日銀が政策金利を1.0%へ引き上げた。31年ぶりの水準とも言われ、ニュースで目にした人も多いだろう。だが「自分には関係ない」と流してしまうには、少し惜しい話かもしれない。住宅ローンを変動金利で組んでいる人、これから家を買おうとしている人、銀行に預金だけして安心している人。金利が動けば、それぞれにまったく異なる展開が待っている。
 
脱・税理士の菅原氏は、今回の利上げの影響をローン・物価・円安という三つの切り口から整理していく。まず住宅ローンについて、変動金利と固定金利のどちらが今の局面で有利なのかを、返済残高と金利負担の推移から解き明かす。菅原氏自身は変動金利支持の立場をとるが、その根拠は感覚ではなく、借入残高が減るにつれて金利の重みがどう変わるかという構造の読み方だ。加えて、金利が上がった際に多くの人が取りがちな対処法に対しても、菅原氏は疑問を呈する。良かれと思ってやりがちなその行動が、手元の余力を削いでかえって損になりかねないというのだ。その理由を菅原氏は、経営者とそうでない人の「お金の使い方の発想の違い」として話している。
 
次に、なぜ日銀はわざわざ金利を上げるのかという疑問に答える部分が、この動画の核心のひとつだ。金利が低いとお金が借りやすくなり、市場に出回るお金が増え、物価は上がる。逆に金利を上げると借り控えが起き、経済が冷えて物価が下がる。菅原氏はこの仕組みを、日常的な売り買いの場面を使った具体例で説明していく。賃上げが続いているにもかかわらず実質賃金が改善しない理由も、この構造と無関係ではない。
 
円安についても話は続く。日本とアメリカの金利差がある限り、資金はより利回りの高いドルに向かいやすく、円安は構造的に続くというのが菅原氏の見立てだ。0.25%程度の利上げで為替が大きく動かない理由も、数字を並べると意外なほどあっさり説明がつく。金利・物価・為替が絡み合うこの局面で、菅原氏が個人に対して提示する向き合い方は、多くの人が想像する方向とは少し異なるかもしれない。