「バナナ」を壁に貼り付けた有名美術作品、何者かに盗まれる 仏美術館が告訴

(CNN)イタリア人アーティスト、マウリツィオ・カテラン氏の論議を呼んでいる美術作品、「コメディアン」の一部を構成するバナナが盗まれる事件があり、フランスの美術館が告訴した。
現場はフランス東部メスにある「ポンピドゥーセンター・メス」。美術館の5月31日の声明によると、同日、警備員から盗難の報告があった。
美術館は声明で「容疑者不明のまま関係当局に告訴した」と明らかにした。
声明では今回の盗難について「展示作品への敬意を損ない、展覧会が来場者に提供する体験を一時的に奪うものだ」とも付け加えた。
ただし、「作品の生鮮食品の部分は取り替えられ、可能な限り速やかに元の展示状態に戻された」という。
CNNはメス高等裁判所や、作品の売却を手掛けたペロタン・ギャラリーにコメントを求めている。
新鮮なバナナを壁にテープで貼り付けた作品「コメディアン」をめぐる出来事は、今回が初めてではない。
2019年、フロリダ州のアートフェアでカテラン氏がこの作品を初公開した際には、パフォーマンスアーティストのデービッド・ダトゥナ氏が壁からバナナをもぎ取り、あ然とする来場者数百人の前で皮をむいて食べてしまった。
その後23年、今度は韓国首都ソウルのリウム美術館で、美術学生が壁からバナナを取り外して食べる出来事が起きた。
24年11月には、中国の蒐集(しゅうしゅう)家で暗号通貨プラットフォームの創設者でもあるジャスティン・サン氏が、競売にかけられた「コメディアン」を624万ドルで落札。そしてバナナを食べてしまった。
25年7月にも、ポンピドゥーセンター・メスで来場者によってバナナが食べられる出来事が起きた。
美術館は当時の声明で「『コメディアン』の意図は金融投機の不条理さと、美術市場を支える知識の体系の脆弱(ぜいじゃく)さを示すことにある」と説明していた。
カテラン氏は大衆文化に挑むような風刺的な作品で知られ、コンセプチュアル・アートを巡る議論を巻き起こすことも多い。
カテラン氏のもう一つの話題作が18金でできたトイレ「アメリカ」で、その価値は約600万ドルに上るとされる。16年に米ニューヨークのグッゲンハイム美術館に初めて設置され、来館者が実際に使用できる趣向になっていた。
ウィンストン・チャーチル元英首相の生誕地である英国のブレナム宮殿で展示されていたが、19年に盗まれ、今に至るまで見つかっていない。
