」(20万円-14万円)が家電量販店が新たに生み出した付加価値となります。これらを合計していくことで、GDPが求められています。

実際の報道ではGDPの金額よりも、「2%増」といった前期と比べた伸び率が注目されることが多く、この伸び率は「経済成長率」とも呼ばれます。一般に、この数字が高いほど、国の経済活動が活発で、企業収益や人々の所得が伸び、景気が良い状態であると言えます。

GDPは、モノやサービスをいくら売ったか、という生産面だけでなく、生産されたモノやサービスがいくら買われたか、という支出面からも捉えることができます。

具体的に、支出面からGDPの中身を見てみると、家計がモノやサービスにいくら消費したかを示す「個人消費」、マイホーム購入などの「住宅投資」、企業による設備の購入や工場建設などの「設備投資」、政府による公共事業などの「政府支出」、モノやサービスの輸出額から輸入額を差し引いた「純輸出」など、様々な項目で構成されています。

このように、GDPは家計や企業、政府など、様々な主体の経済活動の状況を反映しています。そのため、GDPの公表時にはどの項目が大きく変動したかも注目されています。

ステップアップGDPには、「名目GDP」と「実質GDP」があります。「名目GDP」は測定時の時価で計算したものですが、物価が上昇すると、その分だけ増加してしまいます。そのため、経済成長率などは、物価変動の影響を除いた「実質GDP」を用いるのが一般的です。○個人消費(民間最終消費支出)

前述の通り、「個人消費」とは家計によるモノやサービスの消費のことです。GDPを構成する項目の一つで、日本の統計では「民間最終消費支出」と表記されています。日本では、同支出がGDPの6割以上と、最も大きな割合を占めている(2013年時点)ことから、個人消費はGDPに大きな影響を与えています。

今年の4-6月期のGDP成長率が大きくマイナスとなった際には、この項目の落ち込みが最も大きく寄与しました。1-3月期は、消費税率の引き上げ前に買い込んでおこうと個人消費が増え、GDPが大きく伸びた一方で、4-6月期はその反動で個人消費が冷え込み、GDPが低下しました。

四半期ごとに発表されるGDPは速報性に劣るものの、個人消費の動向を示す統計には毎月公表されるものがあり、速報性に優れています。例えば、個人の消費や所得、貯蓄といった家計についての動向を調べた「家計調査」などが、政府によって公表されているほか、「百貨店売上高」や「チェーンストア販売高」など、民間が公表している統計もあります。実際、百貨店売上高などが、今年の4月以降はGDPに先立って落ち込んでいました。

こうした個人消費に関連する統計などから、GDPの変動の方向性をいち早く捉えることができるかもしれません。

ステップアップ一般に、増税が行なわれたり、不景気になったりすると、生活必需品や安価な商品に比べて、高級品の売上は特に落ち込む傾向にあります。そのため、比較的高級品の取り扱いが多い百貨店の売上高は増税や不景気の影響を強く受けるとされています。

(2014年9月3日 日興アセットマネジメント作成)

●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」

※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。

(日興アセットマネジメント)