矢野経済研究所は、独自に定義した国内の「個食」フード(個食対応商品)市場を調査し、分野別の動向や商品トレンド、周辺市場の動向、参入企業の動向、および将来展望等を明らかにした。その結果、「個食」フード市場規模は2025年度に7443億円、2030年度には1兆円突破を予測する。社会環境の変化と食の合理化、最適化によってソロ(個食)シフトが進むと見られる。

「個食」フード(個食対応商品)の国内市場は継続的かつ堅調に拡大している。2021年度に5309億円であった市場規模(4分野計)は、高い水準での成長を維持しており、2025年度には前年度比108.4%の7443億円(メーカー出荷金額ベース)に達している。

継続的成長の背景には、国内における単身世帯の増加(出典:総務省統計局「国勢調査結果」「人口推計」)や高齢者人口の増加(出典:総務省統計局「国勢調査結果」「人口推計」)といった世帯構造の変化が挙げられる。さらに、共働き世帯の増加(出典:総務省統計局「労働力調査」)に伴い、家事の省力化ニーズや家族間における生活時間帯の違いがみられ、同一世帯内であっても各自が別々のメニューを別々の時間帯で喫食するといった食事の個別化が進行している。

従来の家族向けを想定した大容量商品を個食向けに小分けにする手間や、それに伴うフードロス(食べ残し等による食品の廃棄)の発生を回避し、商品単体あるいは電子レンジ等の設備のみで一食が完結する利便性の高い商品群への需要が市場全体を押し上げている。

世帯構造の変化、国の推進する働き方改革等による在宅勤務の定着、生活時間の多様化などを背景として、家庭内で行われてきた調理、盛り付け、取り分け、後片付けといった一連の作業を極力減らしたいという需要が急速に高まっている。こうしたなか、食品メーカー各社では「一食として成立する設計」を重視した商品開発が加速しており、重要な方向性となっている。

この動きが最も顕著に現れているのが冷凍食品市場であり、なかでもワンプレート型冷凍食品が近年拡大している。背景には、電子レンジのみで主食と主菜を同時に完成できる点に加え、食器不要で喫食できる商品設計や、物価高騰のなかで外食や中食(惣菜)と比較すると、ワンプレート型冷凍食品は価格に見合った価値(コストパフォーマンス)があるとみる。近年は大手食品メーカー各社の参入が相次ぎ、和食、洋食、中華、丼物まで多彩なメニューを提供している。

「個食」フード(個食対応商品)市場は今後も堅調な成長を持続し、2030年度の市場規模(4分野計)は1兆514億円(メーカー出荷金額ベース)と大きく拡大するものと予測する。世帯構造の変化に加え、共働き世帯における異なる生活時間や、家事の省力化などの時間的な効率性を重視する生活スタイルといった現在のトレンドは今後も継続し、家庭内における食事のあり方をさらに変化させていくものと考える。その結果、家族単位での調理と分配を前提とした食卓から、個人の都合に合わせた1人での食事完結へと個食対応商品に対する需要は加速していき、「個食」フードは生活を支える基盤として、今後も成長していくものとみる。

[調査要綱]
調査期間:3月〜5月
調査対象:個食対応商品を展開する主要な食品メーカー(冷凍食品、チルド食品、常温加⼯食品、調味料関連)
調査方法:同社専門研究員による直接面談、アンケート調査ならびに文献調査併用
[小売価格]19万8000円(税込)

矢野経済研究所=https://www.yano.co.jp