もうすぐ開幕。ベイスターズファンの仲間たちからも、今年のベイに期待する声が高まってきた。中畑監督の明るいキャラクターに引っ張られる形で、チームも元気になってきたと評判だ。ただ、私は信用していない。これまで何度も裏切られてきたからだ。

 私が悲観する一番の根拠は、チームの低予算だ。例えば、予想される開幕スタメンの年俸総額をみてみよう(年俸はネットから拾った推定額)。筒香が出られそうもないので、スタメンを2ヶ月前に書いたものから少しいじってみた。

1番 ショート 渡辺直 6300万円
2番 センター 荒波 1300万円
3番 ライト 下園 3700万円
4番 レフト ラミレス 3億5000万円
5番 サード 中村紀洋 1500万円
6番 ファースト 後藤 1700万円
7番 セカンド 石川 5700万円
8番 キャッチャー 黒羽根1100万円
9番 ピッチャー 高崎 4000万円
総額 6億300万円

 年俸が高いのは、ラミレスだけで、彼の年俸が、年俸総額の6割を占める。あとの選手は、外資系金融機関なら普通にあり得る「サラリーマン価格」だ。

 一方、ジャイアンツのスタメン予想と年俸は以下のとおりだ。

1番 センター 長野 9500万円
2番 セカンド 藤村  2400万円
3番 ファースト 小笠原  4億3000万円
4番 サード 村田 2億2000万円
5番 ライト 高橋  1億7000万円
6番 キャッチャー 阿部  4億円
7番 ショート 坂本 1億1000万円
8番 レフト ボウカー 6000万円
9番 ピッチャー 杉内 3億5000万円
総額 18億5900万円

 ベイスターズの年俸のおよそ3倍だ。もちろん年俸が高いチームが必ず勝つというわけではない。しかし、平均的にみれば、お金をかけたチームの方が強いのは当然だ。

 以前、テレビの中継に出演した時に、私の隣に40メートルの巨大レーンがきていた。上空からの映像を撮るためだ。ディレクターに聞くと、このクレーンのギャラが、1日で100万円だという。「何で自分のギャラよりクレーンのギャラが10倍以上高いんだ」と最初は思ったのだが、このクレーンが映しだした風景は、絶品だった。やはり高いモノはよいのだ。

 だからベイスターズには、開幕戦を頑張って欲しい。おそらくベイスターズが首位に立てる可能性があるのは、この日だけだからだ。

■森永卓郎「ハマスタから遠吠え」
第九回〜やっぱり不安は拭えない
第八回〜今年もダメかもしれない
第七回〜ベイスターズは大丈夫
第六回〜DeNAはベイスターズの文化を変えるな
第五回〜ユニクロいいかもしれない
第四回〜ショウアップナイター
第三回〜なぜベイスターズは弱いのか
第二回〜私がベイスターズに望むもの
第一回〜私がベイスターズファンになった理由

森永卓郎(もりながたくろう)
昭和32年生まれ 東京大学経済学部経済学科卒業
日本専売公社、経済企画庁総合計画局、(株)UFJ総合研究所などを経て、現在、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学。主な著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』光文社2003年、『しあわせの集め方 B級コレクションのススメ』扶桑社2008年など多数。
森永卓郎オフィシャルWEBサイト