◆米大リーグ ホワイトソックス―ヤンキース(29日、米イリノイ州シカゴ=レートフィールド)

 ホワイトソックス・村上宗隆内野手(26)が29日(日本時間30日)、本拠地・ヤンキース戦に「2番・一塁」でスタメン出場し、1点を追う8回1死走者なしの4打席目に、3試合ぶりの本塁打となる23号同点ソロを放った。前を打つアントナッチが1点差に迫る8号2ランを放つと、初球を捉えて同点弾。熊本で生まれ育った村上が、被災地へ届けるアーチとなった。

 勢いに乗った。1―4で迎えた8回。前を打つ1番のアントナッチが3番手でマウンドに上がったブラックバーンから右翼へ8号2ランを放って1点差。本拠地が大きく盛り上がると、村上も初球の81・2マイル(約130・7キロ)低めのカーブを中堅左へ運んだ。2者連続弾となる23号同点ソロは、打球速度104・6マイル(約168・3キロ)、打球角度28度、飛距離404フィート(約123メートル)の一発だった。

 ホワイトソックスは、初回に先発のマーティンがジョーンズに3号3ランを浴びるなど4点を失い、いきなり追いかける展開。村上は先発右腕・シュリトラーの前に初回1死走者なしの1打席目は空振り三振を喫し、4回1死走者なしの2打席目も中飛に倒れた。4点を追う7回先頭の3打席目はフルカウントから四球で15試合連続出塁。ベニンテンディの適時二塁打で生還した。だが、追加点は奪えずに1―4で7回を終えた。そして8回に2発で試合を振り出しに戻した。

 熊本市出身の村上。九州学院高までの18年間、熊本で生まれ育った。16年4月の熊本地震は高校2年生で経験。一時期は練習ができなくなったこともあった。プロ3年目の20年からは、本塁打を1本打つごとに熊本城の復旧のために寄付。かねてふるさとへの思いは強かっただけに、前日28日(同29日)の試合前には日本時間28日午後4時27分頃に発生した「令和8年熊本地震」への思いを自身のインスタグラムに「朝から心苦しいニュースでびっくりしています 自分の命を第一に行動してください」と記していた。

 三冠王に輝いた2022年には熊本県民栄誉賞を受賞。プロ野球界では川上哲治氏、秋山幸二氏に続く3人目の受賞で、山下泰裕(柔道)、末続慎吾(陸上)、不動裕理(ゴルフ)、尾田栄一郎(漫画家)、八代亜紀(歌手)らも受賞しており「いずれは頂きたいと思って頑張ってきた。すごく光栄」と誇らしそうに口にしていた。地震の被害で多くの人が苦しんでいる中で、異国の地から勇気と希望を届ける一発となった。

 5月29日(同30日)に一塁を駆け抜けた際に右太もも裏を肉離れ。負傷者リスト(IL)に入り、7月10日(同11日)に復帰し、復帰後12試合目だった26日(同27日)の本拠地・アストロズ戦で21、22号と2本塁打を放った。3試合ぶりの23号は、6試合連続安打、15試合連続出塁となった。

 ブルージェイズ岡本和真内野手(30)がすでに24本塁打を放っているが、村上も23号で、昨季までの日本人1年目最多本塁打だった18年大谷翔平(当時エンゼルス)の22本を抜き去った。チーム107試合目での23本塁打は、レギュラーシーズン162試合に換算すると、34・8発ペース。ILに入って35試合を欠場しており、72試合の出場で23発と3・13試合に1本のペースで本塁打を量産している。

 今季、日本人は岡本和真ブルージェイズ)が24本、大谷翔平(ドジャース)が23本、鈴木誠也カブス)が18本、吉田正尚(レッドソックス)が4本を放っており、合計92本塁打は昨季の91本(大谷55、鈴木32、吉田4)を上回って、日本人選手が1年で放った本塁打数が早くも史上最多となった。

 ふるさとの熊本は苦しい日々が続いている。特別な思いのこもった本塁打となったはずだ。

 ◆日本人選手の1年目の本塁打上位

 〈1〉24 岡本和真(26年、ブルージェイズ

 〈2〉23 村上宗隆(26年、ホワイトソックス)

 〈3〉22 大谷翔平(18年、エンゼルス)

 〈4〉18 城島健司(06年、マリナーズ)

 〈5〉16 松井秀喜(03年、ヤンキース)

 〈6〉15 井口資仁(05年、ホワイトソックス)、吉田正尚(23年、レッドソックス)