「定価じゃ買わない」 節約志向で おやつ の値引き競争が激化

記事のポイント
米国では、嗜好品を控える消費者が増え、セールやプライベートブランドへの関心が高まっている。
新興ブランドは店頭プロモーションやクーポン施策で予算重視の消費者に対応している。
販売チャネルの多様化やギフト需要の活用で、値引き依存を避ける戦略が進んでいる。
米国では、嗜好品を控える消費者が増え、セールやプライベートブランドへの関心が高まっている。
新興ブランドは店頭プロモーションやクーポン施策で予算重視の消費者に対応している。
販売チャネルの多様化やギフト需要の活用で、値引き依存を避ける戦略が進んでいる。
食費の節約を余儀なくされている米国民は、お気に入りのおやつがセールになるのを待っている。
ゼネラル・ミルズ(General Mills)やキャンベル(Campbell’s)のような複合企業はすでに、スナックカテゴリーの低迷に見舞われており、関税による価格上昇が現実になれば、事態がさらに悪化する可能性もある。ニールセンIQ(NielsenIQ)やインマーケット(InMarket)のデータによれば、顧客はこれらの嗜好(しこう)品がセールになるのを待っているか、プライベートブランド商品への切り替えに前向きだ。これに対し、食料品店やブランドは顧客を引き付けるため、アイスクリーム、チップス、クッキーなどのセールを実施している。
「おやつ控え」と「セール待ち」が同時進行
市場調査会社ニールセンIQが2月に実施した食料品調査では、買い物客の実に42%が1年前よりおやつを食べる頻度が減っていると回答している。その一方で、ニールセンIQの食品インサイト担当バイスプレジデントであるクリス・コスタグリ氏によれば、買い物客の37%がスナックのセール品を探しているという。
「消費者の約52%が以前より頻繁にセール品を探している」とコスタグリ氏は話す。「44%の人が不要な支出を減らしていると回答しており、そこにはスナックも含まれている」。
チョコレートやキャンディーなどの嗜好品はまた、レジ前での購入を控える行動のあおりも受けている。「衝動買いを控える傾向が見られる。消費者はこれまでより買い物リストに従うようになっており、余計なものを買わないよう努力している」とコスタグリ氏は話す。
自炊とナッツ小分け、家庭内スナッキングの新常識
コスタグリ氏は、もうひとつの興味深い傾向として、2月の調査では、自宅でおやつをつくる頻度が増えたという回答が19%に上ったことを挙げている。これは自炊のトレンドとも一致する。「たとえば、店舗でパッケージ入りのおやつを購入する代わりに、彼らはナッツをまとめ買いし、自分で小分けにしている」。
しかし、今後の景気次第では、こうした行動はさらに変化する可能性がある。小売データ測定プラットフォーム、インマーケットの「2025年版食料品レポート(2025 Grocery Staples Report)」によれば、消費者の購買習慣は、インフレと関税に関する懸念が原因で、あらゆるカテゴリーで変化しているという。
インマーケットの最高戦略責任者、マイケル・デラ・ペナ氏は、「特に嗜好品のカテゴリーで、消費者は割引価格での購入に移行している」と話す。食料品レポートによれば、2024年、冷凍デザートやアイスクリームの割引価格での購入が42%増加した。一方、クッキーカテゴリーでは、プライベートブランド商品への支出の割合が2023年に比べて30%増加している。
週替わりのセールに合わせて、購入するブランドやカテゴリーが変わるだけでなく、「消費者は買い物する場所も変えている」とデラ・ペナ氏は言う。たとえば、インマーケットのデータによれば、会員制の店舗や1ドルショップでは、コーヒー、キャンディー、乳製品などの購入が増加している。「セール時に購入される割合が増えている。人々はおやつが大好きだが、節約したいときに定価で買うことはない」。
新興ブランドも値引き戦線へ
その結果、嗜好品ブランドの幹部たちはこうした購買行動を注視し、それに応じたプロモーションの計画を立てている。
ファンシーパンツ・ベーキング(Fancypants Baking)は、食料品チェーンで取り扱いが始まったばかりのクッキーブランドで、2025年はそうした小売店での積極的なプロモーションを計画している。
2月にフレッシュ・マーケット(Fresh Market)、3月に米国北東部のコストコ(Costco)、4月にハリス・ティーター(Harris Teeter)で販売が始まり、4月末には米国中部大西洋岸のホールフーズ(Whole Foods)で展開する。
ファンシーパンツの創業者兼CEO、モーラ・ダガン氏は、「我々の戦略の一環として、これまで通り、プロモーションや割引で競争力を維持することが重要だ」と話す。「我々が扱っているのはぜいたく品で、しかも、我々は新規参入組だ。この戦略により、我々の商品を試してみる人が増えていると実感している」。
ファンシーパンツは2025年、2024年よりも大規模なプロモーションを計画している。
販促強化と販路多様化で試食を後押し
セントラル・マーケット(Central Market)は4月、イースターと母の日に合わせて、ファンシーパンツの春限定フレーバーであるストロベリーショートケーキとレモンタルトのプロモーションを行っている。ファンシーパンツはセントラル・マーケットのフーディー・フリービー(Foodie Freebie)に定期的に参加している。ファンシーパンツの商品を購入すると、別のブランドの商品がもらえるというもので、その逆もある。また、ホールフーズでは、新たな地域での展開に合わせて、約20枚のクッキーが入った5オンス(約140グラム)の商品を5.99ドル(約860円)から3.99ドル(約570円)に値下げする。
ダガン氏によれば、店頭で実演販売や試供品配布を行っているだけでなく、インスタカート(Instacart)で広告を出したり、クーポンを配布したりしているという。「また、プラットフォームのアイル(Aisle)でも実験を行っており、無料キャンペーンやBOGO(1点買うともう1点が無料もしくは割引)キャンペーンを行っている」。
食料品店での積極的な値引きを相殺するため、「戦略の一環として、取引先の多様化を進めることが重要だ」とダガン氏は述べている。たとえば、ファンシーパンツの商品は、顧客が大幅な値引きを期待していない小さなギフトショップや専門店でも販売されている。「我々は空港やリゾート地の土産品店との取引を増やしている。こうした場所にいる人は旅行中か休暇中で、より多く支出する傾向がある」。
Z世代狙いで販路拡大 プロモーションは「会話のきっかけ」
クリオ・スナックス(Clio Snacks)は、チョコレートでコーティングされたギリシャヨーグルトバーのブランドで、ファンシーパンツと同様、さまざまな販売チャネルでプロモーションを行っている。この1年で食品サービス事業を急拡大しており、Z世代にリーチするため、大学のキャンパスに進出している。
2024年末現在、全米の2万8000店舗で商品を販売しており、そのなかにはターゲット(Target)、ウォルマート(Walmart)、スプラウツ(Sprouts)も含まれる。クリオは認知度向上のため、これらの食料品チェーンに宣伝費の大部分を投じている。
CEOのジョン・マクガキン氏はModern Retailの取材に対し、戦略的な頻度で顧客の予算を考慮していると述べている。「社内でプロモーションプログラムを運営している」と同氏は説明する。マクガキン氏によれば、売上の80%を定価のリピート購入で生み出すことが目標だという。残りの20%は、会話のきっかけになる「意味あるプロモーション」から生まれる追加的な売上だ。
小売も販促協力に前向きに
ファンシーパンツのダガン氏は、現在のような状況では、こうしたプロモーションで食料品販売を促進することがどれほど重要かを小売店も認識し始めていると考えている。ダガン氏はさらに、店頭でのプロモーションをソーシャルキャンペーンで紹介するため、協力を求めてくる食料品店が増えていると報告している。
「通常は逆だ」とダガン氏は言う。「今は顧客の注意を引き続けることがすべてなのだと思う」。
[原文:Food brands turn to promotions to drive sales of candy, snacks and other non-essentials as shoppers tighten their wallets]
Gabriela Barkho(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:戸田美子)
Image: Chat GPT
