●競合製品に対するZoomのアドバンテージは?

○ビデオ会議で新型コロナウイルス感染のリスクを低減

日本政府は2020年2月26日、新型コロナウイルスの国内感染拡大を抑制する目的で2週間の大規模イベントの自粛、延期、規模縮小、中止などを呼びかけた。翌27日には2020年3月2日から春休みまで小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について臨時休業を行うように要請が行われた。さらに、日本政府は2020年3月10日、3月9日に行われた政府の専門家会議の見解を踏まえ、イベント自粛のさらなる継続を発表した。10日間ほどの延長が呼びかけられている。

こうしたイベント自粛や休校の取り組みは日本だけにとどまらず、新型コロナウイルスの感染者を抱える他の国や地域でも行われている。例えば、イタリア政府は2020年3月10日(現地時間)、国内全土で不要不急の外出を控えるように呼びかけを行った。同政府は2020年3月4日時点ですべての学校を休校にする措置を決定している。そのほか、世界中で出入国制限が増えているほか、向こう数カ月のイベント中止が相次いで発表されている。

Coronavirus COVID-19 Global Cases by the Center for Systems Science and Engineering (CSSE) at Johns Hopkins University (JHU) - 2020年3月11日時点

専門家からは、こうした状況はすぐには収束せず半年や1年といったスパンで続く可能性あるという意見も出始めている。事業継続という観点で見ると急激に厳しい状況に陥ったことになるが、できる対策から始めるしかない状況だ。

在宅勤務やテレワークが難しい業種や職種もあるが、可能であるなら、社外でも業務を続けることができる。例えば、これまでビデオ会議の導入をためらってきたのであれば、このタイミングで挑戦してみるのは悪くないだろう。ビデオ会議は導入の敷居が低い割に効果を得られやすい。ビデオ会議を利用できれば移動時間を省くことができることはもちろん、会議するために生じる公共機関での移動や、会議室に多人数が一定期間同席することによる感染の可能性を下げることもできる。

ビデオ会議を導入するにあたっては、機材の購入やサブスクリプションの購入など、初期投資も運用も負担に感じるかもしれない。しかし、現在では廉価に、または無償で利用できる優れたサービスが多数存在している。ビデオ会議を考えている以上に簡単に始めることができる。

○Zoomの特徴とは?

ビデオ会議サービスを提供しているベンダーはいくつもあるし、サービスもたくさん存在している。ビデオ会議を既に使いこなしている企業も多い。今回は、まだビデオ会議を導入していない個人や企業を対象に、導入の簡単さに定評がある「Zoom」を紹介したい。「Zoom」には他のビデオ会議サービスと比較して次のような特徴がある。

Windows、macOS、Linux、iPhone、iPad、Android、Chromebookで使用できる

ビデオ会議の参加者にアカウントが不要

ビデオ会議の主催者のアカウントにGoogleアカウントやFacebookアカウントを使用できる

無償版でもビデオ会議に必要なほとんどの機能がそろっている

とにかく導入が簡単で、さらに用途に合わせてスケールアップが容易にできる。導入も簡単、大規模運用も簡単、運用も簡単なのだ。

Zoom

この手のサービスは、主催者(ホスト)のアカウントが必須となることが多い。招待を受ける参加者側にもアカウントが求められることがある。しかし、Zoomでは参加者にはアカウントは不要だし、ホスト側もGoogleアカウントやFacebookアカウントが利用できるので、実質的にアカウントを増やす必要なく利用することができる。これはZoom最大の使いやすさといっていいかもしれない。

ZoomはPCからスマートフォンまでさまざまなプラットフォームに対応している。必要なのはソフトウェアをインストールするだけだ。会議を開始する主催者(ホスト)も招待される参加者側も、使用するソフトウェアは同じだ。

いくつかの選択肢があるのだが、基本的に次の組み合わせでアプリケーションまたはアプリをインストールしておけばよい。

招待を受ける参加者側は、事前にソフトウェアをインストールしておく必要もない。会議の招待を受けた段階で、必要があればアプリケーションやアプリのインストールに誘導されていくので、流れに合わせてインストールを行えばよいだけだ。

●クライアントアプリ、モバイルアプリの使い方

○デスクトップ/ノートPC向け「Zoomクライアント」の使い方

会議を開くなら「ダウンロードセンター - Zoom」から「Zoomクライアント」をダウンロードしてインストールする。インストールしたらアプリケーションを起動してサインインを行う。Zoomのアカウントを作って使用してもよいし、GoogleまたはFacebookのアカウントがあるならそちらでサインインすればよい。

Zoomクライアントを起動

ZoomアカウントまたはGoogleアカウント、Facebookアカウントでサインイン

サインインすると、アプリケーションが次のようなスクリーンになる。「新規ミーティング」をクリックすればすぐにビデオ会議を開始することができるし、「スケジュール」からは事前に時間を指定して会議予定を作成しておくこともできる。

サインイン後のZoomクライアント

「スケジュール」から時間を指定してビデオ会議を予約

次のスクリーンショットは実際にZoomクライアントでビデオ会議を行っているところだ。アプリケーションのUI/UXはわかりやすく、特に操作に困ることはないと思う。

Zoomでビデオ会議を行っているところ

ビデオ会議を開始した主催者は参加者を紹介できる。招待を受けた参加者はURLをクリックすることでアプリケーションを起動し、ビデオ会議に参加する。アプリケーションがインストールされていなければアプリケーションのダウンロードが行われるので、インストールを行ってもう一度URLをクリックする。これでビデオ会議に参加できる。

○スマートフォン/タブレット向け「Zoomモバイルアプリ」の使い方

会議を開くなら「ダウンロードセンター - Zoom」から「Zoomモバイルアプリ」をダウンロードしてインストールする。あとはデスクトップ/ノートPC向けのZoomクライアントと同じだ。ZoomアカウントまたはGoogleアカウントやFacebookアカウントでサインインを行い、会議を作成すればよい。

Zoomモバイルアプリ

「スケジュール」から会議を予約作成

ビデオ会議の様子を以下に示す。

Zoomモバイルアプリによるビデオ会議中のようす

ビデオ会議の招待をiPhoneやAndroidで受け取った場合、次のようにZoomモバイルアプリをインストールするかミーティングに参加するか促されるので、アプリをインストールしていなければ、インストールしてから同じ操作を行えばよい。Zoomモバイルアプリが起動してきて、上記スクリーンショットのようにビデオ会議が可能になる。

iPhoneやAndroidに招待が届いた場合

ZoomモバイルアプリもUI/UXがよくできており、特に操作に迷うことはないだろう。Zoomは主催者側にデスクトップ/ノートPCが不要というのも大きな特徴だ。すべての操作をスマートフォンで完結させることができる。最近は、スマートフォンやタブレットしか使わないケースも増えており、こうした対応は嬉しい。

●無償プランでどこまで使える?

○無償プランは1回連続40分まで

Zoomの提供するサービスの詳細については、ZoomのWebサイトで確認していただければと思う。提供されている基本的な機能は次のとおりだ。ビデオ会議に対して十分な機能が提供されている。

Zoomには、無償で利用できる「基本」というプランに加え、利用できる機能や人数の上限が上がる「プロ」「ビジネス」「企業」といったプランが用意されている。簡単にまとめると次のようになる。

基本とそれ以外の最大の違いは、無償の「基本」プランだと、3人以上で使用する会議の長さが、1回当たり最大40分に制限されていることだ。しかし、40分経ったらまた会議を作れば同じように利用できるので、手間は増えるが長い会議も利用できる。ただ使ってみればわかると思うが、Zoomは便利だし「プロ」以上でも使用料金が安い。利便性を考えると有償プランを購入したほうがよいことも多いだろう。

○これからビデオ会議をはじめるなら

これからビデオ会議を導入するなら、Zoomはよい選択肢と言える。簡単に導入でき、会議の参加者に参加方法を説明する必要がほとんどいらない点が特によい。メールやメッセージで招待を送るだけで、会議を始めることができる。招待された人は、URLをクリックすれば簡単にビデオ会議に参加できる。デスクトップの共有といった機能も無償版で使用できる。

Zoomは新型コロナウイルスによる学校休業に対応するサービスとして、2020年4月30日まで遠隔授業向けクラウドビデオサービスを無償提供すると発表している。この期間は3名以上の会議で最長40分という制限がなくなる。

なお、Zoomはビデオ会議以外にも遠隔授業にも利用できる。今後新型コロナウイルスを取り巻く状況がどのように推移するか、見通しが立てにくくなっている。使える技術やサービスはフルに活用して、この状況に対応していきたいところだ。