「arXiv」は物理学・数学・コンピューターサイエンス・統計学などの分野における世界最大のプレプリント(査読前論文)サーバーであり、査読がないため研究者が自身の研究結果を素早く世の中に問うことが可能です。そんなarXivに掲載された論文について、専門家らがオープンにディスカッションすることができるプラットフォームが「alphaXiv」です。

alphaXiv

https://www.alphaxiv.org/

2023年5月、当時スタンフォード大学の修士課程でコンピューターサイエンスを研究していたRehaan Ahmad氏とRaj Palleti氏は、「学生や研究者が査読前論文について議論できるオンラインのディスカッションプラットフォームがあったらどうだろうか」と考えました。

アイデアを実行に移すことにした2人は、世界最大のプレプリントサーバーであるarXivをベースにして、「alphaXiv」というプラットフォームを開発しました。記事作成時点ではスタンフォード大学やカリフォルニア大学、マサチューセッツ工科大学、プリンストン大学、ハーバード大学、イェール大学などの主要な大学の研究者や学生もalphaXivを使っているそうです。

alphaXivの使い方は非常に簡単。arXivで気になる論文を見つけたら、論文のURLに含まれている「www.arxiv.org」の部分を「www.alphaxiv.org」に変えるだけで、同論文のalphaXivページを開くことができます。たとえば、「TaskGen: A Task-Based, Memory-Infused Agentic Framework using StrictJSON」という以下の論文が気になったとします。



元論文のURLは「https://www.arxiv.org/abs/2407.15734v1」なので、「www.arxiv.org」の部分を「www.alphaxiv.org」に修正した「https://www.alphaxiv.org/abs/2407.15734v1」を開きます。すると、以下のように同論文のalphaXivページにアクセスできました。画面の左側には元論文が表示されており、右側には論文に付けられたコメントが表示されています。



論文中で強調表示されている箇所をクリックすると、対応するコメントが表示されます。コメントに対する返信を見たい場合は、コメントの下部にある「Responces」をクリックすればOK。alphaXivでは論文の著者が自らコメントに返信することもあります。今回の論文でも、著者の1人がコメントで寄せられた疑問に返信していました。



また、alphaXivの公式サイトから論文を検索することも可能です。トップページにアクセスすると、以下のような画面が表示されます。



中央の入力欄に検索したいワードを入力し、右側の検索ボタンをクリック。



すると、関連性の高い論文が一覧で表示されます。



alphaXiv上での議論が盛んな論文を検索することもできます。トップページから「Trending」をクリック。



議論が活発な順に論文が表示されました。



上側にある「COMMENTS」をクリックすると、新着コメントが一覧表示されます。



「TALK TO AUTHORS」をクリックすると、著者がコメントに返信してくれる論文だけをピックアップできます。



また、alphaXiv.orgにはChrome拡張機能も用意されており、読んでいるarXivの論文にalphaXivでコメントが付いているかどうかがわかるようになっています。Chrome拡張機能をインストールするには、Chromeで以下のページを開きます。

alphaXiv - Open Research Discussion - Chrome ウェブストア

https://chromewebstore.google.com/detail/alphaxiv-open-research-di/liihfcjialakefgidmaadhajjikbjjab

「Chromeに追加」をクリック。



「拡張機能を追加」をクリック。



この状態でarXivの論文にアクセスすると、右側にalphaXivで何件のコメントが付いているのかが表示されます。リンクをクリックすると、そのままalphaXivに移行することが可能です。