パナソニックが2024年7月26日(金)にリリースした「LUMIX DC-GH7」は動画撮影が得意なミラーレス一眼カメラ「LUMIX GH」シリーズで、3/4型IMOSセンサーを搭載して4K・60fpsの動画撮影が可能で、さらに前モデルのGH6からさまざまな進化を遂げています。特にGHシリーズとしては初めて「像面位相差AF(オートフォーカス)」に対応し、さらに「強力なシャッター速度7.5段分」という強力な手ブレ補正システムが実現したとのこと。そんなわけで、GH7の像面位相差AFと手ブレ補正システムの性能をGH6と比較しながら検証してみました。

概要 デジタル一眼カメラ DC-GH7 | デジタルカメラ(ルミックス) | Panasonic

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GH7の外観やスペックを前モデルのGH6と比較した結果が以下の記事で。GH6とは見た目がほとんど同じであることがよくわかります。

パナソニックのミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH7」の外観を前モデルのGH6と比べながらチェックしてみた - GIGAZINE



また、GH7ではどんな写真が撮影できるのかについては、以下の記事に作例がまとめてあります。

広いダイナミックレンジを実現して表現の幅も広くなったパナソニックのミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH7」で写真をいろいろ撮ってみた - GIGAZINE



◆像面位相差AF導入で強化されたGH7のオートフォーカスを検証

GH7はGH6と見た目はほとんど同じですが、搭載しているイメージセンサーはGH6から進化し、有効画素数約2520万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーが採用されています。さらに、GH6はコントラストの差をもとにAFを行うシステムだったのが、GH7では像面位相差センサーを搭載し、被写体までの距離を高速・高精度に算出し、779点の測距で被写体を捉えるようになりました。

この進化によって何が変わったのかというと、まずオートフォーカスの際にピントを合わせるまでにかかる速度がかなり向上したとのこと。そこで、実際にオートフォーカス速度をGH6と比較してみました。

オートフォーカスについては、オートフォーカスレバーとその中央のオートフォーカスボタンで設定します。オートフォーカスレバーのMFは「マニュアルフォーカス」、Cは動いている被写体の撮影に適している「AFC」、Sは静止している被写体の撮影に適した「AFS」です。



今回、GH6(左)とGH7(右)を比較検証するため、SLIK Plate IIIに取り付けて撮影を行いました。



以下のムービーで、SLIK Plate IIIに取り付けた両機で「手前にあるネコの絵」から「奥にあるiCEOのぬいぐるみなど」へ被写体を変更した時のフォーカススピードを比較検証しています。ムービーを見ると分かる通り、明らかにGH7はGH6よりも爆速でフォーカスが合っており、スムーズに被写体の切り替えができているとわかります。

GH7とGH6でオートフォーカス速度がどれだけ像面位相差AFで差が出るようになったのか同時撮影で比較検証してみた - YouTube

また、カメラブランドであるLEICAパナソニックのLUMIXブランドが協業で開発したL2 Technologyやパナソニック独自開発のDFDテクノロジー(空間認識技術)によって、自動認識AFの精度も上がり、GH6では自動認識対象が人物・動物のみだったのが、GH7では人物・動物に加えて車・バイク・列車・飛行機という「高速で動く被写体」にも対応しました。

自動認識AFは、オートフォーカス設定画面の「自動認識ON/OFF」を選択することで有効化できます。



GH6では自動認識の対象が「人物」「顔・瞳」「動物+人間」でした。



GH7では車・バイク・列車・飛行機が追加されています。また、人のシルエットと顔・瞳が「人物」にまとめられ、動物が人物と別になりました。



例えば、フルエリア(自動認識)にすれば、画角内に対象が入ると自動で認識し、フォーカスが自動で合うようになります。



列車の場合は列車の先頭車両、あるいは主要部優先の2パターンから対象部位を選択できます。



GH7の自動認識AFを試すべく、実際にホームに滑り込んでくる電車を撮影したムービーが以下。最初は手前にある柱にフォーカスが合っているのですが、奥から来た電車の正面が映り込むと、電車にフォーカスがスッと合います。

電車に自動でフォーカスを合わせるGH7「自動認識AF(電車)」を試してみた - YouTube

また、GH7で、自動認識対象を動物に設定し、駅前をちょこちょこと歩いていたハトを撮影してみました。以下のムービーの後半では、柵の向こう側にいるハトをカメラで捉えているのですが、手前側にある柵ではなく奥にいるハトに自動でフォーカスが合います。また、柵から飛び立って奥に飛んだハトを急いで追いかけると、瞬時にハトにフォーカスが合う様子を確認できます。

パナソニック・LUMIX DC-GH7の自動認識AFで街中のハトを撮影してみた - YouTube

◆GH7で大幅強化された手ブレ補正システムの検証

GH7は、GH6に搭載されていた「超高精度ジャイロセンサー」の信号に加えて、「撮像センサー」「加速度センサー」から得られる情報をもとに5軸のボディ内手ブレ補正(B.I.S.)でシャッター速度7.5段分の手ブレ補正がGHシリーズで初めて実装されました。さらに2軸のレンズシフト式手ブレ補正(Power O.I.S)を加える「Dual I.S」を組み合わせることで、前モデル以上に手ブレ補正システムが強化されています。

今回撮影に使ったマイクロフォーサーズレンズ「G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S. H-HS12035」にはPower O.I.S機能が搭載されており、オン・オフを切り替えるスイッチが側面についています。



手ブレ補正は以下の画面のように、メニュー画面の動画メニューから設定できます。



ボディ内手ブレ補正となる「電子手ブレ補正(動画)」は「強」「標準」「OFF」で切り替えることができます。今回は「強」を選択。なお、「手ブレ補正ブースト(動画)」はカメラを固定する手持ち撮影時に、「アナモフィック(動画)」はアナモフィックレンズを使用した撮影時に活躍する手ブレ補正モードです。



GH6の手ブレ補正設定画面はこんな感じ。電子補正(動画)は「ON」「OFF」のみとなっています。



GH6とGH7をSLIK Plate IIIに装着した状態で、ジンバルを使わず手持ち撮影を行ってみました。以下のムービーはレンズシフト式手ブレ補正と電子手ブレ補正の両方をオフにした状態で撮影しており、両者とも同じ程度に撮影者の動きが画面のブレに反映されていることがよくわかります。

GH7とGH6で手ブレ補正をすべてオフにして手持ちで歩きながら撮影した映像を比較 - YouTube

そして、レンズシフト式手ブレ補正のみをオンにして手持ち撮影を行った結果が以下。全てオフにした状態で撮影した映像と比較すると、どちらも手ブレの影響が抑えられていますが、この時点ですでにGH7の方が手ブレの少ない映像となっています。

GH7とGH6でレンズ内蔵の光学式手ブレ補正だけ有効化して撮影した映像を比較検証 - YouTube

さらに電子手ブレ補正をオンにした状態で撮影してみると、GH7はほとんど手ブレが抑えられ、ジンバルを使っているといわれても信じてしまうほどになめらかな映像になっていることがわかります。GH6と比較した以下のムービーを見ると、その差は歴然。

GH7の手ブレ補正がどれだけ進化したのか、レンズシフト式手ブレ補正と電子手ブレ補正をオンにした状態でGH6で比較してみた - YouTube

ただし、電子手ブレ補正をオンにすると仕様上画角がやや狭くなり、その焦点距離は電子手ブレ補正オフ時と比較して、電子手ブレ補正:標準で約1.10倍、電子手ブレ補正:強で約1.25倍になるとのこと。そのため、手ブレ補正を有効にして手持ちの歩き撮影を行う場合は広角のレンズを使うのがよさげです。

次回はGH7の動画性能におけるダイナミックレンジやリアルタイムLUTなどもチェックする予定なので、乞うご期待。

パナソニックのLUMIX DC-GH7はAmazon.co.jpで購入可能。ボディのみの価格は税込27万7000円です。

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また、レンズ「H-ES12060 LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm / F2.8-4.0 ASPH. / POWER O.I.S.」を同梱したズームレンズキットは税込35万1000円で購入できます。

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・つづく