自慢の左足で好機を演出する福森。四方田監督の信頼も厚いんだろうね。写真:永島裕基

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 横浜FC、負けないね。1−0で勝ち切った甲府戦を三ツ沢で観たけど、5連勝で17戦負けなしと現在の充実ぶりが伝わる内容だった。

 就任3年目の四方田監督のやりたいサッカーがしっかりと浸透しているよね。まずリーグ最少失点を誇る強固な守備。個々が連動した組織的なディフェンスで、これといった穴がない。攻撃では両ワイドに起点を作って、シンプルかつスピーディに仕掛ける。

 攻守の両局面でやるべきことができているなかで、ユーリ・ララやガブリエウ、ジョアン・パウロら助っ人のパフォーマンスが安定しているのも大きいと思う。途中出場のカプリーニも効果的にアクセントを付けられる選手だ。

 実際、甲府戦で決勝点を決めたのはガブリエウで、カプリーニも絡んだ。そして、この得点をお膳立てしたのが福森。彼の右CKをカプリーニがファーに流して、ガブリエウがヘッドで押し込む形だった。

 今さら言うまでもなく、福森のキック精度はもはや反則だね(笑)。自慢の左足で正確無比なボールを味方に届ける。セットプレーはもちろん、流れの中でもそれは変わらない。シャドーの小川も、裏に抜ければ必ずパスが来ると信じて走り出していると思う。

 左ウイングバックの中野と福森のコンビネーションもいいよね。札幌時代にも共闘しているだけに、あうんの呼吸で連係しているように見える。3バック左の福森が攻め上がれば、中野がスッと降りてきて後ろをカバーする。

 あるいは中野が敵陣深くまでえぐってから、バックパスを受けた福森が鋭いクロスを入れる。中野が相手を引きつければ、そこにできたスペースに福森が入り込んでチャンスメイク。福森の左足が活きる1つのパターンとして、チームの武器になっていると思う。
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 とにかく、今の横浜FCの戦いぶりを見れば、J1復帰もいよいよ現実味を帯びてきているよね。残り7試合で、3位の長崎に勝点12差の首位。もちろん、マックスで21ポイントが動くから、まだまだ安全圏とは言えないけど、それでもこれといった不安要素も見当たらない。

 心配するなら、主力選手の累積や怪我だろうね。ユーリ・ララは次の大分戦に累積で出られないけど、逆に言えば、そのあとの清水との首位攻防戦には出場できるわけだから、ある意味、良かったのかな。1試合休めるしね。

 目標に掲げるJ2優勝に向けて、シーズン終盤戦をどう駆け抜けるか。注目したいね。

【著者プロフィール】
岩本輝雄(いわもと・てるお)/1972年5月2日、52歳。神奈川県横浜市出身。現役時代はフジタ/平塚、京都、川崎、V川崎、仙台、名古屋でプレー。仙台時代に決めた“40メートルFK弾”は今も語り草に。元日本代表10番。引退後は解説者や指導者として活躍。「フットボールトラベラー」の肩書で、欧州CLから地元の高校サッカーまで、ジャンル・カテゴリーを問わずフットボールを研究する日々を過ごす。23年に『左利きの会』を発足。