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博物館のオークションで入手

「アスダ(スーパーマーケット)ではいつも一番前の駐車スペースを確保できるんですよ!」と、英国在住のイアン・ワトソンさんは、10年間所有しているウィリス・ジープについて冗談交じりに語る。

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「機関銃のマウントが付いているんです。自宅にはこれに合う30口径の銃が2丁あって、かなり迫力がありますよ」


ワトソンさんご夫妻とウィリス・ジープ    AUTOCAR

彼が妻のヴィヴさんとスーパーに立ち寄る時は、ダッシュボードに取り付けられた手榴弾(フェイクですよね?)を外してくれるといいのだが。

イアンさんのジープは初期のモデルで、1941年式の「スラットグリル」装備車だ(フォードが戦時体制でジープの生産を始めた際、生産をスピードアップさせるためにグリルをシンプルなプレス鋼製の部品に切り替えた)。

「真珠湾攻撃のわずか2日後に、南太平洋へ送られた車両です。戦後、米軍は装備の多くを放棄し、このジープはフィリピンに残されました。やがてボロボロになってしまったんですが、マニラの博物館が初期モデルとしての価値を認め、買い取って修復しました」

「その博物館が閉館した際、展示品すべてがeBayで売却され、そのときにわたしが手に入れたんです。状態はほぼ今と同じで、購入価格は1万7000ポンド(約365万円)でしたが、現在では初期の『スラットグリル』ジープは3万4000ポンド(約740万円)前後で取引されているので、悪くない買い物だったと思います」

落ちないようにドアストラップを装着

イアンさんのジープは、ウィリス社の「ゴーデビル」エンジンを搭載している。2.2Lの直列4気筒フラットヘッド(サイドバルブ)エンジンで、「ざるのようにオイルが漏れます。暑い国で使われていたため、冷却用に2つ目のラジエーターが取り付けられていますよ」と彼は言う。

「出力は60ps程度ですが、2000rpmで13.8kg-mを少し超えるトルクが出るため、アイドリング状態からもしっかりと加速してくれます。実際、トラクターのような感じです! わたしが出した最高速度は72km/hで、トラクター並みに遅いですね。とはいえ、それ以上速く走りたいとは思わないのですが」


ワトソンさんご夫妻のウィリス・ジープ    AUTOCAR

「ブレーキは油圧式ですが、あまり性能は良くありません。後部には貨物用のスプリングが使われているので、かなり揺れます。しっかりつかまっていなければいけません。転げ落ちそうになってしまうので、ドアストラップを取り付けました。戦時中の兵士たちは体格がもっと小さかったので、わたしのようなでかい男よりも簡単につかまっていられたのでしょう」

退役軍人に声を掛けられることも

イアンさんのジープは3速マニュアル・トランスミッションを搭載し、常時四輪駆動であるため、ハイレンジとローレンジを切り替えられるトランスファーケースを備えている。ハンドブレーキはドライブシャフトに作用し、イアンさんによれば車両をしっかりと固定してくれるという。

「ジープは比較的シンプルな作りです。ほとんどの作業は自分でできますが、できない作業はゴダルミング近郊のミルフォードにあるジープ専門業者に依頼しています。スペアパーツは手に入りやすいですね。ジープは大量に生産されたので、必要な部品はほぼ何でも手に入ります。純正品の場合もありますが、最近はインドからの新品パーツが多く出回っています」


ワトソンさんご夫妻のウィリス・ジープ    AUTOCAR

イアンさんとヴィヴさんは、このジープで年間約800kmを走行しているという。

「かなり遅いので、後ろを走るドライバーにはイライラさせてしまうかもしれませんが、人々は街中でこのクルマを見かけると喜んでくれます。購入当初は、多くの退役軍人が声を掛けてきて思い出話を聞かせてくれましたが、彼らはもうこの世を去ってしまいました」

「わたしはこのクルマをガレージに保管しているのですが、ガレージの半分にジープに関連する軍関係の記念品を並べています。もう半分は、1968年式のミニ・モークを停めていて、1960年代の記念品を飾っています」