木原官房長官に仕える茂木氏

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高市氏の鶴の一声だった

 政府は6月30日付けで木原稔官房長官の首席秘書官を務める茂木正(もぎただし)氏を交代させる人事を発表した。茂木氏が公費で宿泊していたホテルに女性を呼び寄せるなど、不適切な出張を繰り返していた疑いがあることを月刊誌「文藝春秋」などが報じたことを受けてのものと見られる。高市早苗首相に極めて近いとされる茂木氏の処分に至るまでには若干の紆余曲折があったとされるが、そのあたりも含めてお伝えする。

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 茂木氏は北大大学院工学研究科の修士課程を修了し、1992年に通産省(現・経産省)に入省。主にエネルギー畑を歩いてきたとされる。高市氏が経済産業副大臣だった際に秘書官として仕え、気に入られた。「高市氏から多くを相談される人物」との評もあった。2024年7月から政策立案総括審議官と大阪・関西万博の首席国際博覧会統括調整官とを兼ねるポストに就いた。

木原官房長官に仕える茂木氏

 高市氏が首相就任後、経産省出身の首相秘書官は茂木氏の3期下で固まっており、彼が入り込む余地はなかった。が、異例のことながら首相より下位の官房長官秘書官ポストにねじ込まれた。高市氏の鶴の一声だった。

A子さんと知り合って

 ここで、一連の疑惑を報じた「文藝春秋」の記事をざっと押さえておこう。

・2025年1月、万博の準備のために訪れた大阪の居酒屋で茂木氏はA子さんと知り合って意気投合。名刺には《経済産業省 首席国際博覧会統括調整官》とあった。

・程なく両人は茂木氏の宿泊するホテルで大人の関係になったが、A子さんは茂木氏が妻帯者であることを察知し、茂木氏からも関係の解消を提案された。“交際期間”中には茂木氏にしか知り得ない機密情報の暴露があった。

・公務出張で宿泊するホテルの部屋にA子さんを何度も招き入れ、ホテル側に正確な宿泊人数を申告しなかった。

「茂木氏から声をかけられたA子さんは茂木氏が妻帯者だと知らずに交際をしていたところ、妻帯者であることがわかり、その後の茂木氏の対応に不信感を抱いた結果、ある種の情報提供を行ったと見るのが自然なのでしょう」

 と、政治部デスク。

高市氏の甘さ

「昔からこの手の話題について経産官僚は規範意識が低いと言われてきましたが、茂木氏が行ったことは何ら言い逃れができないことだったと思います。税金から宿泊代を支出されたホテルでA子さんと大人の関係を結んでいたわけですから。茂木氏は報道後すぐに担務から外れましたが、秘書官ポストにはとどまっていました。“あとは首相が判断するということになっている”と聞きました。釈明できない内容であることは誰の目にも明らかだったのでいち早く更迭すべきだったのではとの声は強くありましたが、その判断をすぐに下さず何らかの様子を見ていた、そう見られても仕方ない状態だったのは高市氏の甘さなのかもしれませんね」(同)

 即座に更迭することによって野党側の追及を受けやすくなるとの判断だったのだろうか。あるいはある程度のタイムラグをおけば報道のインパクトを低減できるとの狙いもあったのかもしれない。

 赤沢亮正経産相は26日の閣議のあとの会見で、「現在、茂木秘書官が、経済産業省時代に行った大阪・関西万博の業務での数十回におよぶ出張について“出張目的の公務が適切に行われたか”“出張旅費は適正であったか”などの観点から事務方で確認が行われている状況だ」などと述べた。

松本文科相の不倫の件

 高市氏としてはひとまず「泣いて馬謖を斬」った格好だが、高市内閣では3月、松本洋平文科相が既婚女性との不倫を報じられた。

「報道後、野党は強硬な姿勢を見せましたが、与党が2月の総選挙で歴史的大勝を果たしたため、松本氏に対してそのまま強いスタンスで臨めなくなったということはあるでしょう。高市氏は今に至るまで松本氏を更迭していません。仮にそうすることによって政権に打撃を与えたり辞任ドミノの引き金を引いてしまったりするのを回避するためだったともされていますね」(同)

 高市氏自身、松本氏へのシンパシーはまるでなかったとされる。

「茂木氏のこともさることながら松本氏もそうですが、問題発覚後も職務を継続してきました。高市氏の判断を問題視して“ここは不倫OK内閣なのか”との指摘が巻き起こっています」(同)

 私人であれば不倫は個人の問題で済むだろうし、芸能人ならば単なるスキャンダルで終わることがほとんどだ。しかし、政治家や官僚は機密情報に触れる立場であり、私生活上の弱みはそのままセキュリティ上の問題につながる。仮に情報を入手したのが、マスコミではなく他国の情報機関だったらどうなるのか、考えればわかることだろう。

 スパイ防止法制定に熱心な高市首相が、それを知らないはずはないのだが……。

デイリー新潮編集部