近世から有名なのは出雲大社!全国にある安産から学問/商売/出世など現実的な願いを叶える神社とは?【神社の話】

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近世から有名なのは出雲大社!全国にある安産から学問/商売/出世など現実的な願いを叶える神社とは

一生の願いをかなえる神社

『古事記』『日本書紀』などの神話には、神様が人々の願いをかなえる話は出てきません。『風土記』にはオオクニヌシとスクナビコナが医薬のことや温泉の効能*を広めたといった話は出てきますが、個人の願いを神様がかなえたというエピソードはありません。むしろ神様の方が人間に対して「あの者に自分を祀らせてほしい」とか「社殿を修理してくれ」とか要求を出しています。これは氏族ごとに祀る神様が決まっていたことによると思われます。神様にお願いするのは一族の繁栄であったり地域の平穏であり、個々人の願望ではなかったのです。

しかし、中世から近世へと時代が移ると、神社と人々の関係も変わっていきました。信仰の担い手が貴族などから庶民へと替わったので、神社も庶民の素朴で現実的な願望に応えるようになっていったのです。さて、全国には実にさまざまなご神徳(ご利益)をもつ神社がありますが、そのいちいちを紹介していてはいくらページがあっても足りません。代表的な例を、人の一生に沿ってあげていくことにしましょう。まず、人生最初の願いといえば、無事に誕生することでしょう。それはもちろん母の願いでもあります。安産祈願の神様については第21項で述べていますので、そちらをお読みください。神社については左ページをご覧ください。安産・子育てに続く願い事である学力向上(受験合格)についても同様です。さて、無事成人したのちの願い事は、出世や商売繁盛でしょうか。

出世も商売繁盛も稲荷神社が有名です。なかには「出世稲荷」と呼ばれているところもあります。稲荷神はもともと秦氏の氏神(第25項参照)でしたが、その名からわかるように稲作の守護神でもあったことから、各地の田の神信仰と結びついて全国に広まりました。そして、豊作 ━→ 繁栄 ━→ 富貴という連想から商売繁盛や出世にもご利益があると信じられるようになりました。オオクニヌシとエビスは中世に福ふく神じん信仰と結びついたことから、財福の神として信仰されるようになりました。オオクニヌシは国づくりの神様ですが、「大国」が「だいこく」とも読めることから仏教の大黒天*と同一視されるようになり、財福の神としても祀られるようになりました。エビスは漁師が祀る漁業神でしたが、市場でも祀られたことから商売の神様としての信仰が広まりました。

なお、エビスはイザナギ・イザナミの御子神のヒルコ(水蛭子)として祀る神社と、オオクニヌシの御子神であるコトシロヌシとして祀る神社があります。金運がよくなるとする神社も各地にありますが、宮城県石巻市の金華山黄金山神社は、東大寺大仏の造立に用いる金が東北で産出したことを祝って聖武天皇が創建した神社です。縁結びでは出雲大社が近世から有名です。 これは神無月(旧暦10月)に全国の神々が出雲に集まるといわれているためで、この時に出雲大社で縁組みの相談がなされると考えられてきました。同じく出雲の八重垣神社(松江市)は、スサノオが八岐またの大蛇を退治してクシナダヒメ(櫛名田比売)と結ばれた地とされます。

一方、東京大神宮(千代田区)は神前結婚式を初めて一般向けに行なった神社であることから縁結びのご利益があるとされます。鳥取県宇部市の宇倍神社は5代の天皇に仕え360余年の長寿を保った武内の宿をご祭神とすることから、長寿のご神徳に預かれるとされます。

出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 神社の話』