福山雅治の“抱かれたい男”ぶりが主人公(唐沢寿明)より目立った【あの頃、テレビドラマは熱かった】
【あの頃、テレビドラマは熱かった】
「ホームワーク」
(1992年/TBS系)
◇ ◇ ◇
後に“就職氷河期元年”と言われる1992年。夜の銀座や六本木では常連の顔ぶれがちょっと変わりはしたけど、庶民にはまだまだ危機感がなかった。テレビや雑誌がその中心にいて、世の中はまだピーヒャラ踊っていた気がする。ブラウン管のテレビから流れるドラマ主題歌からヒットが生まれ、CD売り上げがミリオンを記録するのも相変わらずだった。
この年だと、米米の「君がいるだけで」(素顔のままで)とか、サザンの「涙のキッス」(ずっとあなたが好きだった)とか。特に稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」は、ワム!や山下達郎やマライア・キャリーなんかと並ぶくらい、今でも12月の街に流れる定番曲だ。
これを主題歌にしていたのは、TBSの金曜夜9時、10月期の「ホームワーク」。この年の1月期の「愛という名のもとに」(フジテレビ系)で注目された唐沢寿明(当時29)の、連ドラ初主演作だった。唐沢と、清水美砂(同22)、福山雅治(同23)、浦江アキコ(同23)の4人を中心にした恋模様。まあ、TBS版トレンディードラマですな。
これが12月の最終回に向けて、10月のうちから主題歌が盛り上げる盛り上げる。何しろフルコーラスだと8回も“クリスマスキャロル”がしつこく出てくるし、それが聞こえる頃にはどうなってるんだろうというドラマの行く末への興味をかきたてるという仕掛け。
ドラマの企画と主題歌の歌詞が秋元康先生と聞けば、すごいと言うしかない。ドラマを盛り上げるだけでなく、その後ずっとクリスマスの時季に流れる定番にしてしまったのだから。チャリ〜ン♪
さて、ドラマは実に“トレンディー”なんだけど、正直言って主人公よりも目立っていたのはブレーク前の福山雅治だった。ヒモ同然で、同棲している清水美砂に、服を脱ぎながら「来いよ……」とか、「風呂、入ろうぜ」とか、どストレートに欲望をぶつけるキレイな顔立ちは、たちまち女性誌で話題に。やがて“抱かれたい男”になるわけだが、そのポテンシャルを存分に見せたのがこのドラマだった。
ちなみに、この年の映画「濹東綺譚」で津川雅彦(当時52)と大胆な絡みを見せた墨田ユキ(同27)も出演している。筧利夫(同30)演じるバブル社長の愛人役。同時期に東海テレビ制作の昼ドラ「愛の祭」では主演もしていたのに、あっという間に表舞台から消えてしまった。残念。
毎年「クリスマスキャロルの頃には」が聞こえる頃には、92年の福山雅治と墨田ユキの顔が浮かんでしまう。それも秋元先生の思うつぼ、なのか知らんけど。
(テレビコラムニスト・亀井徳明)
