テキスト系妄想メディア「ワラパッパ (WARAPAPPA )」より

初めての海外はアメリカ大陸だった。今から20年以上も前のことだ。フロリダで40日ほどホームスティのような日々を過ごし、その後、ニューオーリンズ、ロサンゼルス、ニューヨークとまわった。フロリダの40日間で緊張がほぐれ、ニューオーリンズで少しはめを外したくなった。

一緒に旅をしていた友人と、ストリップを観よう、と二十歳そこそこの僕たちは色めき立った。ガイドブックで一軒のストリップ小屋にあたりをつけた。学生の貧乏旅行だったから、フレンチ・クオーターという繁華街からはだいぶ離れた地域の安宿に泊まっていた。バスで20分ほど揺られて繁華街を目指した。地元の人しか乗っていないバスで、僕たちのようなアジアから来た観光客の姿はない。怖い、とバスに乗った瞬間に感じたが、ストリップへの期待が恐怖に勝った。

無事にフレンチ・クオーターでバスを降りストリップ小屋に着くと、門の前に長身のボーイが立っているのが見える。今思い返すと、K1のアーネスト・ホーストに似た屈強なボーイだった。

僕たちは平然を装ってパスポートを提示した。アメリカでは10代前半に見られることをフロリダで痛感していたから、パスポートを年齢の証明に使っていた。ボーイはパスポートを確認して、渋々僕たちを店内に入れる。

薄暗い店内のステージではダンサーがセクシーな踊りを披露していた。友人と僕はセクシーダンスに圧倒されて口は半開きだ。

一幕が終わると、ダンサーが客席に降りてきてお客の前で踊り始める。どうやら、マン・ツー・マンで踊るサービスがあるようだ。

『I wanna dance for you』

そう囁きかけてくる。『20dollars』と言われてどうしようかと迷い、友人を見たら既にプライベートダンスを踊ってもらっている。それだったらと僕もオッケーと言って、2回踊ってもらった。1回のダンスは5分もなかったと思う。

プライベートダンスを含むダンスタイムは1時間ほどで終わり、長身のボーイから1人100ドルという金額を告げられた。事前の情報では1人50ドルもあれば充分だったはず。2人のお金を合わせてもきっちり100ドルしかない。2回のプライベートダンスが致命的だったのだ。

一度ホテルに帰ってお金を取って戻ってくる、と交渉するが納得してくれない。ポリス、という単語も聞こえてくる危機的状況だ。しばらくやり取りをしていると、ボーイが僕のカメラを指差した。それを預けろと言っている。言われるがままにカメラを預けお金を取りにホテルへ戻った。

小一時間で小屋に戻り、足りなかった代金を渡してカメラを返してもらった。ボーイはグッドラックと言ってカメラを返してくれながら笑った。真っ白な歯がとても印象的だった。

その時預けたカメラが、京セラのサムライという名前だった。そのサムライで長身のボーイと記念撮影をした。一緒に海を渡ったサムライが、僕を危機から救ってくれた記念として。



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この記事の元ブログ: サムライ・ブルー