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文字通り「ケタ違い」に安い国も

前回の記事では「ガソリン代が最も高い国・地域」を紹介した。続けて、この記事では「ガソリン代が最も安い国・地域」のトップ10を取り上げたい。

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予想通り、中東・アフリカ・南米などの産油国が名を連ねることになった。しかし、国内の石油埋蔵量の多さがそのままガソリン代の安さに直結しているわけではない。政策、インフラ整備、経済情勢など、さまざまな要因が複雑に絡んでいる点で、個人的にとても興味深いと思った。


この記事ではオクタン価95ガソリンの価格が最も安い国を紹介する。    AUTOCAR UK

しかしながら、第3〜第1位のケタ違いの安さには驚かされる。水を買うよりも安く給油できるというのは、日本人としては不思議な感覚だ。

では、第10位から見ていこう。

※注釈
・オクタン価95のガソリン1Lあたりの価格を掲載(全て筆者、編集部調べ)。
・価格はすべて米ドルベース。日本円に換算したものをカッコ内に記載。
・この記事は日本国内の燃料価格や政策に対し、特定の主張を述べるものではありません。

サウジアラビア:0.620ドル(約100.1円)

石油埋蔵量で世界第2位のサウジアラビアは、当然のようにガソリン代も安い。コロナや戦争などといった危機を経ているにもかかわらず、この数年でサウジアラビアのガソリン1Lあたりの価格に大きな変動はない。安定しているのは産油国の特権と言えよう。

ただし、2016年と比較すると3倍近くにまで上昇している。これは、財政赤字に伴う公共料金の値上げやVAT(付加価値税)の導入などによるものだ。国民の負担が大幅に増えたことから、サウジアラビアは国内での娯楽や女性の運転を解禁するなどして、国民の不満軽減を図っている。


サウジアラビア:0.620ドル(約100.1円)

カタール:0.575ドル(約92.9円)

サウジアラビアの隣国カタールもまた産油国であるため、ドライバーはガソリンスタンドで大きな恩恵を受けられる。多少の変動はあるもののおおむね価格は安定しており、10年前と比べても驚くほどの高騰は見られない。

小国ながらも天然資源に恵まれ、石油精製能力を持ち、LNGの輸出でも大きな収益を上げていることから、国民に対する個人所得税やVATなどはない。ただ、カタールの法律はクルマの速度超過や飲酒運転に対して極めて厳しいという話もあるため、現地での運転には注意してほしい。


カタール:0.575ドル(約92.9円)

エジプト:0.483ドル(約78.0円)

エジプトでガソリン代が安い理由は、主に政府の補助金によるものだ。エジプトは他の多くの石油埋蔵国よりも生産管理に成功しており、国内用に精製・自給している。

燃料に課せられる税金も非常に低く、さらなる低価格化に貢献している。ただし、2016年と比べると4倍近くに達しているという現実もある。


エジプト:0.483ドル(約78.0円)

トルクメニスタン:0.428ドル(約69.1円)

イランと隣接するトルクメニスタンは、中央アジア諸国の中で最もガソリン代が安い。石油よりも天然ガスの生産量がはるかに多いが、膨大な石油埋蔵量があるため国内需要の大半をまかなうことができる。なお、国内の給油所はすべて国営である。


トルクメニスタン:0.428ドル(約69.1円)

アルジェリア:0.352ドル(約56.8円)

アルジェリアも主要な産油国である。自国の需要を十分に満たした上で、余剰分を他国に販売して収益を上げている。その利益で、アルジェリア政府は国内のガソリン販売価格を低く抑えている。恩恵を受けるのはドライバーだけではない。アルジェリアの公共交通機関の利用料金は非常に安く、国民全員が低コストで移動できるのだ。


アルジェリア:0.352ドル(約56.8円)

クウェート:0.340ドル(約54.9円)

中東の産油国の中で、クウェートはイランの次にガソリン代が安い国だ。これは、余剰石油を世界に販売して得た利益から、国内の燃料価格を補助するという政策によるものだ。

つい最近まで、1Lのガソリンはミネラルウォーター1本より安いほどだったが、燃料価格のわずかな値上げによって状況は徐々に変わってきている。


クウェート:0.340ドル(約54.9円)

アンゴラ:0.327ドル(約52.8円)

アンゴラは、ナイジェリアに次ぐアフリカ第2位の産油国である。しかし、国内に石油精製所が少ないため、ほとんどのガソリンは輸入されている。輸入燃料のコストに対抗するため、歴代のアンゴラ政府は燃料補助金を支給してきた。

ただし、2023年以降は補助金が段階的に廃止され、国民の反発を招いている。2025年にも燃料価格の引き上げに抗議するデモや暴動が発生した。アンゴラはダイヤモンドを含む天然資源に恵まれているものの、国民への恩恵は決して多くないようだ。


アンゴラ:0.327ドル(約52.8円)

ベネズエラ:0.035ドル(約5.6円)

ここからは文字通り「ケタ違い」に安くなる。南米ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量を誇り、その量は世界全体の約17%と言われている。1970年代から1980年代にかけて国営石油会社が精製設備に投資してきた結果、ガソリン代は非常に安く抑えられ、一般的な乗用車であれば1ドル未満で満タンにできる。

しかし、汚職の影響もあって国内のインフラ設備が老朽化し、生産量は世界第21位に落ち込んでいる。膨大な埋蔵量を持ちながら、それを活かしきれていないのである。


ベネズエラ:0.035ドル(約5.6円)

イラン:0.029ドル(約4.6円)

イランは石油埋蔵量で世界第3位、生産量で世界第6位を誇る資源大国だ。しかし、精製能力が国内の需要に追いついておらず、ガソリンの多くを輸入に頼っているという現実がある。ただ、イラン政府によって価格統制が行われているため、ガソリン代はこの数年でほとんど変動していない。

つい最近まで、イランは世界で最もガソリンが安い国として知られていたが、現在ではリビアにその座を譲っている。


イラン:0.029ドル(約4.6円)

リビア:0.023ドル(約3.7円)

アルジェリアとエジプトの間に位置するリビアもまた、世界の主要産油国の1つである。石油埋蔵量ではアフリカ最大を誇り、その輸出によって得た収益が国内のガソリン代に還元されている。

リビアでは送電網が未成熟で、電力不足が続いている。そのため発電機の需要が高く、その燃料となる軽油は1Lあたり0.023ドル(約3.7円、ガソリンと同じ)と、ベネズエラ(0.004ドル=約0.6円)やイラン(0.006ドル=約1円)に比べて高めだ。


リビア:0.023ドル(約3.7円)

画像ライセンス:
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/
https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/

まとめ

今回は2本の記事にわたり、ガソリン代が高い国/安い国のトップ10をそれぞれ紹介してきた。その中で、高い国と安い国のおおまかな特徴が見えてきたと思う。

高い国では、「燃料を輸入に頼っている」、「高い税金が課せられている」といった要素が多く見られた。一方、安い国では、「国内の石油生産量が豊富」、「税金が安い」、「政府が厳密に価格を抑えている」といった特徴があった。


AUTOCARの本拠地英国では、ガソリン1Lあたり2.023ドル(約326.8円)と非常に高い。    AUTOCAR UK

個人的に興味深かったのは、ベネズエラのように膨大な石油埋蔵量を誇る国であっても、外国からガソリンを輸入している場合があるという事実だ。埋蔵量だけでなく、自前の生産能力と精製能力も重要なのだということを今回改めて認識した。

また、日本人から見ればガソリン代が安い国であっても、その国民はインフレに苦しんでいたり、電力不足に悩まされていたりする。安全かつ安定的に、そして(世界基準で)比較的安い値段で給油できる日本はとても恵まれているのかもしれない。

日々、インフラ関連の仕事に携わっておられる皆様には深く感謝を申し上げたい。筆者ももう少し頑張って働き、せめてガソリンスタンドに行くことをためらわない程度には稼げるようになりたいと思う。筆者の人生にとって、クルマやバイクの運転は、まさに燃料のように欠かせないものだからだ。