ダイエットには、やめた途端に体重が元通りになってしまうというリバウンドの問題がつきものです。そんなリバウンドを引き起こす原因として良く言われている「ダイエットをすると基礎代謝が落ちる」という説について、イギリス・サリー大学栄養学部のアダム・コリンズ教授が解説しています。

Dieting may slow metabolism - but it doesn't ruin it

https://theconversation.com/dieting-may-slow-metabolism-but-it-doesnt-ruin-it-154620

基礎代謝とは、「ずっと安静にしている状態で消費するカロリー」のことを指します。体重を落とすためには基本的に摂取カロリーよりも消費カロリーが上回る必要があるため、安静にしているだけで消費する基礎代謝が高ければ高いほどダイエットに有利です。

しかし、ダイエットの際には不要な脂肪だけでなく、カロリーを消費してくれる筋肉までも落ちてしまいます。筋肉が1kg落ちると15〜25kcalの基礎代謝が下がるため、基礎代謝が落ちるというのは事実。さらにコリンズ教授によると、摂取カロリーが低下すると体は体重減少を最小限に抑えるため、「代謝を落とす」というシステムが働くとのこと。この代謝を落とすシステムはダイエット開始からわずか3日以内に始動し、ダイエット終了後にも持続することが示唆されています。この一連のプロセスがリバウンドが生じるメカニズムというわけです。

以上のようにダイエットをすると基礎代謝が落ちてリバウンドが起こりやすくなるというのは事実です。しかし、コリンズ教授は、「ダイエットによって基礎代謝が落ちるというのは、長期的にはみれば良いことです」と主張します。

体重が減った際に体に生じる変化の中でも大きいものが、「体脂肪の減少」です。体脂肪の減少は「脂肪が落ちる」とも表現されますが、実際には脂肪細胞が縮小するという現象が生じています。脂肪細胞が縮小すると体は「エネルギー貯蔵庫がゼロになっている」と解釈し、食欲を抑制する働きを持つホルモン「レプチン」「インクレチン」の産生量を減らします。こうして食欲を抑制するレプチンやインクレチンが減ることでおなかがすいていると強く感じるようになるため、ついつい食べ過ぎてしまうというわけです。

コリンズ教授が「長期的にみれば良いこと」と表現する理由は、代謝全体が健康的になるため。例えば、脂肪細胞が過剰に膨張すると、体から余分な糖分や脂肪を取り除くことができなくなる場合があり、血中の糖分と脂肪分が増加し続け、最終的に糖尿病を発症したり心血管疾患のリスクが高まったりするケースがあります。こうした状況を予防するためには、ダイエットを行って普段から脂肪細胞を縮小させることが重要というのがコリンズ教授の主張です。

コリンズ教授は「ダイエットは代謝をダメにするのではなく、むしろ代謝がうまく機能するように手助けしてくれます」と表現しつつ、一方で、「代謝が落ちた際には何か対策を行わないと、リバウンドしてしまうでしょうね」と一言。リバウンドを防ぐ対策として、筋トレが代謝の低下を最小限に抑えてくれるという研究を挙げて、筋トレを推奨。さらに筋トレには食欲を押さえる働きと脂肪の燃焼を助ける働きがあると指摘し、「長期的に体重を落とすのに助けてくれる可能性があります」とコメントしました。