2026年7月1日(水)8:50発表
日本 日銀短観2026年4-6月期

【1】結果:2026年4-6月期の日銀短観は改善、先行きは悪化予想で保守的な見方

2026年4-6月期の日銀短観における、全規模全産業の業況判断DIは18ポイントで、前四半期から横ばいとなりました。前回の2026年1-3月期時点の先行き予想では7ポイント低下の11ポイントが見込まれており、それと比較すると業況はポジティブな推移となりました(図表1、右)。一方で翌四半期(2026年7-9月期)の見通しは7ポイント低下の11ポイントが見込まれ、先行きは保守的な見方が示されました。

【図表1】企業規模合計・全産業の業況判断DIの推移(「良い」-「悪い」、%ポイント) ※右図薄色線は2026年1-3月期時点の先行き。シャドーは景気後退期 出所:日本銀行よりマネックス証券作成

業態・企業規模別に業況判断DIを確認すると、大企業は製造業が前四半期から5ポイント改善となる22ポイントとなりました。非製造業は37ポイントと1ポイント改善も概ね横ばい推移しています。一方で、先行きの業況感は中堅・中小企業含め、どの企業規模でも低下する見込みです。いつもながら、先行きにおいては保守的な見通しが優勢となりました。

【図表2】業態・企業規模別 業況判断DIの推移(「良い」-「悪い」、%ポイント) ※シャドーは景気後退期 出所:日本銀行よりマネックス証券作成

その一方で、設備投資計画は上方修正されました。2026年度の全産業における設備投資計画は、前期比6.8%増と前回(2026年1-3月期)から5.5ポイント上昇しました。この時期の設備投資計画としては2025年並みの水準と言えます(図表3-1)。また、2025年度の設備投資実績は前期比9.4%増と、期中は伸び悩みながらも二桁に近い伸びとなりました。

【図表3-1】全産業 設備投資計画修正の推移(前年度比、%) 出所:日本銀行よりマネックス証券作成

業態・企業規模別に設備投資計画を確認しても、中小・非製造業を除き、設備投資計画の上方修正が確認されました。もっとも中小・非製造業は2025年度が見込み時点よりも大きく上振れて着地しており、その反動もあって伸び悩んでいるものと考えられます(図表3-2)。

【図表3-2】業態・企業規模別 設備投資計画修正の推移(前年度比、%) 出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【2】内容・注目点:売上高・設備投資は上方修正、一定の底堅さうかがえる

設備投資を評価すると、外部の不確実性が高かったと言える2026年4-6月期の間に計画の上方修正が確認できたことは、需要の大きさが想起され、国内経済の底堅さにつながるものと評価しています。

加えて、2026年度の業績見通しも中東情勢が緊迫化した局面を含む調査であったにもかかわらず、底堅い見通しが示されました。図表4は、大企業における前回(2026年1-3月期)と今回の売上高・経常利益の前年同期比伸び率を確認したものです。あくまで企業の予想ベースとなりますが、売上については業態問わず、上期・下期ともに3月の見込みから増収率の改善が示されました。特に、上期の上振れ幅が大きいことが確認でき、想定以上に堅調な売り上げ動向であったと推察されます。

一方で、経常利益は中東情勢の影響も見られ、製造業・非製造業ともに上期は前回比で下振れ見込みです。下期の利益見通しはほぼ横ばいと言え、見通しもほぼ変化がないようです。注目点としては、下期の業績がさらに上振れするかが重要でしょう。もっとも、ある種強気な設備投資計画にあるように、国内のマクロ経済は堅調に推移していくことが期待できるでしょう。

【図表4】大企業 2026年度 売上収益計画の修正(前年同期比、%) 出所:日本銀行よりマネックス証券作成

【3】所感:2026年下期はコスト増の逆風を跳ね返せるかが重要

国内経済を考える上で、資源依存度の高い日本では、やはり原油を中心としたサプライチェーンの平時に向けた回復が鍵となることは言うまでもないでしょう。実際に、ホルムズ海峡の通行貨物の推移を確認すると、足元では、ようやく持ち直す様子が確認できるものの、有事前の3分の1以下の水準であり、平時回復までは距離があると言えます(図表5)。

もっとも、この間に資源輸入のサプライチェーン多角化の動きは見られ、直近6月の原油輸入は4割が米国産であったとの報道も見られます(従来では原油調達の9割がホルムズ海峡経由であったとされています)。

リスク分散は重要なテーマですが、その分コスト負担も相応に強いられるでしょう。現に図表4にあるように、下期の売上高の伸びに対し、経常利益の伸びが小さいことは、コスト負担の増加が示唆されていると考えられます。マクロでは堅調であっても、ミクロでは利益率などの悪化が見られる可能性が高く、逆に言えばこの間にも利益率を改善できる銘柄などは注目度の高いと言えるでしょう。

【図表5】ホルムズ海峡の通行貨物の推移 出所:Bloombergよりマネックス証券作成

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 山口 慧太

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部