「創業以来12年間、一度も赤字になっていない」と話す奈良彰治ウインテスト社長

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イメージセンサーとディスプレーの検査装置の開発・設計・販売を手がけるウインテスト<6721>は、05年7月期に売上高が前年比31.0%減の13億9300万円となったものの、創業以来12期連続で黒字を維持した。独自技術の専門分野で勝負するという同社の創業者である奈良彰治社長に、同社の強みと今後の方針などについて聞いた。

―― 会社の概要は?

 ウインテストは1993年に創業、今期で13期目を迎える。携帯電話に使われているディスプレー、カメラに使われている半導体や液晶の検査装置を開発・販売しているファブレス(工場を持たず、他社に生産委託する)メーカー。

―― 創業の経緯と沿革は?

 創業からCCDや液晶の周辺回路のハードウェア、テスト用アプリケーションを販売しながら、CCDや液晶の検査装置の開発を始めた。2年後の95年に、04年まで主流だったWTS-103Cという検査装置を販売開始した。

 現在では多くの機種のデジタルカメラが販売されているが、デジタルスチルカメラが97−98年にマーケットに投入され、異常な勢いで広がってきたとき、当社の最初の大きな景気の波が来た。98年には売上高が(WTS-103Cの販売を始めた95年から)4倍になった。その後イメージセンサーが携帯電話に使われるようになり、それが2000年から2004年にかけて、また大きな波が来た。

 また、当社はリアプロダクションテレビや会議用プロジェクターに使われている高温ポリシリコンという液晶の検査装置も開発・販売している。会議の電子化や、大型で美しく映るテレビへのニーズに合わせて、このマーケットも徐々に上がっている。

―― 特長と強みは?

 当社のコアコンピタンスは、まず経営的にファブレスであること。検査装置メーカーでファブレス方式をとっているのはおそらく当社のみ。半導体・液晶業界はクリスタルサイクル、シリコンサイクルという大きな景気の波があり、工場を持っていると、景気が上向きのときはいいが、景気が悪いときには工場を維持するためにコストがかかり、多くの会社が赤字に転落する。ファブレスというビジネスモデルのお陰で、創業以来12年間、当社は一度も赤字になっていない。

 技術上のコアコンピタンスは2つある。イメージセンサー測定では色むらを測定するのが技術的に最も難しいと言われているが、既にその技術を確立している。それから、ディスプレー関連では、当社はアレイテスト(表示画質検査)を得意としている。液晶の画素は極めて小さく、数ミクロンの大きさ。その中にある非常に小さな容量(キャパシタンス)をフェムト(10のマイナス15乗)まで正確に測る技術をもつ唯一の会社だ。(つづく)

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【会社概要】
商号ウインテスト株式会社

創業

1993年8月
上場2003年9月(東証マザーズ上場:証券コード 6721)
資本金5億5205万円
売上高13億9300万円(05年7月期単体)
代表取締役社長奈良彰治(なら・しょうじ)
従業員数37人(04年3月末)
本社神奈川県横浜市西区北幸1-11-15
横浜STビル11F
電話番号045-317-7888(代表)
URL http://www.wintest.co.jp/


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