ヤマハは、アコースティックピアノの音やタッチ感はそのままに、デジタル技術との融合により音量調節や消音が可能な「トランスアコースティックピアノ」と「サイレントピアノ」のラインナップを一新し、2022年9月15日から順次販売を開始する。

トランスアコースティックピアノ/C3X-TA3

「トランスアコースティックピアノ」は、アコースティックピアノでの演奏体験に加えて、響板で電子(サンプリング)音源を発音して演奏できるテクノロジーを搭載したピアノである。 内蔵のトランスデューサー(加振器)が電子音源の情報を振動に変換して響板に伝えることで響板が振動し、さらに弦の共鳴効果も加わってピアノ全体が共鳴体となり音を響かせるという構造だ。電子音源をピアノ全体から自然な響きで発音でき ヘッドホンを使用しなくても音量を調節しての演奏が可能になっている。

「サイレントピアノ」は、アコースティックピアノの構造はそのままに、ヤマハ独自の消音機能を付加したピアノだ。消音モードに切り替えると、鍵盤を弾いた際にハンマーの動きが打弦直前の位置で止まり、弦が鳴らない仕組みとなっている。センサーで演奏者の表現を検出し、電子音源をヘッドホンから発音することで、消音時でもアコースティックピアノさながらの音色と演奏を楽しめる。

今回発売されるモデルには、新開発の「アーティキュレーション・センサーシステム」を搭載。88鍵すべての鍵盤の下に設置されたセンサーのワイヤレスコミュニケーションにより、ピアノ本来のタッチ感を損なうことなく、自然な演奏を可能にするという。鍵盤の打鍵・離鍵の動きを常に正確に把握し、スタッカート演奏時など細やかな鍵盤の動きを、従来よりもさらに正確に検出できるようになったとのことだ。

グランドピアノでは、タッチの違いに対して、ハンマーやダンパー、弦などの内部機構がその都度異なる動きをしながら相互に影響し合うことで豊かな音色を生み出すが、こちらも独自技術である「グランド・エクスプレッション・モデリング」により、多彩な音色変化をシミュレーションしている。指で鍵盤を押してから離すまでのタッチの強弱に加え、タッチのスピードや鍵盤を押すときの深さに応じた音色の変化も弾き分けられ、さまざまな奏法に応じた音色表現を実現する。

また、コンサートグランドピアノ「CFX」とベーゼンドルファーのフラッグシップモデル「インペリアル」のサンプリング音源を改良。加えて、演奏者の耳と同じ位置に特殊なマイクを置いてピアノ音を収録する録音手法「バイノーラルサンプリング」を、従来の「CFX」音源に加えて新たに「インペリアル」音源でも採用している。

全モデルでBluetooth(AUDIO/MIDI)に対応。スマートデバイスと楽器をワイヤレスで接続し、デバイス内のオーディオデータを再生しながらアンサンブル演奏が楽しめるほか、iOS/Android用の無料アプリ「スマートピアニスト」を利用することで、メトロノームを操作したり、内蔵曲の楽譜をスマートデバイス上で見ながら演奏するといったことが行える。

ラインナップは以下の通り。

型番中の「C」はチェリー/半艶塗装、「W」はウォルナット/半艶塗装、「DMC」はダークマホガニー/木目調鏡面艶出し塗装、「PWH」はナチュラルホワイト/鏡面艶出し塗装の外装仕上げをそれぞれ表す。なお、「YUS1TA3」「YUS3TA3」「YUS5TA3」「YUS1SH3」「YUS3SH3」「YUS5SH3」の木目調外装仕上げの発売時期は未定。TA3・SH3タイプについては、ピアノの原型である18〜19世紀の「フォルテピアノ」の音色を4種類搭載している。

発売にあわせて、トランスアコースティックピアノの機能を活用した演奏を楽しめるオンラインコンサートの配信を予定。開催日時と出演者は以下の通り。

トランスアコースティックピアノ オンラインコンサートVol.1

出演:ジェイコブ・コーラー

日時:2022年10月16日 15:00〜16:00、19:00〜20:00(予定)

トランスアコースティックピアノ オンラインコンサートVol.2

出演:米津真浩、小瀧俊治

日時:2022年12月4日 15:00〜16:00、19:00〜20:00(予定)

イベント詳細はこちらから順次案内予定。さらに、いずれかのモデルを2023年3月31日までに購入契約したユーザーには、ジェイコブ・コーラーの最新楽譜集「Jazz Piano World」をプレゼントするキャンペーンも実施する。

ジェイコブ・コーラーの最新楽譜集「Jazz Piano World」をプレゼントするキャンペーンも実施