「複数村議からパワハラ」女性村議申し立て、中学生娘にも同級生から「お母さんが悪い」…ベテラン村議「公約違反は事実」と主張

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 千葉県長生村の村議の矢部文美氏(44)が12日、複数の男性村議からパワハラなどの嫌がらせを受けたとして、村議会議長に文書で申し立てた。

 村議会ハラスメント防止条例に基づき、議長が当事者への事実確認をしたうえで、ハラスメント審査委員会を設置する。

 村では昨年、当時の議長が村職員の女性に対する傷害事件で逮捕された。これを機に同条例が制定されており、申し立ては初めてだ。

 申し立てによると、矢部氏は2022年の村議選に立候補する際、ベテラン男性村議の支援を受け、「給食センター建設反対」を公約に掲げた。ベテラン村議から公約を守るよう指示されたが、無投票で当選後、建設賛成に回った。

 その後、ベテラン村議のブログで「公約違反」と執拗(しつよう)に攻撃されるようになった。ベテラン村議とは何度も話し合いを持ち、「公約についてお互いの意見を尊重する」ことを確認したが、今年7月、「公約破りの矢部議員」と有権者宅にチラシが配布された。ベテラン村議の支援者などから抗議の電話やメールが相次ぎ、「外出するのが怖い」状況に陥ったという。

 矢部氏の中学生の娘も8月、同級生から「あなたのお母さんが悪い」などと言われ、ショックを受けたという。矢部氏は「抑うつ気分、不安焦燥、自責感」などの症状から適応障害との診断を受けた。

 ベテラン村議は読売新聞の取材に「矢部議員の公約違反は事実で、パワハラではない」と話している。

 また、別の男性村議は昨年末の他県への研修旅行の宴席で、矢部氏に対し、「○○さん(ベテラン村議)の言うことを聞け」などとどなったという。矢部氏は大泣きし、同席した村議らが「言い過ぎだ。やめろ」と制止したという。

 村では昨年6月下旬から7月上旬、職員と村議を対象にハラスメントに関するアンケート調査を実施。村議14人のうち13人が調査に応じ、9人が他の村議からハラスメントを受けたと答えた。「大声や必要以上の長時間の叱責(しっせき)」「人格を否定する発言や攻撃」などの回答があった。