「よろしかったでしょうか」は実はNG…知らずに使っている人が多い「間違った敬語」3選と正しい言い換え

写真拡大 (全2枚)

よく耳にするが、実は間違っている敬語が存在する。マナー・コミュニケーション領域の専門家である松原奈緒美氏は、こうした言葉を「マニュアル敬語」と呼ぶ。一般的に使われてはいるが、文法的にはおかしい言葉だ。

【画像】『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』

これらの適切な言い換え表現について、『信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典』(かんき出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。

実はNG①「~のかたちになります」

「~のかたちになります」という言い回しが癖になっている方は多いですね。何の形状もないのに「~のかたち」をつけるのは不自然です。話を聞く相手は「え、何の形状があるの」と違和感を覚えます。

このような表現は、通称「マニュアル敬語」と言われ、間違った話し方のひとつです。この「~のかたちになります」を使っている方の心理としては、次のようなものがあげられます。

●言い切りたくない
●丁寧に伝えたい
●柔らかく伝えたい

このような心理から「~のかたちになります」という表現が癖になっている方が多いでしょう。しかし、話し手の思いとは違い、受け取り手は違和感やわかりにくさを覚えています。次の言いかえ例を頭に入れ、状況に応じて使い分けましょう。

●「~させていただきます」
●「~でございます」
●「~となります(変化があるとき)」
●「~をお願いいたします」

実はNG②「よろしかったでしょうか」

「よろしかったでしょうか」という表現も、一般的によく耳にする「マニュアル敬語」のひとつです。社内会話、電話応対、接客応対などの様々なシーンでこの表現が使われていますね。無意識に使ってしまっている方も多いと思います。
なぜ「よろしかったでしょうか」が間違いなのでしょうか。それは、過去のことではないのに、過去形を使っているからです。これは明らかな文法上の間違い(時制の不一致)ですね。

また「~た」は、完了を表す表現でもあります。そのため、完了していないことに使うと勝手に完了されたような印象を与え、相手が違和感を抱く要因にもなります。現在進行形の物事を確認する場合は「よろしいでしょうか」を使うのが適切です。

そのほかにも、よく使われる
●「お間違いなかったでしょうか」
●「いかがでしたでしょうか」
●「大丈夫でしたでしょうか」
●「問題なかったでしょうか」
●「差し支えなかったでしょうか」

なども過去の物事の確認には使えますが、現在進行形の物事に使うのは誤りです。

実はNG③「了解しました」

理解したこと、承諾したことを伝える表現には「わかりました」「了解しました」「かしこまりました」「承知いたしました」などがあります。これらの表現は、相手との関係性に合わせて使い分けることが必要です。

「わかりました」「了解しました」は丁寧語ではありますが、謙譲語(へりくだった表現)ではありません。そのため、目上の方には丁寧さに欠ける印象を与えます。

特に「了解」は、「物事の事情を理解して承認する」という意味があり、主に目上から目下に対してのニュアンスです。目下から目上に使うと失礼にあたるため、避ける必要があります。

ビジネスでは、互いに相手に敬意を持って接することが大切です。

●自分がわかったこと、理解したことを伝える際は「承知いたしました」
●謹んで承りましたという強い敬意を表現する際は「かしこまりました」

を使うようにしましょう。

このような表現は癖になってしまうことが多いので、最近では、目上・目下など相手の立場にかかわらず、ビジネス会話では、謙譲語の「承知する」「かしこまる」を使うことが一般的です。

文/松原奈緒美(まつばらなおみ) 写真/shutterstock

信頼される人がやっている ビジネス基本のふるまい事典

松原奈緒美

2026/3/4

1,870円(税込)

280ページ

ISBN: 978-4761278601

・お客様への手土産は最後にお渡しするようにしている
・乾杯ではグラス同士をカチンと当てる
・商談の場でスマートウォッチを身につけている

こうした何気ないふるまいが
「マナー違反」とみなされ
あなたの評価を下げているかもしれません。

「そこまで気にする必要ある?」と思うような些細なマナー。
ビジネスの場では、その細かさが、安心感や信頼感の礎になっています。

大人にとってのビジネスマナーとは、窮屈なルールではありません。
仕事をスムーズにし、損を減らし、味方を増やし、評価を底上げするための技術です。

ただ、マナーは誰も注意してくれないから、自分では間違いに気がつけない。
自分では間違いに気がつけないから、AIに尋ねることもできない。

本書は
「もう誰にもマナーを教えてもらえない」大人が
印象・信頼度アップにつながる基本のふるまいを
あらためて学び直すことができる一冊です。

”常に形式だけにこだわった対応をすべきだと言いたいわけではありません。大切なのは、正しい知識を知った上で、状況に合わせて上手に引き算できることです。これこそが、本当の意味でのマナー上手です。
マナーとは、相手目線で考え、その思いを行動で表すものです。私は研修や講演で「マナー上手は仕事上手。マナーで仕事は判断される」とお伝えしています。マナーを見れば、その人がどれくらい相手を尊重し、相手目線で仕事を進められるかが想像できるからです。”
──「はじめに」より

【目次】
はじめに

第1章 第一印象
第2章 身だしなみ
第3章 社内での過ごし方
第4章 社内での話し方
第5章 敬語言葉遣い
第6章 ビジネス通信
第7章 電話応対
第8章 来客・訪問応対
第9章 オンラインコミュニケーション
第10章 会食シーン
第11章 ギフトと冠婚葬祭

おわりに