6日開幕した「人権と死刑を考える国際リーダーシップ会議」(撮影:徳永裕介)

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「人権と死刑を考える国際リーダーシップ会議」(日本弁護士連合会、EU欧州委員会、アメリカ法曹協会共催)が6日、2日間の日程で、東京都千代田区の弁護士会館で開幕した。

 2004年現在、死刑制度を維持している国は世界に、日米など76カ国。一方、廃止している国は、EU各国など120カ国ある。日本では1990年から93年までの3年4カ月間は死刑の執行されなかったものの、その後は毎年執行されている。執行方法は絞首刑で、執行の1時間前に死刑囚に伝えられる点など、人権的に問題だとする意見がある。また、再審によって、これまでに4人の死刑囚が無罪になっている。

 冒頭であいさつに立った日弁連の梶谷剛会長は、これまで被害者や被害者の遺族に対する権利保障が不十分だったことは認めながらも、「日本の死刑制度は秘密主義と相まって、制度上、また運用上、基本的な人権問題を抱えているといわざるを得ない」と強調。「日本では2009年から裁判員制度が導入され、被告人を死刑にするかどうか自ら判断しなければならない。死刑制度にかかわる議論は観念的な議論にとどまることはできない」と訴えた。

 来賓として参加した三ツ林隆志・法務大臣政務官は「死刑制度の存廃は国民世論に十分に配慮しつつ、社会における正義の実現と種々の観点から慎重に検討すべき」とし、昨年12月に実施された内閣府の世論調査を引き合いに「『場合によっては死刑もやむを得ない』と答えた人が81.4%いた。国民の大多数は、死刑を廃止することは適当ではないと判断している」と語った。制度運用についても「刑の執行に当たっては、関係記録を十分に精査した上、刑の執行停止や再審、非常上告を検討するなど、極めて慎重に行われている」との認識を示した。

 会議では、各国の弁護士や研究者、元政府高官などが、現在の状況や死刑に代わる刑罰、死刑と誤判などについて議論を行う。【了】

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