人手不足で対応苦慮も…「有給」義務化に中小企業はどう対応?
有給の取得について、ある程度の規模の中小企業ではすでに対応済みの企業が多い。
プラスチック・樹脂加工を手がける湯本電機(大阪市東成区、湯本秀逸社長、06・6976・3366)は、有給の取得率向上に5年前から取り組む。同社は1か月を通して無遅刻、無欠勤だった社員に皆勤手当1万円を支給していたが、有給を取得すると従来はこの手当がつかなかったという。
湯本社長はこれが「有給を取得しにくい要因」と考え、一定の有給を取得しても皆勤とする方式へ2014年度に変更。14年度から皆勤とみなす有給を1日ずつ増やし、現在の年休の平均取得日数は5日を超えた。
業務に支障が出ないよう職場での工夫は必要だが、少しずつ有給を取得しやすい雰囲気が生まれている。取得率向上は「経営者の伝え方次第」と言い切る。
日光金属(栃木県矢板市、佐藤正太郎社長、0287・47・4581)も08年から年間5日の有給取得を義務化。同社が指定した5日間は全社員が休日となる。佐藤社長は「会社側が有給取得を促すことで休みを取りやすい環境を整備し、働きやすい職場作りに生かしたい」と狙いを説明する。
こたつ用のヒーターユニットや産業用ヒーターを手がけるメトロ電気工業(愛知県安城市、川合誠治社長、0566・75・8811)も08年から5日間の計画有給制度を実施しており、義務化でも急な準備は必要ないという。計画以外の有給も取得できている社員が多く、「さらに取得率をあげていきたい」(川合社長)。
屋上換気扇や気化式涼風装置を主力とする三和式ベンチレーター(愛知県稲沢市、服部聡始社長、0587・32・4168)も、大半の社員は年間5日以上は有給休暇を消化している。「すでに2、3日は強制的に取得をさせている」(服部社長)状況で、「残り2、3日をしっかり消化させるよう指導する」(同)と負担感はない様子だ。
真空注型機などを手がけるsid(埼玉県川口市、清水勝明社長、048・264・7131)の清水社長は「義務化で心配はない」と話す。有給消化日を定め、有給を取るよう声かけするなど、徹底している。完全週休2日制で祝日も休みと大手並みの待遇を確保しており、「2日働いて1日休むようにできれば」と今後のイメージを語る。
「5日以上」さらなる工夫 閑散期の取得を推奨
ただ、義務化をしても実際に5日以上取得させるには、より一層の工夫が必要そうだ。
ペンチやニッパーなどの製造・販売を手がけるフジ矢(大阪府東大阪市、野粼恭伸社長、072・963・0851)の野粼社長は、「全体の約7割が5日以上の有給を取得している」と説明。今回の義務化でも特に対策を講じはない。
しかし、業務が一部社員に集中しており、残業や休日出勤で対応してもらっている。「残りの2、3割の社員に有給を取ってもらう方法をどう確立するかが課題」(野粼社長)。期初に年間計画を作り、順次休んでもらう方法などを検討する。
R曲げ加工のフジテック(埼玉県川口市、藤田昭一社長、048・284・5103)の藤田社長も、「有給を取得する人としない人と両極端に分かれる。特に現場で主力となる人は休まない」と指摘する。このため、幹部による指示を徹底する。義務化に向けて去年から準備を進めており、繁忙期に重ならず、閑散期にうまく有給が取れるよう計画的な有給取得を促す。
