時効から6年「井の頭公園バラバラ殺人」の驚くべき真相【前編】
多くの謎を残したまま2009年に公訴時効となった「井の頭公園バラバラ殺人事件」。4月で事件から21年、時効から6年が経つことになる。この事件は、発生当時から謎が多く、未解決事件としては「世田谷一家殺害事件」や「八王子スーパーナンペイ事件」と並んでミステリーが多いことで知られている。
事件は1994年4月23日に発覚した。女性清掃員が、都内にある井の頭恩賜公園のゴミ箱にポリ袋に入った人間の足首が捨てられているのを発見した。通報した後、警察官らが公園をくまなく調べたところ、公園内の7つのゴミ箱から、切断された人体が27個も見つかったのだ。手にわずかに残っていた指紋とDNAから、殺害されたのは付近に住む一級建築士の男性(35歳=当時)だったことが判明。しかし、目撃証言が皆無で、犯人像がまったく浮かばず、懸命の捜査にもかかわらず公訴時効成立を迎えた。
今回、この事件に関して驚きの“新事実”が浮かびがってきた。取材により、驚くべき真相が明らかになったのである。2回にわけてレポートしたい。
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一方の男性は建築士、そしてもう一方の男性は露店商――だが、2人には信じられないような共通点があった。
顔は瓜二つ――。
年齢と背格好もほぼ一緒――。
同じ生活圏――。
そして、この奇妙な、そして必然めいた偶然が、後にとんでもない悲劇を生むことになろうとは、誰も予測できなかった……。
Kさんと瓜二つのA氏が本当のターゲットだった?周囲からの評判もすこぶるよかった被害者・建築士のKさんが、何の前触れもなく殺害された挙げ句、遺体を全27箇所に切断された上に、公園のゴミ箱へと遺棄されるという、前代未聞の猟奇的な犯行が行われた――1994年4月に発覚した「井の頭バラバラ殺人事件」である。
発生直後から現在に至るまで、実に様々な説や、憶測の類が浮上したのであるが、それらの多くは、結局、事件の全貌を明らかにするものではなかったし、むしろそれらは、捜査を撹乱し、当局の目を真犯人から遠ざけてしまいかねないものばかりであった。事実、事件は「公訴時効撤廃」の法案が施行されるのを待たずに、2009年4月に迷宮入りした。
実は、この事件の背後には知られざる衝撃の事実があった。
殺害されたKさんの自宅近くに、彼と瓜二つの容姿をした露店商・A氏がいたのだ。
そのA氏が、某国の諜報機関の活動を“はからずも”妨害してしまったことにより、殺害の標的とされていたという事実があったというのだ。
つまり、井の頭公園バラバラ殺人事件は、いわゆる「人違い殺人」である可能性があるということだ。
顔は瓜二つ、年齢も背格好もほぼ同じ、そして同じ生活圏――KさんとA氏という“極めて特異な巡り合わせ”がもたらした、あまりに奇怪なこの事件の背後関係について、検証してみたいと思う。
そもそも、この事件においては、大手マスコミが再三に渡って報じ続けてきたように、殺害されたKさんに、“殺される要素”と言えるものはいっさい存在しなかった。しかもそれでいて、全身を細かく切断した挙げ句に指紋すら削り、血抜きまでするという、あまりに徹底した隠蔽工作が行われていることを鑑みれば、それが単なる場当たり的な犯行であったと言いがたい。これが、この事件において、当局の捜査を撹乱した「一つ目の謎」と言うべきものである。そして、結果として当局の目を犯人から遠ざけ、事件を迷宮入りさせてしまったもう「二つ目の謎」が、事件を知った一般市民から数多く寄せられた「おかしな目撃情報」だった。
事件後、目撃情報が次々に報告されたのだが……当日、建築士として働いていたKさんは、同僚たちとの飲み会があり、それを終えて帰途につく中で、被害に遭ったされる。だが、なぜかその日に限ってKさんは、いつもとは違うルートで帰宅したと思しき痕跡がある。というのも、本来であればKさんがいないような場所で、彼に関する目撃証言が相次いで寄せられたからだ。
しかも、事件がテレビなどで報じられると目撃談はさらに増え、それこそ、「Kさんの影武者が何人もいたのではないか」と思えるくらいに、それらの情報は錯綜する一方であった。無論、こうした捜査における初動段階での情報の混乱が、この事件を、未解決のまま闇に葬ってしまった一因であることはほぼ間違いないのであるが、そこに、あるキーパーソンの存在を重ね合わせると、Kさんの身に予期せぬ不幸が訪れるキッカケとなった、ある種の“必然めいた偶然”が重なっていたことが判明する。
そう、近くに店を構える露店商・A氏の存在だ。
(取材・文/猪俣進次郎 Photo by Ben Garrett via Flickr)