「太ってるだけで馬鹿にされる。挽回したかった」体重40キロ差のXさんを“55発殴って死なせた”少年A、川村葉音被告とは「捕まってもずっと一緒にいようね」と約束【江別集団暴行殺・公判】
北海道江別市の公園で2024年10月、大学生の男性・Xさん(当時20)が男女6人から集団暴行を受け、死亡した事件。強盗致死などの罪に問われている川口侑斗被告(当時18)と少年・A被告(当時17)の裁判員裁判が、7月13日から札幌地裁で開かれている。
【写真を見る】並んでダンスをする川村葉音被告と八木原亜麻被告ほか、被害者Xさんの卒アル写真など
この事件をめぐっては、すでに共犯として川村葉音被告(21)に懲役30年、瀧澤海裕被告(当時18)に懲役20年、少年B(当時16)には懲役9〜13年の不定期刑が言い渡されている。瀧澤被告と少年Bは判決が確定。川村被告に関しては、本人と検察両サイドが判決を不服として控訴しており、異例の展開をみせている。A被告は7月27日の公判で、検察から懲役30年を求刑されている。
7月14日の公判では、主犯格の川口被告に次いで暴行の回数が多かったとされるA被告の被告人質問が行われた。事件当時、A被告は法廷で川村被告について「当時付き合っていた」などと明かし始めた--裁判を傍聴したライターの学生傍聴人氏がレポートする。【全4回の第2回。第1回から読む】
「こいつに暴行しても大丈夫だろう」
事件の発端は、Xさんと八木原亜麻被告(21)の間の交際トラブルだった。八木原被告から相談を受けた川村被告が、川口被告を含む共犯男性4人を誘い、2人と合流してXさんに暴行を加えた。
長時間にわたった一連の加虐行為は「第一暴行」「第二暴行」「第三暴行」と分類されているが、 A被告は積極的に加担したのは「第三暴行」と分類されている最も凄惨な犯行からとされる。暴行の回数について弁護側に問われると、「55回前後だった」と供述。さらに、全裸のXさんの陰毛などを燃やす犯行にも積極的に加担している。
これらの暴行をA被告は「ヤキ入れ」と表現。自身よりも体重が40キロ軽い、体格差のあるXさんに何度も暴行した。弁護側の被告人質問で、A被告は動機をこのように語った。
「当時、川口が怖かったのもありますが、やはり空気を乱すのはいけないなと一番に思っていました」
川口被告とA被告は中学校の同級生。それでも「逆らえない差がある」と話す。つづけて、弁護側が動機を形成した理由を質問すると、A被告は声を細めた。
「(自分は)ただ太っているだけで(共犯者らに)馬鹿にされたような場面が少しあったので、おそらく(暴行をすることで)挽回しようという気持ちがあったのだと思います」
まったく関係のないXさんに暴行を加えて、自身のプライドを保とうとしたというのか。検察側がさらに動機を追及すると、こう明かした。
「殴る際に日常から感じていたストレスもあったと思います。日常のストレスとか川村にされていた束縛とかです……」
つづけて、こう語った。
「『こいつ(Xさん)に(暴行)しても大丈夫だろう』と思っていたのだと思います。当時は(Xさんが)やり返さないだろうと思っていました」
被告人質問の冒頭で、A被告は「当時付き合っていた川村が……」と、川村被告との交際関係をおもむろに明かしている。2023年10月から交際を開始し、事件当時は半同棲生活を送っていたという。今回の事件に関与した理由も「川村について行った」と供述している。
そんな川村被告は、事件のきっかけを作ったとみられる共犯者だ。彼女が不在の法廷で、A被告は赤裸々に川村被告の性格や交際エピソードを語った。
川村被告との交際エピソード
川村被告は川口被告とともに、暴行の開始時点からXさんを殴打した。川村被告の暴行の回数は、共犯者らの供述にやや開きがあるが、合計で10回から15回ほどとみられている。交際相手が暴力を振るう姿を前に、A被告は平然としていたようだ。
「普段からイラッとしたら手を出している人だったので何も思わなかったです」
さらに、川村被告の束縛エピソードも法廷で明かされた。
「女性の連絡先を全部消されて、いとこですら消されて、コンビニのバイトが一緒だった女性にも『ウチの彼氏に話しかけんじゃねえよ』とか、様子を見にくることもありました」
そんなA被告は、八木原被告ともバイト先が一緒であり、性格をよく知る人物だった。
「八木原はすごく常識的な人ではあるんですけど、恋愛ごとを大げさに言って暴力で解決しようと(する)。やっていることと言っていることが少しズレているという感じでした」
さらに、川口被告の動機形成に関係していると思われる具体的な話も出てきた。
「(八木原から)『彼氏(Xさん)が浮気しているんだよね』みたいな話を川村は聞いていたみたいなんですけど、実際は(Xさんは)女性と連絡をとっていただけだったみたいです。八木原は『本当に一緒に出歩いたりしてるんだよね』という話を追加したりするところがありました。そういうところは川村もそうなんですけど……」
この証言の真偽は不明だが、川口被告は「川村さんから『友だちがトラブルになっていて、その男は体目的で付き合っている。1年で別れるつもりだと言ってる』と聞いて苛立った。すごい最低な男だなと思った」と、Xさんを執拗に攻撃した最大の動機として述べていた。八木原被告と川村被告の大袈裟に言う癖が、川口被告の暴行を引き起こしたとも言えるかもしれない。
川村被告からの手紙には「返事せず」
その後A被告は、被害者のXさんと一度だけ対面したことについて証言。A被告は、以下の2つの記憶が暴行時に蘇ったと述懐している。
「(2024年)10月13日に岩見沢の(北海道)グリーンランド(遊園地)で会いました。10月14日が2人(A被告と川村被告)の記念日で、10月14日にアマ(八木原被告)と被害者がデートすると聞いて10月13日に変更したのですが、この日に被害者とアマが来ていました。狙っていたのだろうと思うのですが、自分たちが観覧車に乗っていたときに2人は下で待っていて、被害者がいきなり自己紹介なく話しかけてきたので、印象はよくありませんでした」
さらに、「川村は恋愛ごとを大げさに言う」と表現していたA被告だが、川村被告のある発言を思い出したとも話す。
「川村から、『Xさんが「彼氏(A被告)よりも俺の方がいいよ」と言ってた』と言われたのも思い出しました」
また、川村被告との交際エピソードがさらに明らかにされた。
「川村は苛立つと1回殴ってくることはあるんですけど、私はほとんど返しませんでした。ただ、浮気をされたときに胸あたりを1回殴ったり、胸倉を掴んで問い詰めたことはあります。付き合ってから1年後くらいで、すごく言葉が通じないことがあって、『いい加減にしろ』と1回ビンタしたこともありました」
あわせて、川村への思いも明かした。
「仲はまあ良かったと思います。好きだったかはわからないんですけど、あまり離れることは考えられなかったです」
その関係性は、事件後にも強く結ばれており、川村被告と「捕まってもずっと一緒にいようね」と約束。勾留中もA被告の元へ手紙が送られてきたという。しかしA被告は、一切返信をしていないとのことだった。
そんなA被告だが、川口被告に次いで「55回前後」と暴行の回数が多い。
「(Xさんが)フラフラしていたり言葉を発するのが遅くなり、死んでしまうんじゃないかと感じた」
司法解剖時、Xさんは暴行によって顔が膨れ上がり輪郭が変わっていた。第5回公判では、解剖医の証人尋問が行われ、Xさんの遺体に残された苛烈な暴行の痕跡が明らかになった--第3回記事で詳報する。
(第3回記事につづく)
