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長女に暴力を振るったとして暴行の容疑で書類送検されていた阿部慎之助前監督について、東京地検が6月15日、不起訴処分にしたと報じられました。

阿部前監督は、5月25日、東京都渋谷区の自宅で18歳の長女に暴行を加えた疑いで現行犯逮捕され、その後書類送検されていました。不起訴の理由としては、暴行の様子や犯行後の状況など関係証拠の内容を踏まえ、起訴猶予としたとされています。

「起訴猶予」とはどういうものなのでしょうか。また、今後どうなるのでしょうか。簡単に解説します。

●不起訴にはいくつかの種類がある

不起訴とは、検察官が裁判にかけない(起訴しない)と決めることです。

不起訴の理由はいくつかありますが、代表的なものとしては、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つがあります。

「嫌疑なし」は犯罪の嫌疑が証拠上全くない場合、「嫌疑不十分」は、犯罪の嫌疑はあるが、証拠が不十分な場合とされています。

一方「起訴猶予」は、検察官が犯罪を証明できると考えているが、あえて起訴しない場合をいいます。

●検察官は起訴するかどうかをどうやって決めている?

起訴するかどうかは、検察官の裁量に委ねられています。

「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき」は起訴しなくてよい、とされています(刑事訴訟法248条)。

簡単にいえば、本人の事情や反省、被害者との関係などを総合的にみて決める、ということです。

特に暴行罪(刑法208条、2年以下の拘禁刑など)は、もともと法定刑もそこまで重いものではないため、起訴猶予になりやすい類型とされています。

前科がなく、被害者と示談ができていれば、なおさら起訴猶予に傾きます。

●報道や監督の辞任は関係あるの?

大きく報道され、監督辞任にも追い込まれたことから、「十分に社会的制裁を受けたとして、起訴を見送ったのでは?」と思う方もいるかと思います。

こうした事情も、処罰の必要性を弱める方向に働きうると考えられます。

ただ、今回のケースでは、こうした事情がなくても不起訴になった可能性が高いと思われます。

逆に、捜査の結果、児童虐待が背景にあるとか、暴行の程度がひどい、被害者が強く処罰を求めているといった事情が認められるのであれば、初犯でも起訴に傾くこともあります。

●今後はどうなる?

不起訴により、通常はこのまま事件は終結し、これ以上の捜査が行われることはないと考えられます。

また、不起訴処分は前科にはなりません。事件として捜査が進められ、処理したこと自体は捜査機関内部の記録としては残るでしょうが、通常はその内容が外部に出てくることもありません。

(参考文献)「情状弁護Advance アドバンス」(現代人文社、2019年)

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)