《山口組・司忍組長は保釈金10億円》元極妻が語る“ヤクザと裁判”の実態「無罪が何度でても終わらない“無限ループ裁判”も」
広域系3次団体組長だったオットが獄死。著書『極姐2.0:ダンナの真珠は痛いだけ』(徳間書店)を持つ、本名・出身地もろもろ非公開の元極道の妻がリアルな暴力団の世界を語る。
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六代目山口組傘下の五代目山健組・中田浩司組長の無罪判決が5月27日に確定しましたね。「暴力団幹部」の「求刑懲役20年の殺人未遂事件」が無罪確定というのは、本当にすごいことです。こんなことはまずありません。
起訴内容は2019年8月、対立する神戸市内の弘道会(山口組の中核組織)の施設前で50代の組員を殺害しようと拳銃を6発撃ち、5発を命中させて全治約6か月の重傷を負わせたというものです。
6発中5発も当てた腕前も、それで死ななかった組員もすごいですが、無罪というのがなにより驚きですね。現場付近の監視カメラ映像で、「別人である可能性が一定程度ある」と判断されたのも大きかったようです。
逮捕当時は「ヤマケン(山健組)もそこまで追い詰められたか……」といわれ、ヤクザ界隈の人たちはみんな、中田組長の射撃スキルに感心していました。私もですけどね。
「ほんとに中田さんかなあ?」と言っていたのは、2022年に亡くなった作家の宮崎学さんくらいですね。あと、私の亡きオットの兄弟分も何人かが、「『行ってこい』と指示できる子分はたくさんいるのに、なんでわざわざヤマケンのトップが行くのか?」と言っていました。
一審判決で神戸地裁・丸田顕裁判長も、「配下・傘下の組員に犯行を指示して実行させることが可能な立場にあり、自らが検挙のリスクの高い実行行為に手を染めることは、いささか不可解な面すらある」としています。
無罪でも安心できない
日本の刑事裁判の有罪率は99%以上といわれています。法務省はその理由について、公式サイトでこのように説明しています。
「検察当局においては、無実の人が訴訟負担の不利益を被ることなどを避けるため、的確な証拠によって有罪判決が得られる高度の見込みのある場合に初めて起訴するという運用が定着しています」
要するに、「有罪判決を得られる見込みの高い事件だけを起訴している」ということですね。だから中田組長の事件だって、検察は「有罪にする気満々」だったはずです。だからこそ無罪判決は珍しいのですが、一審で無罪になったからといって安心はできません。
検察が控訴し、上級審で判断が覆ることもあるからです。六代目山口組の司忍組長は、まさにそんな「逆転有罪」のひとつでした。
保釈金10億円、司忍組長の「逆転有罪」と異例の「無限ループ裁判」
1998年、司組長は、ボディガード役の組員に拳銃を持たせていたとして銃刀法違反(共同所持)容疑で逮捕されました。一審・大阪地裁は無罪判決を言い渡し、当時は話題を集めましたが、大阪高裁で逆転有罪。
そして、2005年12月に最高裁で有罪が確定となり、その数か月前に六代目を襲名したため、山口組の歴史で初めての当代の収監となりました。
ちなみに司組長の保証保釈金は10億円で、これも話題になりましたね。文字どおり「ポンと出した」といわれています。
保釈保証金が12億円だったのが、六代目山口組の若頭補佐や顧問を歴任した芳菱会・瀧澤孝総長です。司組長と同じく、ボディガードに拳銃を持たせていたとして銃刀法違反(共同所持)容疑で逮捕されました。しかし、その裁判は異例中の異例、"無限ループ裁判"でした。
瀧澤総長は大阪地裁で無罪、大阪高裁でも無罪判決を勝ち取りました。ところが最高裁はこれを破棄して差し戻し。やり直しとなった大阪高裁でも再び無罪判決が出ましたが、最高裁は再び差し戻しを命じています。
司組長は、一審無罪の後に二審で"逆転有罪"となりましたが、瀧澤会長は地裁でも高裁でも複数回にわたって無罪判決を受け続けていたのです。2001年に起訴されてから2018年に亡くなるまで、20年近くも「刑事被告人」の立場が続きました。
瀧澤会長が亡くなられた日は、大阪高裁で「第二次差し戻し控訴審」の判決が言い渡される予定でした。実現していれば、なんと8度目の司法判断です。20年近くも結論が出ない裁判というのは、なんとも不思議な話ですね。
今回の中田組長は、一審二審と無罪判決となり、検察も上告を断念したことで判決が確定しました。求刑20年の殺人未遂事件で、ここまでたどり着くケースは極めて珍しいでしょう。元・当事者として、いろいろ考えさせられるニュースです。
