関節痛に悩む人が飲む“あのサプリ”が「認知症」の進行速度に影響?
アルツハイマー病の進行には「細胞への糖の過剰付着」が深く関わっている――。このような研究結果が、フロリダ大学の研究員らにより発表されました。さらにこの研究では、関節痛を和らげる目的で広く愛用されている「グルコサミン」のサプリメントを摂取していた患者さんは認知症の進行が速い傾向も示されており、日常的な生活習慣が認知症に影響しうることが改めて注目されています。この内容について伊藤先生に伺いました。
監修医師:
伊藤 たえ(医師)
浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
フロリダ大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
伊藤先生
フロリダ大学の研究員らは、細胞のタンパク質に糖が過剰に付着する「高グリコシル化」という現象がアルツハイマー病の進行に深く関わっていることを発見しました。本研究では、アルツハイマー病の進行因子を調べるため、マウスモデルや亡くなったアルツハイマー病患者さんの脳サンプルを解析しました。その結果、脳で糖鎖(ブドウ糖などが鎖のように連なったもの)の生産が増加していることがわかりました。また、糖鎖をつくる酵素の働きを遺伝子操作で抑えると、マウスの認知機能が改善した一方で、グルコサミンをマウスに飲ませると認知機能が悪化しました。
さらに、実際のアルツハイマー患者さんの電子カルテを調査したところ、グルコサミンのサプリメントを摂取していた患者さんは病気の進行が速く、生存率も低い傾向が認められました。
これらの結果から、「糖の過剰な付着がアルツハイマー病の悪化要因であること」「糖の代謝調整が新たな治療戦略になりうること」が示されました。
認知症の進行を遅らせるためにできることは?
編集部
認知症の進行を遅らせるためにできることについて教えてください。
伊藤先生
認知症の進行を遅らせるためには、日常生活の中でいくつかの取り組みを続けることが大切です。まず基本になるのは、生活リズムを規則正しく整え、良質な睡眠を確保することです。また、散歩や水泳などの軽い有酸素運動を習慣化することで脳への血流が改善され、認知機能の維持につながります。さらに、家族や友人、デイサービスのスタッフなど他者との交流を積極的に持つことも効果的です。聴力の低下が見られる場合は補聴器を活用し、外部からの刺激を減らさないようにすることも重要です。できることから少しずつ取り入れて、穏やかな毎日を守っていきましょう。
内容への受け止めは?
編集部
フロリダ大学の研究員らが発表した内容への受け止めを教えてください。
伊藤先生
脳への過剰な糖の付着がアルツハイマー病を悪化させる要因の一つであることを示した興味深い研究です。同時に、糖代謝を調整することにより、アルツハイマー病の進行を抑制できる可能性も示されています。また、健康食品として多くの人が摂取しているグルコサミンとアルツハイマー病の進行との関連性についても、さらなる調査報告が必要と思われます。編集部まとめ
認知症の進行を遅らせるために、特別なことを始める必要はありません。規則正しい睡眠、無理のない運動、人との交流、そして補聴器の活用など、日々の小さな積み重ねが大切です。サプリメントの摂取は主治医に相談しながら、できることから取り入れていきましょう。

