シリーズ・トップに聞く 第1回アドテックス 黒瀬克也社長
今年7月に創業12周年を迎えるストレージ(データ保存用装置)専業メーカーのアドテックス<6739>は、今年を「第2の創業期」と位置づけ、大きな飛躍を図っている。創業からともに歩み、直前まで取締役応用ソリューション事業本部長を務めていた黒瀬克也氏が今月1日に代表取締役社長に就任し、昨年初めて赤字決算となった会社に新たな息吹を吹き込もうとしている。新社長に業績回復の戦略を聞いた。
――創業の経緯と事業内容は?
93年7月に、日本IBM藤沢工場でハードディスクドライブ(HDD)開発・製造に関わっていた約40人が独立して創業した。HDDが故障すると膨大なデータが一瞬で失われることがある。この問題を解決するため、HDDを複数台組み合わせるRAIDという、当時は珍しかった技術に着目して、堅牢なシステムを作った。現在はストレージ製品の開発・販売を核に、ストレージを強みとした応用ソリューションの提供やインターネットビジネスも展開しており、これらをストレージビジネスの3本柱としている。
――前期(04年12月期)の業績は?
04年12月期は、売上高129億6200万円、経常利益5億5900万円と、ビジネスの結果としては(減収減益なので)満足ではないが、そこそこの数字だったと思う。しかし、残念ながら投資に対するマイナス面、売掛金の評価額などで特別損失を計上し、創業以来初めて7億2600万円の純損失を出した。投資家、株主、お客様にご心配とご迷惑をかけたが、今期はV字回復すべく一丸となってまい進しようと思っている。
――今期の業績予想と今後の方針は?
(前期の赤字で)あまりアグレッシブに手を広げすぎるとよくないことを学んだ。経費・品質・コストを管理するというメーカーとしての原点に立ち返ってきちんと利益を出せる体質にしたい。数値目標としては前期と横ばいが目標。原点回帰ということで、ただ広げるのではなくストレージ関連にビジネスを集中させ、それぞれにきちんと利益を出したい。つまり、ビジネス上大きな展開を図るのではなく、予定通り新製品を確実にお客様に出し、他社と協力してコストを下げるなど、地道にやっていきたい。
昨年から展開している「デジらく」というコンテンツ(情報の内容)の自動販売機が堅調で、現時点で約300台出ている。今期も伸ばしていきたい。ストレージを中心にしながら応用製品も積極的に出したい。ただし、(昨年の赤字の)反省を生かして不採算なもの、お客様に評価いただけないものはきっぱりとやめ、その分を利益のいいもの、お客様に喜んでいただけるものに集中したい。
――デジらくというのはどのようなものでしょうか?
「フレミール」というタッチパネル方式のコンテンツ表示機を利用した、映像やゲームなどデジタルコンテンツを現金販売する自動販売機で、ビデオショップ、携帯ショップ、ネットカフェなど都内300弱の店舗に「デジらく」が置かれている。コンテンツを選んでCD・DVDやほとんど全ての各種記憶メディアにダウンロードすることができる。各種コンテンツはストレージをたくさん必要とするので、当社にとっても有力なビジネスチャンスとなっている。
――どのような形での社会貢献を考えていますか?
一昨年、ISO14000を取得した。低消費電力や有害物質を含有しない材料を使用するなど、環境への配慮というメーカーとしての責任はもちろん果たしていく。製品の品質に関しては、医療関係を例にすると、従来のレントゲンフィルムの代わりにストレージを使うようになっており、フィルムレスやペーパーレスで省資源を推進していけると思う。ただ一方で、ストレージ製品が障害を起こして、重要な生命に関わるデータを見ることができないという事態にならないようにする責任もある。デジタル化が進むにつれて活躍の場が広がるとともに、責任も重くなっていると痛感している。【了】
【会社概要】
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93年7月に、日本IBM藤沢工場でハードディスクドライブ(HDD)開発・製造に関わっていた約40人が独立して創業した。HDDが故障すると膨大なデータが一瞬で失われることがある。この問題を解決するため、HDDを複数台組み合わせるRAIDという、当時は珍しかった技術に着目して、堅牢なシステムを作った。現在はストレージ製品の開発・販売を核に、ストレージを強みとした応用ソリューションの提供やインターネットビジネスも展開しており、これらをストレージビジネスの3本柱としている。
――前期(04年12月期)の業績は?
04年12月期は、売上高129億6200万円、経常利益5億5900万円と、ビジネスの結果としては(減収減益なので)満足ではないが、そこそこの数字だったと思う。しかし、残念ながら投資に対するマイナス面、売掛金の評価額などで特別損失を計上し、創業以来初めて7億2600万円の純損失を出した。投資家、株主、お客様にご心配とご迷惑をかけたが、今期はV字回復すべく一丸となってまい進しようと思っている。
――今期の業績予想と今後の方針は?
(前期の赤字で)あまりアグレッシブに手を広げすぎるとよくないことを学んだ。経費・品質・コストを管理するというメーカーとしての原点に立ち返ってきちんと利益を出せる体質にしたい。数値目標としては前期と横ばいが目標。原点回帰ということで、ただ広げるのではなくストレージ関連にビジネスを集中させ、それぞれにきちんと利益を出したい。つまり、ビジネス上大きな展開を図るのではなく、予定通り新製品を確実にお客様に出し、他社と協力してコストを下げるなど、地道にやっていきたい。
昨年から展開している「デジらく」というコンテンツ(情報の内容)の自動販売機が堅調で、現時点で約300台出ている。今期も伸ばしていきたい。ストレージを中心にしながら応用製品も積極的に出したい。ただし、(昨年の赤字の)反省を生かして不採算なもの、お客様に評価いただけないものはきっぱりとやめ、その分を利益のいいもの、お客様に喜んでいただけるものに集中したい。
――デジらくというのはどのようなものでしょうか?
「フレミール」というタッチパネル方式のコンテンツ表示機を利用した、映像やゲームなどデジタルコンテンツを現金販売する自動販売機で、ビデオショップ、携帯ショップ、ネットカフェなど都内300弱の店舗に「デジらく」が置かれている。コンテンツを選んでCD・DVDやほとんど全ての各種記憶メディアにダウンロードすることができる。各種コンテンツはストレージをたくさん必要とするので、当社にとっても有力なビジネスチャンスとなっている。
――どのような形での社会貢献を考えていますか?
一昨年、ISO14000を取得した。低消費電力や有害物質を含有しない材料を使用するなど、環境への配慮というメーカーとしての責任はもちろん果たしていく。製品の品質に関しては、医療関係を例にすると、従来のレントゲンフィルムの代わりにストレージを使うようになっており、フィルムレスやペーパーレスで省資源を推進していけると思う。ただ一方で、ストレージ製品が障害を起こして、重要な生命に関わるデータを見ることができないという事態にならないようにする責任もある。デジタル化が進むにつれて活躍の場が広がるとともに、責任も重くなっていると痛感している。【了】
【会社概要】
商号 | 株式会社アドテックス |
設立 | 93年7月 |
上場 | 01年12月(ヘラクレス上場:証券コード 6739) |
資本金 | 7億7,500万円 |
売上高 | 129億6200万円(04年12月期) |
代表取締役社長 | 黒瀬 克也(くろせ・かつや) |
従業員数 | 116名(単体・04年12月現在) |
本社 | 東京都港区港南2-18-1 JR品川イーストビル8F |
電話番号 | 03-6717-5700(代表) |
URL | http://www.adtx.com/ |
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