Oracleの共同創業者であるラリー・エリソン会長兼CTOが、同社の財務会議でAIを活用した監視の未来についてのビジョンを語り、「将来的にAIが法執行機関の大規模な監視ネットワークを強化することを期待している」と述べたことが報じられています。

Oracle's Larry Ellison says that AI will someday track your every move | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/09/16/oracle-ceo-larry-ellison-says-that-ai-will-someday-track-your-every-move/



Omnipresent AI cameras will ensure good behavior, says Larry Ellison | Ars Technica

https://arstechnica.com/information-technology/2024/09/omnipresent-ai-cameras-will-ensure-good-behavior-says-larry-ellison/

エリソン会長はOracleの金融アナリスト会議で、「すべての警察官が常に監督され、問題があればAIがその問題を適切な人物に報告します。常にすべてを記録し、報告するので、市民は最善の行動をとるようになるでしょう」と語っています。



また、エリソン会長は「高速道路における車の追跡では、AI制御のドローンが警察車両に取って代わるでしょう。ドローンに車を追わせるだけです。自律型ドローンの時代なら非常に簡単なことです」と述べました。

エリソン氏が期待するAIによる予測と監視は強力なハードウェアの開発に依存します。エリソン会長はテスラのイーロン・マスクCEOとNVIDIAのジェンスン・フアンCEOとの夕食会で、「私とマスクCEOは、フアンCEOにGPUを懇願しました」と語りました。



by Oracle PR

IT系ニュースサイトのTechCrunchは、「エリソン会長はAIによる監視によって犯罪を大幅に減らすことができると信じていますが、これまでの試みが必ずしも彼の主張を裏付けるわけではありません」と述べています。

例えば、The Washinton Postによると、アメリカの警察の取締対象が黒人やラテン系に偏っているという指摘があり、AIに警察のデータを入力することはこの偏りをさらに強化する懸念があります。実際に、2019年にロサンゼルス市警が犯罪予測プログラムを試験導入したところ、黒人やラテン系の人々に対する監視が強化されたことが判明し、プログラムを中止しました。

また、IT系ニュースサイトのArs Technicaは、すでにAIによって監視するシステムは現実のものとなりつつあり、監視カメラを使った監視システムはロンドンの地下鉄や2024年のパリオリンピックで試験的に導入されているほか、中国では何年も前から監視カメラで住民を監視し、個人のデータを収集する試みを行っていると指摘しています。



Ars Technicaは「エリソン会長は普遍的な公共監視を肯定的に予測しようとしていますが、彼の発言はプライバシーや市民の自由、そしてAI監視の世界における悪用の可能性について重大な問題を提起しています」と批判的に捉えました。