山中伊知郎の素人目線「対ヴァンフォーレ甲府戦」
▼相手がキャパ100人級で良かった
いきなり、お笑いライブでいえば、マイクが故障して、漫才もコントも肉声でやるしかない、くらいの衝撃でしたな。
ＧＫ加藤退場なんて、考えてもいなかった。
これがもし、キャパ千人の会場だったら、確実に後ろまで声は届かず、ライブとしては最悪の状況になってしまっただろう。
ところが、ありがたいことに、相手となるヴァンフォーレは、キャパ１００人くらいの会場と同じで、どうにか肉声でも聞こえてしまうレベルだったから助かりました。
ことに10番。彼のお陰で、本当にレッズは助かった。
決定的チャンスをことごとくハズしてくれて。私の後ろの席の人間が、
「この前のマゾーラみたいじゃん」
と言ったが、それ以上だ。もし前半どこかで１点入ってたら、ズルズルといかれてた可能性は高いから。そういう意味じゃ、加藤がレッドカードを受けようとも、とにかく決定的１点を止めたのは、ファインプレーなのかもしれない。
▼デスポトビッチ初見
前半終わったところで、私は、レッズが後半１点でも入れれば勝ち、と確信した。あのヴァンフォーレの、清々しいほど決定力のない攻撃陣を見ていると、とても点を入れられそうな気がしなかったから。人数一人少ないなんて関係ないね。
さて、初めて実戦で見たデスポトビッチだが、どうなんだろうな。
前線のポスト役、ってことではタイプはワシントンに近いな。今日見た限りでは、それなりにちゃんと役割をこなしていたようにも見える。
ただ、「点とったるでー」というオーラというか、強烈な存在感はワシントンほどには感じなかった。
実に抽象的な話で申し訳ないのだが、点を決める選手、決定的な仕事をする選手には、観客席から見ていてもわかるような、ヘンなオーラがあるのだ。ブッフバルトにはそれを感じたし、福田や岡野、小野、エメルソン、ワシントンにはあった。
実際に点をたくさんとった、という結果論だけでなく、見ていて、「あ、こいつは違うな」と感じさせる何かがあったのだ。
アイドルのオーディションで、みんなそこそこかわいいけど、でもその中にさらにキラッと光るものをもっているコがいる、ってそれに近い。
デスポトビッチには、まだそこまでは感じなかった。ただ、マジメに自分の職務を全うする誠実さは感じた。これなら、どこか職務に対してテキトーで、走るべきところで走らずに手を抜くマゾーラよりは、結果を残せるかもしれない。
７戦連続負けなしか。やっと本来の力を出し始めたってところかな。
山中伊知郎
昭和29年生まれ。
93年のＪリーグ開幕時から、シーズンチケットでレッズを見続けている。職業はライター。５月31日には著書『小説・コント55号』（竹書房）が発売された。書評ブログもやっている→コチラ
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