脳科学者、日本経済の課題を「インクルーシブな経済」へと指摘

脳科学者の茂木健一郎氏が、「財務省解体デモが象徴していること」と題した動画で、財務省解体を叫ぶデモの背景にある日本経済の課題について語りました。茂木氏は、解体というのはスローガンに過ぎず、国民が抱える不満の象徴だと述べています。「本当に解体するということではなく、その意図は、国の財政政策に対する不満を表しているのだと思う」と茂木氏は説明しました。

また、茂木氏は、日本経済は依然として低迷しており、それが国民の生活を苦しめているとの見解を示しました。「日本経済はずっとパフォーマンスが悪く、手取りが増えていないという状況。これは諸外国との比較でも明らかです」と指摘しています。さらに、アセモグル氏の「収奪する経済は成長しない」というノーベル経済学賞の教訓を引き合いに出し、「日本がこうした収奪的な経済システムに陥っている可能性がある」と警鐘を鳴らしました。

茂木氏は、現代日本で流行している「コスパ・タイパ」という考え方も、労働の果実が自分のものにならないという不満の裏返しに過ぎないとし、その背景には働く人々が効率や短時間に価値を置くようになったと考察しています。「財務省解体というデモ自体よりも、そのデモが象徴している日本の構造的課題について、みんなで考えるべき時だ」と茂木氏は訴えました。

動画の結びには、茂木氏は自身の考えをさらに深め、「それぞれの人が創意工夫を実践し、それが報われるようなインクルーシブな経済を目指すべきである」とのメッセージを送っています。