A4が四つ折りになったマップ付き。心身が晴れやかになる味と出合う旅

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 暑い日々が続き、頭がなんだかぼーっとしてしまうこの季節。そんな時だからこそ、読書をして、頭をリフレッシュしてみては。おすすめの新刊4冊を紹介します。

『食堂巡礼』小川糸/白泉社/1650円

『食堂かたつむり』などで知られる著者が気になる味巡りをする。沖縄の食材尽くしの食堂「胃袋」、うどん屋でパン屋でもある長野県の「やまゆり」、弘前市でリンゴ畑を見ながらリンゴ酒片手に頂く郷土料理のお弁当など。味の背景にある店主や作り手のエピソードが滋味深い。エンゲル係数爆上がりの今、人と土と農畜産物が繋がった物語に、"誠実グルメ"の到来を見る思いだ。

『多類婚姻譚』凪良ゆう/講談社/2090円

 普通、喋り言葉よりも活字のほうが厳しい。でもこの短編集の5話は正反対。傍で聞くと耐えがたい口論も、活字だと読める。恋人を連れて里帰りした華と母親の論争、恋人に尽くしまくる派遣の花織の擬態、男社会を責める朱里の攻撃的口調に疲れ果てる律など5話。結婚はリスクが大きい。そういう前提の男女が多く登場するのも、今を映す鏡としての現代小説の更新を思わせる。

『おやじはニーチェ 認知症の父と過ごした436日』高橋秀実(高ははしごだか)/新潮文庫/781円

 介護中も"哲学"せずにはいられない。例えば記憶障害の考察ではアリストテレスを引き「経験を記憶するのではなく、記憶が経験を生み出すのである」などと書く。こんな抽象概念の間に父上とのコントのようなやりとりが挟まる。私事ながら私も私の名前を忘れた母に「娘と分かってるからいっちゃが〜」と誤魔化された時は大笑いしてしまった。ボケは愛嬌、涙と笑いの記録です。

『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』遠藤和/小学館文庫/847円

 19歳で6コ上の遠藤将一さんに一目惚れした和さん。一緒に暮らし始めるが、21歳でステージIVの大腸がんを宣告される。22で結婚、23で娘を出産、24歳で亡くなった。心を打つのはキツイ闘病生活の中にも、指輪、結婚、出産、料理の喜びなど、和さんの夢が叶っていくこと。この文庫版には書き下ろしで、将一さんのシングルファザー記も収録。パパの奮闘ぶりにも泣かされる。

文/温水ゆかり

※女性セブン2026年7月9・16日号