出川哲朗パッケージの「元気のりのり」も、ナフサショックを受けて値上げへ(右/「蔦金商店」の公式サイトより)

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 このまま消費者の"海苔離れ"に突入するのか──。海水温の上昇や降雨不足といった要因により、海苔の不作が続いている。それにともない価格は高騰。大手コンビニは、海苔を使用した商品の値上げに踏み切ったほか、よりコストを抑えた"海苔なしおにぎり"にも注力するようになった。

【写真を見る】お笑いタレント・出川哲朗の実兄で、老舗海苔問屋「蔦金商店」を営む出川雄一郎氏。出川哲朗パッケージの「元気のりのり」ほか

「お客様からは『海苔は高級品になっちゃったね』なんて声も聞こえるほどです」

 そう嘆くのは、創業から130年以上の歴史を持つ神奈川県横浜市の海苔問屋「蔦金商店」を営む出川雄一郎氏だ。出川氏は、お笑いタレント・出川哲朗の実兄であり、同商店ではパッケージに出川哲朗の写真をあしらった「元気のりのり」でも人気を集めてきた。

 出川氏によると、海苔の仕入れ値は上がる一方だという。

「10年ほど前まで全国で100億枚ほどあった生産量は、近年50億枚にまで落ち込み、供給は半分以下に。そのため最盛期と比べたら倍くらいの仕入れ値になっています。

 例年の倍以上にまで仕入れ値が跳ね上がった2025年と比較し、今年は少し落ち着いたと思いきや、今度はナフサ不足に起因する資材の高騰が深刻です。資材がないと海苔の販売はできませんからね……。ただ、今年の海苔の販売分はおさえてあるので、そこは安心です」(出川氏、以下同)

 出川哲朗のパッケージでお馴染みの「元気のりのり(焼のり・味付のり)」の現在の価格は、10年前と比べて35%ほど値上がりしたが、内容量に変更はない。人気タレントである弟とのコラボ商品である以上、プライドを持って商品に向き合っている。

「哲朗人気で買ってくれるお客様も多いので、食べてから"あれ?"とがっかりされるような商品では困る。当初は、滑らかで口当たりの良い九州の有明の海苔を加工して使っていました。

 ところが最近の九州の状況が良くないので、この頃は瀬戸内の海苔を加工して使っています。とにかく哲朗のネームバリューを使っているからこそ、品質は落とさないように意識しています」

 今でこそ広く愛されている「元気のりのり」だが、誕生をめぐっては紆余曲折があったようだ。出川氏が笑いを交えて自ら明かしたところによると、20年ほど前、弟と事務所に無断のまま商品を開発し、販売直前に本人に連絡したところ、「ちゃんと許可取ってよ」と叱られてしまったという。

「事務所からは、"哲朗のお兄さんだから"と大目に見てもらった」と苦笑いする出川氏。その後、きちんと許可を得て販売を開始したものの、当時の出川哲朗が「抱かれたくない男」の代名詞だったせいで、商品は全く売れず……。

 転機が訪れたのは2011年、出川哲朗が『大!天才てれびくん』(NHK Eテレ)の司会に就任したときだった。これによって親子ファンを獲得し、さらに『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で女性ファンが急増。出川氏は、「哲朗人気に火がついて、どんどん商品が売れるようになった」と回想し、「全国各地で売れるようになって大変ありがたいですし、全て哲朗人気のおかげです」と弟への感謝を述べた。

 兄弟でも海苔の値上げについて話題にしているという。

「哲朗も番組で海苔の高騰について聞かれるらしく、収録前に私に『実際どうなの?』と聞いてくるので、レクチャーしたりしていますね。自分の実家が海苔問屋であることを公表しているからこそ、彼なりに海苔への責任感を持っているのを感じます」

 出川氏は、「価格は上がっても品質は落としたくない」と語る。そのため各産地で採れた海苔をいち早く仕入れて、少しでも鮮度の良いものを使うように心がけていることを説明した。また、業者から個人まで多様なニーズに応えるべく、全国各地の海苔を揃え、要望に合わせて選別しているという。

「価格は高騰していますが、"蔦金商店の海苔じゃないとだめ"というお客様もいるので、品質を落とさずにやっていきます。

あと哲朗も還暦を過ぎましたが、一生懸命に体を張ってやっているので、ぜひ応援してください。私も哲朗の番組は全部録画しています。ただ、半分以上は見られていません……(笑)」

 海苔が"高級品"と呼ばれる時代になっても、老舗の矜持は変わらない。