AI生成の偽弁護士と偽DMCA通知を駆使した新手の「SEO詐欺」の事例が報告される

実体のない法律事務所から届いた、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)をちらつかせた通知を調べたところ、「依頼主のウェブサイトにバックリンクを張らせて検索結果での順位を押し上げることを請け負う」というSEO詐欺であることが明らかになったとして、判明の経緯や依頼主を直撃した結果をIT系ニュースサイトの404 Mediaが報じています。
A ‘Law Firm’ of AI Generated Lawyers Is Sending Fake Threats as an SEO Scam
生成AIと、法的措置をほのめかす古典的な脅迫を組み合わせた新手のSEO詐欺が発覚したきっかけは、ニュースサイト・Tediumの管理人であるアーニー・スミス氏が受け取った「著作権侵害の通知」というタイトルのメールです。

Commonwealth Legalという法律事務所から宛てられたそのメールには、「私たちのクライアントに関連する画像について、著名な企業の知的財産部門を代表して連絡を取っています」と書かれていました。
404 Mediaによると、ウェブサイトの画像の著作権に関するこの手のメールはよくあるとのこと。しかし、Commonwealth Legalから届いたメールは、画像の削除を要求したり訴訟をちらつかせたりする代わりに、「Tech4Gods.com」というサイトへのリンクを掲載するよう要求している点で、ありふれたスパムメールと一線を画していました。
そこで、スミス氏がCommonwealth Legalのウェブサイトをチェックしたところ、そこ掲載されていた弁護士のプロフィール画像は、架空の人物の顔を生成するサイトによくあるような、うつろで焦点の合わない目をした顔写真ばかりでした。

また、弁護士らの名前を弁護士データベースやLinkedInで検索してもヒットせず、唯一の手がかりは顔写真を画像検索した際にヒットする「Generated.Photos」という顔写真生成サービスのサイトでした。
AI検知スタートアップ・Reality Defenderの共同設立者兼CTOであるAli Shahriyari氏は404 Mediaに、「これらのスキャンされた顔は、すべて敵対的生成ネットワーク(GAN)モデルのようなAIによって生成された可能性が高いでしょう」と話しています。
スミス氏がGoogleのストリートビューで見つけたCommonwealth Legalの住所は、公式サイトに掲載されている建物の写真とは似ても似つかない平屋で、電話番号はいずれも不通となっており、問い合わせフォームでの連絡にも何の反応もありませんでした。
DMCA通知を送信してきたのが、実体の伴わない法律事務所だということを突き止めたスミス氏は、「これはウェブサイトへのリンクを張らせてGoogleの検索結果でのランキングを上げようとしているバックリンク詐欺だ」と気づきました。
問題のメールがリンクを張らせようとしていたTech4Gods.comは、ダニエル・バーチャック氏という男性が運営するガジェット系のレビューサイトで、サイトには「質の高いコンテンツへのコミットメントを、AIライティング・アシスタントによって補完しています」と書かれています。

スミス氏が著作権を侵害したとされていた画像は、スミス氏がロイヤリティフリーの画像サイト・Unsplashからダウンロードした画像です。
これについて、404 Mediaがバーチャック氏に直接問い合わせたところ、バーチャック氏は「確かに私はその画像の所有者ではありません」と証言しました。
バーチャック氏によると、同氏は以前からSEOのために自分のサイトへのバックリンクを購入していたものの、冒頭の詐欺メールについてはまったく関知していないとのこと。
「バックリンク」とは、外部サイトから張られたリンクのことです。Googleなどの検索エンジンでは、外部からのリンクが多いページが質の高いコンテンツと見なされる傾向があるため、外部からのリンクをなるべく多く獲得しようとする「リンクビルディング」という手法が、SEO対策としてよく用いられています。

バーチャック氏は「メールのことは知りませんし、確かに私とは何の関係もありません。しかし、最近何者かが私のサイトにスパム的なリンクを張っており、それに対処しています。私はSEOを心得ていますが、時間がないのでバックリンクを購入しています。以前、お粗末なリンク業者がいて、その人との取引をやめたので、彼が私への腹いせにやっているのかもしれません」と話しました。
質の低いサイトからのリンクは逆にページランクを下げる危険性がありますが、スミス氏は技術系ブロガーとして定評があるため、Tediumからのリンクは検索エンジンのアルゴリズムから好ましい評価を受ける可能性が高いと、404 Mediaは指摘します。
また、今回の一件について404 Mediaは「この詐欺は比較的新しく、またウェブサイトの運営者がよく見る法的脅威を装っているという点で陰湿です。この手の詐欺の台頭は、こうしたSEO詐欺には終わりがないようだということを暗示するかのようです」とコメントしました。
