離婚を発表した山田まりや(写真:本誌写真部)

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「円満別居を丸5年していたけれど、なかなか離婚するタイミングを『どうしようかな』とお互いに思っていた」

タレントの山田まりや(46)が、6月17日に都内で行われたトークイベントに出演し、かねて別居中だった夫で俳優の草野とおる(58)と離婚に合意したことを明かした。山田は草野と2008年2月に結婚し、2012年には長男を出産している。

30日には離婚成立会見を実施。「相互納得してのすっきりした離婚になりましたので、『おめでとう』と言われて『ありがとう』と素直に言いたいです」と語った。

夫婦ともに離婚に踏み切れなかった背景には、離婚後に子どもの親権を持てるのが夫か妻かどちらか一方のみだったからだという。山田は、草野から「(離婚で)自分が親権までも奪われてしまうのはさびしい」と言われていたというのだ。

ところが、今年4月に民法が改正され、共同親権が選択可能となったため「それなら、いまのタイミングでどうですか?」という話に、夫婦間でなったそう。

夫婦が離婚した場合、夫か妻のどちらか一方しか親権を持てないことは、多くの人が認識しているのではないだろうか。しかし、それが4月からは、民法改正により、離婚後に元夫、元妻のどちらも親権を持つことも、選べるようになった。

夫婦の離婚問題に詳しいデイライト法律事務所の竹下龍之介弁護士が解説する。

「改正前の民法では、結婚しているあいだは共同親権制で、離婚した場合は単独親権制がとられていました。よって、夫か妻、どちらが親権者になるかを決めないと、離婚が成立しなかったのがこれまででした。

すると、たとえば母親が親権を持つ場合、父親側に『(離婚によって)親権を奪われる』という喪失感が出てしまうケースがありました。4月に改正された民法では、離婚後は、単独親権か共同親権かを協議で選択できることとなり『親権を奪われる』という喪失感は解消される方向になります」

山田と草野の場合、共同親権のメリットを活用できたケースだろう。このように、離婚に際して共同親権を選ぶことが「メリットになる人も少なくないのではないか」と竹下弁護士(以下同)。

「夫婦関係は終わっているけれど、子どもがいるから離婚できないとか、子どもがいるから相手に同意してもらえないという問題は、解消に向かうのではないかと思います。

妻から切り出された離婚には同意してもいいが、親権を手放すのは嫌だという夫は一定数います。しかし共同親権制度のスタートで、離婚を促しやすくなったのかなと思います」

■モラハラ夫との共同親権にはリスクもある

よく、離婚時に問題となりやすいのは「どちらが一緒に子どもと暮らせるのか」という点だと考えられるが、そもそも親権には2種類あると竹下弁護士。

「親権の内訳として、まず実際に子と一緒に住んで育てる権利を『身上監護権』といいます。一方、預金や不動産など、子の名義の財産を管理する権利を『財産管理権』といいます。親権はこの2つがセットで、現在(4月1日以降)は、離婚時に元夫婦の一方が単独で親権を持つか、元夫婦が共同で親権を持つかを選ぶことになっています」

ただし、山田と草野のようなメリットばかりでなく、共同親権制度にはリスク要因となり得るデメリットも指摘されている。

「考えておかなければいけないのは、共同親権を選ぶ場合、親同士の関係性を離婚後も築けることが大前提なんです。子どもの進学、引っ越し、重大な医療行為、重要な財産管理などは、離婚した親同士の同意が必要です。元夫婦で話し合って決められる関係性でないと、意思決定に支障が出てくる場合があります」

共同親権を持つ場合、生活レベルで「両親の合意が必要な行為」と「単独で決定できる行為」とに分類できる。

「子どもと一緒に暮らす親は、食事や買い物、習いごと、短期の旅行、DVや虐待からの避難、緊急手術などは単独で決定できます。しかし、転居や重要な進路の決定、重大な医療行為、預金口座の開設などは、共同親権のある両親の合意が必要なんです」

次のようなケースでは、問題となる恐れが大いにある。

「夫(妻)にDV、モラハラなどがあって離婚するケースで、共同親権を選択することを条件に離婚してしまうと、離婚後、元夫(元妻)の同意が必要な場面で妨害されたり、同意を(養育費の減少などの)交渉材料にされてしまう恐れがあるんです」

ところで、これから離婚する夫婦の場合には、離婚届が4月からすでに新しい書式になっており、共同親権の欄を選択すれば、役所で受理されるという。

■拙速に共同親権を選ぶのはリスク

では、4月以前に離婚した元夫婦が、単独親権から共同親権への変更を希望する場合は、どのような方法があるのだろうか?

「4月1日以前にすでに離婚した元夫婦の場合は、家庭裁判所への『親権者変更』の申し立てが必要です。15歳以上の子は、子の同意書面が必要になります。

まず家裁に申立書を提出すると、元配偶者のところに照会書などの書類が届きます。それへの回答に応じて調停の期日が書かれた呼出状が届くので、異存がなければ調停の期日に双方が出頭します。そして、裁判所が子の福祉の観点から問題がないと判断すれば、共同親権が認められる流れになります。親権者変更の手続きにかかる費用は、争いがなく弁護士をたてる必要がない事案であれば、印紙代など数千円で済みます」

竹下弁護士が最後に、注意点を挙げる。

「DVやモラハラがあって、共同親権を選ぶべきではないのに、『どうしても離婚したい』という思いがまさって共同親権を認めて離婚成立させてしまうのは、避けなければなりません。

こうなると元夫婦の関係性がずっと途切れませんので、共同親権を持つ場合の『合意が必要』(前述)な場面で、デメリットが出てくるんです。よって、山田さんと草野さんのように親としてお互いリスペクトがあるような場合には、共同親権を選択して離婚されるのもよいと思います」