住宅ローンの返済期間が新たに延び、月々の支払いが軽くなると聞けば、多くの人は「選択肢が増えて良かった」と単純に受け止めるだろう。だが返済期間を延ばすという判断には、見えやすいメリットの裏に見過ごされがちな注意点が潜んでいる。果たしてこの新しい仕組みは、誰にとっても手放しでお得な話なのだろうか。
 
脱・税理士の菅原氏は、住宅ローンの返済期間が従来より大きく延びた新しい制度について解説している。この制度を実際に利用できるのは、完済年齢に関する条件から見て若い世代にほぼ限られるという。返済期間を延ばせば月々の負担は目に見えて軽くなり、同じ負担額であってもワンランク上の物件に手が届くようになることは、大きな魅力として紹介される点だ。不動産会社の営業トークでは、賃貸で家賃を払い続けるより自分の持ち家にした方が得だという論法が使われがちだが、若い世代が住宅購入を検討する際に、こうした選択肢の広がりをどう受け止めるべきかが議論の出発点となった。
 
一方で菅原氏は、その軽くなった分を安易に物件のグレードアップへ回すという発想には強く警鐘を鳴らす。返済期間が延びるほど支払いの総額は膨らみ、定年後まで返済が続いてしまう可能性も高まるからだ。加えて持ち家には、修繕費や固定資産税、保険料といった見えにくい維持コストが想定以上にのしかかることも指摘する。さらに住み替えのしにくさや、相続の問題、子どもが独立した後に空いた部屋の使い道といった悩みも、時間が経つにつれて後から浮上してくるという。仕事を続けられる年数や、病気や介護など将来の不確実な要素まで含めて考えるべきだとも語っている。
 
では、返済期間を延ばして生まれた余裕をどう使えば、老後まで安心できる家計につながるのか。菅原氏はその判断の軸について、自身の持ち家と賃貸それぞれの経験、そして繰上げ返済や手元資金の残し方に対する考え方も交えながら、独自の視点を示している。目先の返済額の軽さだけで住宅購入の規模を決めようとしている人にとって、自分の家計と将来設計を改めて見つめ直すきっかけが浮かび上がる内容だ。

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