令和時代の「ワクワクできるコンテンツ」とは何か? テレビマン・柳沢英俊さんがABEMAで挑戦する“映像の未来”
「コンテンツ飽和時代」と呼ばれるようになって久しいですが、それでも「ワクワクする」ような番組や映像作品というものは存在します。視聴者のニーズが変化・多様化する中で、心を動かすようなコンテンツというのはどのように作られるのか?
日本テレビ コンテンツ制作局で数々の番組を担当し、今年ABEMAに移籍する柳沢英俊さんに、令和時代に「ワクワクできるコンテンツ」とは何なのかを尋ねてみました。
――「昔のテレビは面白かった」「今のテレビはつまらない」という紋切り型の言葉がありますが、実際のところ制作の現場ではどう感じられているのでしょう?
2006年、日本テレビに入社した時の若手時代は、とにかくテレビの影響力が凄かった。“テレビの前でみんなが待っている”みたいな。なので、シンプルにみんなをどう喜ばせるか?という熱量がすごくあったなという。そしてその反響をダイレクトに受け取れるのもすごく嬉しかったというのが当時テレビの仕事の面白かったところです。
じゃあ「ワクワクする」「面白い」コンテンツって何か?というと、ひとつ日本テレビの先輩達から教えて頂いたフィロソフィーとして大切にしていることがあって、「視聴者が観たいものを創るのではなく、視聴者の想像を超えるものを創っていくんだ」という大きな哲学。それは自分自身も肝に銘じていて、そういうコンテンツを届けたいというのが最初に来る思いなのかなと。
今も、テレビを創っている熱量やパワーは本当に当時と変わらないと個人的には思います。物凄い汗の量で、“面白いものを届けたいんだ!”という熱量は今も昔も変わっていない。ただ、2006年当時は「視聴率を獲る」という“明確な競技”が分かりやすく存在したので、制作者としても“その競技でどう勝つか”という価値観が1本の軸になっていました。
今は視聴率だけではなく「配信の再生数はどうだ?」「SNSで話題になっているか?」など、評価軸が増えたというのが一番の大きな変化です。熱量をシンプルに視聴率に向ければ良かった時代からおよそ20年経って、評価軸が複数に変化した。どこにどの力学が働くかということを物凄く考えなければいけない。非常に複雑でハードな作りになっていると感じます。

――具体的に柳沢さんがいらっしゃった現場では、制作の仕方はどのように変わったのでしょうか。
スポーツ局に配属された入社当初、スポーツニュースの役割は「生放送で視聴者の方に最初に映像を観ていただく」ということでした。結果を含めて“どうなるんだろう?”というところを視聴者の方々に楽しんでいただいていたんですが、数年経つと、いつの間にか“(視聴者が)知っている前提”で映像を作るようになったんです。
今となっては「2-0で巨人が勝って、ホームランを打ったのは岡本選手」というところがスタート地点になりました。その映像+独自の情報・目線で視聴者の方をどう満足させるか?というフェーズに入っています。野球ひとつ取っても、本当に「伝え方」が変わりましたね。
それは出演者サイドも同じで、本当に洗練されて緻密になっているんじゃないかと思いますね。例えば芸人さんのツッコミひとつ取っても、時間帯と属性に合わせてそのワードをチョイスしたんだなと編集しながらいつも気づかされます。一方で自分自身のYouTubeやSNSでは、ファンに向けて少しスキを見せたりもしている。メディアの特性を活かした演じ方や出方をしていて、これは超一流だなと。
よく「昔のテレビは良かった」とか「コンプライアンスのせいで」とか言われるんですが、実は逆だと思っていて。機材の進化、編集や表現の技術も含めて、できるようになったことのほうが多いんじゃないかと僕は感じます。表現方法も非常に増えたし、コンプライアンスを超えるハード面の進化が、コンテンツを面白くする面はある。
――確かに、今でもTVerは伸びていますし、テレビでなければ作れないコンテンツというのは存在します。
どの現場でも“新しいものを創りたい”という熱量は変わっていないと感じます。テレビの歴史は約70年あるので、物凄く洗練されていて、コンテンツを創るという技術はある程度成熟しています。方法論も明確になっているので、それに則った上で“新しさをどう出すか”ということがワクワクにもつながりますし、想像を超えるコンテンツを届けられたときにそういう感情になるのかなと思います。
以前『80歳、長嶋茂雄の今』(2016年)というドキュメンタリーを制作したんですが、今でもその緊張感や手に汗握る感じ、でも撮っている側がワクワクした感じを鮮明に覚えています。もしかしたら“ワクワクを届けられた”という実感というのは、撮っている側が現場で感じた心の動きが、視聴者の方の“ワクワク”にも繋がっているのかなと。
2011年にプロゴルファーの石川遼選手と、東日本大震災の被災地に赴いたのも印象に残っている制作のひとつです。元々石川選手は寄付もされていたんですが、少し時間が経ったところで“何かできないか…”と思い悩まれていました。被災地の学校の先生とお話をしている中で、「そろそろ、子どもたちの感情が高まるような楽しい体験をさせてあげたい」と仰っていて。
それで『24時間テレビ』(2011年8月)の中で、宮城県石巻市の小学校でゴルフレッスンをするなど体験授業をさせていただきました。さらに石川選手の凄いところは、そこから交流がずっと続いて20歳の成人式で再会しに行ったんです。その間もグループLINEでやりとりが続いていて、中学校入学の際など節目節目で会いに行くなど、繋がり続けていた。子どもたちと繋がるというのは、見届けて寄り添い続けることでもあるんだと。
それはテレビ局の責任でもあり、使命感があると思うんです。報道機関なので、同じ会社の中で「伝える熱が強い」という軸は組織としても、人材としても感じる部分です。その波及効果で石川選手の体験授業のような、社会性の高い、伝える熱の強いコンテンツが生まれるというのはあるのかなと思いますね。

――そうした洗練・成熟したテレビの世界から、ABEMAという新しい領域に踏み出されます。その魅力というのはどこにあるのでしょう?
ABEMA(旧AbemaTV)が本開局したのが2016年4月。テレビに比べたら歴史はまだまだ浅いですし、デバイスの進化を受けて新しく作られたプラットフォーム。成熟していないところもあると思いますが、成長できる・進化できる余白が非常に大きいと感じます。
19年間テレビの制作ノウハウを積んだ上で、インターネットであれば狙ったターゲットを熱狂させるコンテンツ、それこそ究極の主観で番組を作ることもできるんじゃないか。そういった可能性があるのが魅力ですね。新しいものを求めている視聴者も多いという感覚があるので、ピュアに面白いものを創りたいという想いです。
反面、インターネットの世界はよりシビアな時間の取り合い。選んででも観たいものをどう作るかが改めて大事だなと思います。テレビのように“三世代が観たいものを” という価値観はなかなか難しいと思うので、例えば本当にお笑いが好きな20代30代を熱狂させるコンテンツだとか、そのターゲットが観る理由が明確なものがより求められてくる。
ネットニュースを読んで、映像を確かめたくなるようなコンテンツじゃないとダメだと思うんですよね。でも、それって実は一周回ってテレビの創成期に近くて、“見たことない映像”、“見てみたい映像”に立ち返っている。テレビを作り始めた人たちも同じように見たこともないこんなものを伝えたい!という熱量で作っていたと思うんです。
――今の時代に、クリックして能動的に観に行くコンテンツ…言語化するとどんなものなのでしょうか。
分かりやすく今の時代に皆が観るものって何だろうと思うと、MLBの中継で大谷選手がホームランを打つと多くの人が他の人に「観てみて」って言いたくなりますよね。それはなぜかというと自分の心が動いたから、その心の動きのようなものを伝えたいということ。ドラマでもバラエティでも共通していて、心を動かすようなシェアしたくなるコンテンツを作ることが一番なのかなと。
ひとつ実体験で『Going!Sports&News』を制作していて「亀梨和也のホームランプロジェクト」といって、亀梨さんがホームランを打つためにプロ野球選手に教えてもらうという企画を放送していました。あるとき甲子園に出た選手が「亀梨さんのコーナーで見た打ち方を真似してました!」と言ってくれていたんです。
「あ、自分が作っているものって、他の人の人生に少しでもプラスになれたんだ」ということを肌身に感じたんですよね。今も『Going!』ではプロ野球の素晴らしさを伝えていますが、確実にあるターゲットの視聴者を熱狂させているんだなと思いました。
「シェアする」「真似する」など人にアクションを起こしてもらうというのは、「観てもらう」ことよりも一段階大変なのですが、それくらいの熱を伝えられることが大事なのかなと思います。テレビの前に座っていたら映っている「観たいもの」から、「観なくてはいけないもの」にならないといけない。

――今世の中にはたくさんのコンテンツが溢れていますが、それでも人に「観なくてはいけない」というコンテンツは存在します。柳沢さんはABEMAでどのようなものを作っていきますか。
一番の理想は視聴者の生活に入り込むくらい強度のあるバラエティ番組です。極端な例になりますが、ABEMAはFIFA ワールドカップ カタール 2022の全試合を中継しました。それは世界の超一流コンテンツですから、多くの人が「絶対観たい」と思うものですよね。「今夜仕事が終わったら、ご飯を食べながらあの試合を生で観るぞ」って、その人の24時間の“生活の中に入っている”じゃないですか。
テレビで長きに渡り放送しているアニメもコンテンツの面白さに歴史も加わり、いつの間にか中学生・高校生だった人がお父さんになっていて、今は子どもと一緒になって個ではなく親子の生活に入りこめているのが凄さですよね。そこまで面白さが続くというのは、制作側にも「もっと面白くしたい」と思って携わっている人が多いということ。それが波及して今の面白さに繋がっているのかなと。
スポーツもアニメも、既に言語の壁を越えている部分はあります。今後例えばAIの進化で自動翻訳が進めば、より多くのコンテンツをボーダレスに届けられますよね。技術が人間を支えてくれて、本当に良いものを届ける・伝えることが進化していく。ただ一方で競争も激しくなって、外からも同じだけコンテンツが入ってくるかもしれません。
ただ、まずはそんな未来のことは考えず、個人的にはこの1年。初心に帰って死ぬ気で「本当に面白いもの」を作りたいと思います。番組作りは1人ではできないので、サイバーエージェントで出会った新たな仲間と良いチームを作りたいなと!自分が作りたい・面白いものを作っている先輩方って、その人のことを思い浮かべたときに笑っている顔が出てくるんです。僕自身もそんなふうに、何歳になっても笑って面白いものを追求し続けるのが理想ですね。
日本テレビ コンテンツ制作局で数々の番組を担当し、今年ABEMAに移籍する柳沢英俊さんに、令和時代に「ワクワクできるコンテンツ」とは何なのかを尋ねてみました。
柳沢 英俊 2006年大学卒業後、スポーツ局に配属。「Going!」、「五輪」・「サッカーW杯」・「ラグビーW杯」の演出、「ラグビーW杯」でNHKとのコラボ企画を実現。2020年から制作局で「世界一受けたい授業」「千鳥かまいたちアワー」などを担当。
今のテレビは「つまらない」のか?
――「昔のテレビは面白かった」「今のテレビはつまらない」という紋切り型の言葉がありますが、実際のところ制作の現場ではどう感じられているのでしょう?
2006年、日本テレビに入社した時の若手時代は、とにかくテレビの影響力が凄かった。“テレビの前でみんなが待っている”みたいな。なので、シンプルにみんなをどう喜ばせるか?という熱量がすごくあったなという。そしてその反響をダイレクトに受け取れるのもすごく嬉しかったというのが当時テレビの仕事の面白かったところです。
じゃあ「ワクワクする」「面白い」コンテンツって何か?というと、ひとつ日本テレビの先輩達から教えて頂いたフィロソフィーとして大切にしていることがあって、「視聴者が観たいものを創るのではなく、視聴者の想像を超えるものを創っていくんだ」という大きな哲学。それは自分自身も肝に銘じていて、そういうコンテンツを届けたいというのが最初に来る思いなのかなと。
今も、テレビを創っている熱量やパワーは本当に当時と変わらないと個人的には思います。物凄い汗の量で、“面白いものを届けたいんだ!”という熱量は今も昔も変わっていない。ただ、2006年当時は「視聴率を獲る」という“明確な競技”が分かりやすく存在したので、制作者としても“その競技でどう勝つか”という価値観が1本の軸になっていました。
今は視聴率だけではなく「配信の再生数はどうだ?」「SNSで話題になっているか?」など、評価軸が増えたというのが一番の大きな変化です。熱量をシンプルに視聴率に向ければ良かった時代からおよそ20年経って、評価軸が複数に変化した。どこにどの力学が働くかということを物凄く考えなければいけない。非常に複雑でハードな作りになっていると感じます。

――具体的に柳沢さんがいらっしゃった現場では、制作の仕方はどのように変わったのでしょうか。
スポーツ局に配属された入社当初、スポーツニュースの役割は「生放送で視聴者の方に最初に映像を観ていただく」ということでした。結果を含めて“どうなるんだろう?”というところを視聴者の方々に楽しんでいただいていたんですが、数年経つと、いつの間にか“(視聴者が)知っている前提”で映像を作るようになったんです。
今となっては「2-0で巨人が勝って、ホームランを打ったのは岡本選手」というところがスタート地点になりました。その映像+独自の情報・目線で視聴者の方をどう満足させるか?というフェーズに入っています。野球ひとつ取っても、本当に「伝え方」が変わりましたね。
それは出演者サイドも同じで、本当に洗練されて緻密になっているんじゃないかと思いますね。例えば芸人さんのツッコミひとつ取っても、時間帯と属性に合わせてそのワードをチョイスしたんだなと編集しながらいつも気づかされます。一方で自分自身のYouTubeやSNSでは、ファンに向けて少しスキを見せたりもしている。メディアの特性を活かした演じ方や出方をしていて、これは超一流だなと。
よく「昔のテレビは良かった」とか「コンプライアンスのせいで」とか言われるんですが、実は逆だと思っていて。機材の進化、編集や表現の技術も含めて、できるようになったことのほうが多いんじゃないかと僕は感じます。表現方法も非常に増えたし、コンプライアンスを超えるハード面の進化が、コンテンツを面白くする面はある。
テレビ局の「責任」と「使命感」
――確かに、今でもTVerは伸びていますし、テレビでなければ作れないコンテンツというのは存在します。
どの現場でも“新しいものを創りたい”という熱量は変わっていないと感じます。テレビの歴史は約70年あるので、物凄く洗練されていて、コンテンツを創るという技術はある程度成熟しています。方法論も明確になっているので、それに則った上で“新しさをどう出すか”ということがワクワクにもつながりますし、想像を超えるコンテンツを届けられたときにそういう感情になるのかなと思います。
以前『80歳、長嶋茂雄の今』(2016年)というドキュメンタリーを制作したんですが、今でもその緊張感や手に汗握る感じ、でも撮っている側がワクワクした感じを鮮明に覚えています。もしかしたら“ワクワクを届けられた”という実感というのは、撮っている側が現場で感じた心の動きが、視聴者の方の“ワクワク”にも繋がっているのかなと。
2011年にプロゴルファーの石川遼選手と、東日本大震災の被災地に赴いたのも印象に残っている制作のひとつです。元々石川選手は寄付もされていたんですが、少し時間が経ったところで“何かできないか…”と思い悩まれていました。被災地の学校の先生とお話をしている中で、「そろそろ、子どもたちの感情が高まるような楽しい体験をさせてあげたい」と仰っていて。
それで『24時間テレビ』(2011年8月)の中で、宮城県石巻市の小学校でゴルフレッスンをするなど体験授業をさせていただきました。さらに石川選手の凄いところは、そこから交流がずっと続いて20歳の成人式で再会しに行ったんです。その間もグループLINEでやりとりが続いていて、中学校入学の際など節目節目で会いに行くなど、繋がり続けていた。子どもたちと繋がるというのは、見届けて寄り添い続けることでもあるんだと。
それはテレビ局の責任でもあり、使命感があると思うんです。報道機関なので、同じ会社の中で「伝える熱が強い」という軸は組織としても、人材としても感じる部分です。その波及効果で石川選手の体験授業のような、社会性の高い、伝える熱の強いコンテンツが生まれるというのはあるのかなと思いますね。

――そうした洗練・成熟したテレビの世界から、ABEMAという新しい領域に踏み出されます。その魅力というのはどこにあるのでしょう?
ABEMA(旧AbemaTV)が本開局したのが2016年4月。テレビに比べたら歴史はまだまだ浅いですし、デバイスの進化を受けて新しく作られたプラットフォーム。成熟していないところもあると思いますが、成長できる・進化できる余白が非常に大きいと感じます。
19年間テレビの制作ノウハウを積んだ上で、インターネットであれば狙ったターゲットを熱狂させるコンテンツ、それこそ究極の主観で番組を作ることもできるんじゃないか。そういった可能性があるのが魅力ですね。新しいものを求めている視聴者も多いという感覚があるので、ピュアに面白いものを創りたいという想いです。
反面、インターネットの世界はよりシビアな時間の取り合い。選んででも観たいものをどう作るかが改めて大事だなと思います。テレビのように“三世代が観たいものを” という価値観はなかなか難しいと思うので、例えば本当にお笑いが好きな20代30代を熱狂させるコンテンツだとか、そのターゲットが観る理由が明確なものがより求められてくる。
ネットニュースを読んで、映像を確かめたくなるようなコンテンツじゃないとダメだと思うんですよね。でも、それって実は一周回ってテレビの創成期に近くて、“見たことない映像”、“見てみたい映像”に立ち返っている。テレビを作り始めた人たちも同じように見たこともないこんなものを伝えたい!という熱量で作っていたと思うんです。
視聴者を「熱狂」させるコンテンツとは
――今の時代に、クリックして能動的に観に行くコンテンツ…言語化するとどんなものなのでしょうか。
分かりやすく今の時代に皆が観るものって何だろうと思うと、MLBの中継で大谷選手がホームランを打つと多くの人が他の人に「観てみて」って言いたくなりますよね。それはなぜかというと自分の心が動いたから、その心の動きのようなものを伝えたいということ。ドラマでもバラエティでも共通していて、心を動かすようなシェアしたくなるコンテンツを作ることが一番なのかなと。
ひとつ実体験で『Going!Sports&News』を制作していて「亀梨和也のホームランプロジェクト」といって、亀梨さんがホームランを打つためにプロ野球選手に教えてもらうという企画を放送していました。あるとき甲子園に出た選手が「亀梨さんのコーナーで見た打ち方を真似してました!」と言ってくれていたんです。
「あ、自分が作っているものって、他の人の人生に少しでもプラスになれたんだ」ということを肌身に感じたんですよね。今も『Going!』ではプロ野球の素晴らしさを伝えていますが、確実にあるターゲットの視聴者を熱狂させているんだなと思いました。
「シェアする」「真似する」など人にアクションを起こしてもらうというのは、「観てもらう」ことよりも一段階大変なのですが、それくらいの熱を伝えられることが大事なのかなと思います。テレビの前に座っていたら映っている「観たいもの」から、「観なくてはいけないもの」にならないといけない。

――今世の中にはたくさんのコンテンツが溢れていますが、それでも人に「観なくてはいけない」というコンテンツは存在します。柳沢さんはABEMAでどのようなものを作っていきますか。
一番の理想は視聴者の生活に入り込むくらい強度のあるバラエティ番組です。極端な例になりますが、ABEMAはFIFA ワールドカップ カタール 2022の全試合を中継しました。それは世界の超一流コンテンツですから、多くの人が「絶対観たい」と思うものですよね。「今夜仕事が終わったら、ご飯を食べながらあの試合を生で観るぞ」って、その人の24時間の“生活の中に入っている”じゃないですか。
テレビで長きに渡り放送しているアニメもコンテンツの面白さに歴史も加わり、いつの間にか中学生・高校生だった人がお父さんになっていて、今は子どもと一緒になって個ではなく親子の生活に入りこめているのが凄さですよね。そこまで面白さが続くというのは、制作側にも「もっと面白くしたい」と思って携わっている人が多いということ。それが波及して今の面白さに繋がっているのかなと。
スポーツもアニメも、既に言語の壁を越えている部分はあります。今後例えばAIの進化で自動翻訳が進めば、より多くのコンテンツをボーダレスに届けられますよね。技術が人間を支えてくれて、本当に良いものを届ける・伝えることが進化していく。ただ一方で競争も激しくなって、外からも同じだけコンテンツが入ってくるかもしれません。
ただ、まずはそんな未来のことは考えず、個人的にはこの1年。初心に帰って死ぬ気で「本当に面白いもの」を作りたいと思います。番組作りは1人ではできないので、サイバーエージェントで出会った新たな仲間と良いチームを作りたいなと!自分が作りたい・面白いものを作っている先輩方って、その人のことを思い浮かべたときに笑っている顔が出てくるんです。僕自身もそんなふうに、何歳になっても笑って面白いものを追求し続けるのが理想ですね。
