パリ五輪の射撃混合10メートルエアピストルの決勝戦に臨むトルコのユスフ・ディケッチ選手。仏シャトールー射撃センターで(2024年7月30日撮影)。(c)Alain JOCARD / AFP

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【AFP=時事】パリ五輪の射撃混合10メートルエアピストルで銀メダルを獲得したトルコのユスフ・ディケッチ(Yusuf Dikec)選手(51)は、耳や目に装備を着けず、片手をポケットに手を入れたままというカジュアルなスタイルで試合に臨み、一夜にして世界中のインターネットで話題となった。

 日本のX(旧ツイッター)でも、オンラインゲームで装備に課金しないことになぞらえて「無課金おじさん」と呼ばれ、トレンド入りした。

 だが、当の本人は新たな名声にも動じていないようだ。

 ディケッチ選手は7月30日、パートナーのシェワルウライダ・タルハン(Sevval Ilayda Tarhan)選手と共に、射撃混合10メートルエアピストルに出場。決勝でセルビアに敗れたが、銀メダルを獲得した。

 しかし、結果と同じくらい注目を集めたのは、ディケッチ選手の身なりや姿勢だった。

 射撃競技では選手は通常、イヤーマフやシューティンググラス、帽子などの専用の装備を身に着ける。

 だが、ディケッチ選手は普通の眼鏡を掛け、トルコチームの白いTシャツ姿で登場。左手をポケットに入れたまま標的を狙った。

 在トルコフランス大使館はX(旧ツイッター)の公式アカウントにトルコ語で「ユスフ・ディケッチのようにクールであれ。こんなにもクールなやり方で銀メダルを獲得したことを祝福します」と投稿。

 Xではスパイ映画「007」シリーズの主人公、ジェームズ・ボンド(James Bond)のせりふをもじり、「名前はディケッチ。ユスフ・ディケッチ」と投稿するユーザーもいた。リラックスした姿勢を強調するために、ディケッチ選手の口にたばこをくわえさせたミームも拡散された。

 ディケッチ選手は1日、トルコのテレビ局「TGRT Haber」に出演。射撃競技ではほとんどの選手が片目を閉じるか隠して標的を狙うのに対し、両目を開けたまま撃つ珍しいスタイルを採用していることを認め、「私の射撃技術は世界でも珍しい撃ち方の一つで、両目を開けたまま撃っている。これには審判でさえ驚いている」と述べた。

 さらに、「われわれは今年、多くのことを準備し、たくさんのことに取り組んできた」ため、メダルを獲得できたのは驚くには当たらないとしながらも、「この成功はトルコ全体のものだ」と述べた。

 また、「成功はポケットに手を入れたままではやってこない」とも語った。

 一部のSNSユーザーの間では、パートナーを務めたタルハン選手にも注目すべきだとの声が上がっている。画像によると、タルハン選手はイヤーマフとサンバイザーを着用していたが、構えはディケッチ選手同様、片手をポケットに入れた楽な姿勢だった。

 トルコのオスマン・アスキン・バク(Osman Askin Bak)青年スポーツ相は、SNSでディケッチ選手を祝福しつつ、「伝説的なポーズ」を自らまねた画像を投稿した。

 ディケッチ、タルハン両選手は7月31日、仏パリのトロカデロ広場(Trocadero Square)に設けられたチャンピオンズパーク(Champions Park)で、トルコ国旗と銀メダルを手に勝利を祝った。

【翻訳編集】AFPBB News

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