JRT四国放送

写真拡大 (全79枚)

3月30日に突如発表された南海フェリーの撤退。

関西とをつなぐ「唯一の海の足」消滅のニュースに、県民からは惜しむ声が上がっています。

決断の背景に一体何があったのか。

関係者を取材しました。

徳島と和歌山を結んで50年。

長年親しまれてきた南海フェリーが撤退を発表したのは、3月30日のことでした。

貴重な海の足としてフェリーを利用してきた人々からは、航路存続を望む声が上がっています。

(和歌山から)
「便利ですよ。南海フェリーなかったら、くるっと明石海峡大橋渡って行かないといけないから大変」

(和歌山から)
「船がなくなったら、次からどうやって行こうか不安がある」

(高知から)
「寂しいですね、ずっと昔から使っていたので」

決断に至るまでに会社側は、行政に対して存続のための支援を繰り返し要請してきました。

(県交通政策課・橋本貴弘 課長)
「船の更新に40億円以上かかるのだが、そこに関してまず行政の方で全額支援をお願いしたいと」

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「みなさまのお声にまだお答えできる条件にない状況なので、その点では非常に申し訳ない」

本当に撤退は避けられないのか。

カメラが今、南海フェリーの直面する現実に迫ります。

南海フェリーは現在、徳島市南沖洲と和歌山市の間を1日8往復運航しています。

料金は大人片道2500円です。

(記者)
「徳島市沖洲にある南海フェリー乗り場です。きょうは和歌山行きのフェリーに乗船してみたいと思います」

取材したこの日、利用していたのは車両15台、乗客55人でした。

広い船内は、がらんとした印象です。

(記者)
「客席の中に入ると、多くの椅子やテーブルが並んでいて、海の景色を見てくつろいでいるお客さんが見受けられます」

和歌山までの所要時間は、約2時間15分。

香川から和歌山に向かう途中だというトラックドライバーに出会いました。

(香川から)
「和歌山方面行くときは、この船をよく利用する」
「移動時間の間でフェリーで体を休息することができるし、シャワーも浴びさせてもらえるので、すごく助かる」

船内の設備、まずはベッド。

(記者)
「身長175センチの私が入っても、しっかりくつろげます。心地よい波に揺られて良い仮眠ができそうです」

(記者)
「別料金を支払うと入ることができるグリーン室、優雅な船旅が楽しめます」

グリーン室は別料金1000円。

しかし、この日、利用者はいませんでした。

そして、一般の利用客は入れないこんな場所も。

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「こちらが操舵室になります」

操舵室では、2人の操縦士が交代で安全運転に努めています。

運航速度は約30キロです。

はるか遠くには、客足を奪った大鳴門橋の姿も。

(記者)
「時間も船なので遅れないのも魅力?」

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「高速道路なら渋滞がある、基本的に船は定時で運航できる条件が整っているので、ほぼほぼ定時で運航できる」

和歌山港で折り返し便に乗船します。

こちらは先ほどよりも若干、利用客が多そうです。

(高知から)
「フェリーに乗る機会がなかったので、この子も楽しそうに乗ってて」
「海いっぱい見れるから楽しい」
「もうちょっと継続していただけたら、ありがたいなと思う」

(和歌山から)
「車の中だけだと泣いてしまうので、のびのびと遊ばせながら移動できるのはよかった」
「なくなっちゃうと和歌山から四国に渡るのが、陸路で4時間ぐらいになっちゃうのでちょっと辛い」

(記者)
「南海フェリーが撤退するのは知っていたか?」

(三重から)
「いや、初めてですね。もう撤退するんですか?」

(記者)
「フェリー事業からの撤退を発表した」

(三重から)
「それは寂しいですね、快適は快適だが退屈な部分もある、もうちょっと映画流してくれるとか」
「売店も閉まってますし、何かしらあったほうが時間潰しにはなるかなと」

かつて、船内にあった売店も今は閉じられたまま。

ピークの1995年度に97万人だった旅客数は、明石海峡大橋の開通に伴って激減。

2024年度は、35万7000人と3分の1近くにまで落ち込んでいます。

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「明石海峡大橋が出来て以降、お客様の人数が落ち込んでしまっている」
「その後も、多くの方にご利用いただいていたが、近年のコロナ禍の影響でもう一段お客さんが減ってしまっていて」
「今現在、コロナ禍前には戻れていない状況」

県などはこれまで、1000円フェリーキャンペーンなど、さまざまな支援策を行ってきました。

しかし、航路存続のため会社側が求めた条件は、行政の想像を超えるものでした。

(県交通政策課・橋本貴弘 課長)
「(船のリプレース費)40億円以上の全額の支援と、それプラス赤字補填という、この2つがマストなんだと」

交渉は決裂に終わりました。

しかし、フェリーは災害時、避難者や救援物資を輸送する手段として活用が見込まれています。

本当にこのまま、海の道を閉ざしてしまっていいのでしょうか。

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「非常に、お客さんに対して申し訳なく思っている」

客足は減り、支援はなく、まさに八方ふさがり。

しかし、福井さんは最後にこんな言葉を聞かせてくれました。

(南海フェリー・福井和明 取締役)
「航路存続を諦めたわけではありませんので、そのために私たちが何をできるかというのを、一つ一つやっていきたい」

民間企業である以上、行政の過剰な支援は望ましくありません。

けれど、もし海の道をライフラインととらえるなら…。

残された時間はあと2年です。

この時間は2028年3月での撤退を表明した、南海フェリーの現状についてお伝えしました。