中国メディアの南方都市報は15日、中国工程院の王夢恕氏が「新幹線は世界をリードする存在だが、技術的な弱みもある」と語ったことを伝えた。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの南方都市報は15日、中国工程院の王夢恕氏に対して取材を行ったことを伝え、王夢恕氏が「新幹線は世界をリードする存在だが、技術的な弱みもある」と語ったことを伝えた。

 記事は、王夢恕氏が中国高速鉄道が直面している課題として「資金の問題」を挙げたことを紹介し、2015年に8000億元(約15兆5700億円)以上を高速鉄道プロジェクトに投下する計画である一方で、すべての資金を中央政府が拠出するわけではなく、地方政府や鉄道関連企業も負担する必要が有ることを指摘した。

 記事は、王氏に対し、「果たして今は中国高速鉄道を輸出すべきタイミングだろうか」と尋ねたところ、王氏が「今は国内の鉄道を建設するタイミングだが、同時に輸出を検討すべき時でもある」と述べ、国内と国外の両市場を攻めてこそ中国経済の持続的発展が成し遂げられると指摘したと報じた。

 さらに、日本も新幹線の輸出に向けて歩みを加速させていることについて、王氏は「高速鉄道において日本は世界をリードする存在」と指摘、多くの技術で参考とすべき点があると指摘。一方で、日本の鉄道における最大の弱みは軌道に関する技術が低く、「レールの安定性が中国に劣る」と主張し、中国の軌道技術は世界一だと主張したことを伝えた。

 また記事は、中国国内で高速鉄道の速度を巡る議論が起きていることを挙げ、王氏が「速度を引き上げるべき」との見方を示したことを紹介する一方、段階的な引き上げが求められると指摘したと紹介。

 さらに、甘粛省蘭州市と新疆ウイグル自治区ウルムチ市を結ぶ高速鉄道は「時速350キロで走行することを前提に建設された」としつつも、同路線は昼夜の温度差が大きいことなどから現在は時速180キロで運転が行われていると指摘。同路線は今後は時速200キロで走行することが計画されていると紹介する一方、「中国の西部地域は風が強く、昼夜で大きな温度差があり、砂も多いうえに紫外線も強いなどの要因があるため、あくまでも安全第一に考える必要がある」と指摘したことを紹介した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)