試合終了間際、GK鈴木彩艶(奥)の指先をかすめたシュートはブラジルの決勝ゴールになった(29日)=飯島啓太撮影

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 サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3か国大会は29日(日本時間30日)、決勝トーナメント1回戦が行われ、日本(世界ランキング18位)は、ブラジル(同6位)に1―2で逆転負けした。

 (世界ランキングは6月11日時点)

日本1−2ブラジル

 左手の指先に感触を残しながら、鈴木彩はシュートの行方を追った。ゴールポストに当たったボールに「(ピッチの)内側にこい」と念じる。しかし、跳ね返ったのはゴールの中だった。後半追加タイム、若き守護神の胸に深く刻まれた一瞬だ。

 ブラジルのマルチネリが、DFの間でボールをトラップしてから右足を振り抜くまでのスピードは速かった。シュートの精度も見事。それでも試合後、鈴木彩はこう言った。「もうゼロコンマ何秒、速く前に出ていれば」。そして「もう1ミリ、触れていたら」。

 「まだまだ甘かった」と反省の弁ばかりが口をついたが、この日も好セーブを連発した。同点の60分頃には、相手エースのビニシウスにシュートを浴びたが、左手でコースを変え、ゴールは許さない。クロスを放り込まれても、落ち着いて対応した。

 21歳で出場した2024年のアジア杯ではミスが目立ち、日本は準々決勝敗退に終わった。その時抱いた「W杯でチームを救う」という決意と、数々の名GKを輩出してきたイタリアの地が成長を加速させ、押しも押されもせぬ日本の守護神としてこの舞台に立った。

 試合後、森保監督は「日本が上を目指すには、世界的なキーパーが必要だ」とさらなる成長を期待した。「次の4年間、顔を上げて進んでいきたい」と鈴木彩。23歳のGKが秘める無限の可能性は、まだ見ぬ「最高の景色」を照らす光となる。(細田一歩)